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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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277、復讐刺蜂

宿の者から依頼ねぇ……


「聞くだけな。受けるとは限らないぞ?」


世の中には聞いたら断れないこともあったりするが、私は普通に断るからな?


「近くの森の中によお、やべえ蜂が現れたらしくてよお。森に入れなくなって困ってんだとよ」

「アレクサンドリアのギルドには五日ぐれえ前に依頼出したんだとさ」

「森に入れねえと色々と困るのは分からんでもねえけどなあ」


あー、そりゃそうだな。狩りもできないし山菜や木の実なんかも採ってこれないわな。薪にも不自由するかな? あっ、だから昨夜から食事が貧相なのか? ここの飯はそこそこ旨いって話だったのに。

それならそれで流通はどうなってんだよ……ここは街道沿いの村だぞ? 不自由しそうにはないが……アレクサンドリアの復興が優先されちゃったとか? まあどうでもいいけど。


「蜂ぐらいお前らなら楽勝だろ? 別に猛毒雀蜂(フレンジィベスパ)でもあるまいし。」


蜂の魔物ってピンキリなんだよなぁ。厄介だけど美味しい殺人蜜蜂(キラービー)とかいるし。キラービーハニーのミルクセーキって高いけど美味いもんね。


「それがよお……たまたま一匹ほど退治した村人がいたらしいんだけどよ? そいつ翌朝にあ全身穴だらけになって死んでたんだとよ」

「そんなもんどう考えても復讐刺蜂(ヴェンジェホーネット)しかいねえだろお?」

「割に合わねえから助けて欲しいってわけよお!」


あらら……復讐刺蜂(ヴェンジェホーネット)かよ。あぁ、確かにやばい蜂って言ってたもんな。私も出くわしたことはないけど話ぐらいは聞いたことがある。確か魔境の蜂の中でも厄介な部類に入るんだよな? 一匹でもその蜂を殺してしまったら翌朝の日の出までに必ず仲間の蜂が復讐にやってくるとか。で、日が昇り明るくなると穴だらけの死体が発見されるんだよな。よく見つけるもんだよな。魔物は怖いぜ。

で、そんな蜂が魔境から遠く離れたこんな場所に? いや、そのぐらい分かるよ。王都周辺で巣を作ってたことだってあるそうだしな。どこにいても不思議はないだろうさ。蜂なんだし。


「悪くないな。報酬はどうなってんだ?」


復讐刺蜂の巣って実は大金星なんだよな。蜜だけじゃなく蜂の子、それから蜂の巣そのものだって超旨いらしいし。

だが、それと報酬は別だからな。


「それがよ、ギルドに前金で金貨二十枚払っちまったせいで即金で出せるのが金貨四枚なんだとよ」

「別に無視してもいーんだけどよ。この村あちょくちょく通るからよ。こんなんが原因で滅びちゃあ困るんだよなあ」

「素材が手に入りゃあ余裕で儲かんだけどよお……」


あらら。命がけの依頼なのに金貨四枚とはしょぼいね。まいっか。旨そうな蜜をゲットできそうだしね。


「まあいいだろ。その金貨四枚は俺が貰うぞ。獲物もな。お前らは後日金貨十六枚貰ったらどうだ?」


ギルドに金貨二十枚払ったってことは冒険者に依頼として出される報酬は金貨十五、六枚だろう。こいつらからしてみればギルドからだろうが直接依頼だろうが実入りは変わらないわけだ。私のおかげで楽して大金ゲットできるチャンスではあるな。多少のリスクと引き換えに。


「いいんかよ? 話い持ってきといて言うのも何だが割に合わねえだろ?」

「魔王さんだと殲滅すんだけなら楽勝だろうけどよ」

「そんなことしたら素材がダメんなっちまうだろ。マジでいいのか?」


「ああ、構わんよ。お前らこそ金貨十六枚取りっぱぐれるなよ?」


直接依頼で報酬の後払いなんて信用できないからな。手元に金貨四枚しかないってのも本当は信じてないけどね。私としては素材さえ手に入れば充分だしな。復讐刺蜂の蜜は心までとろけるほどに甘いって話だし、蟠桃やナッツ類を漬け込んだりしても面白そうだ。


「おうよ! そんならそれでいくか! ちっと話してくるぜえ。待っててくれや!」


やっぱ旅はしてみるもんだな。普段はこんな村なんか立ち寄ることもないもんな。思わぬ甘露をゲットできそうだわ。




「おーし! 待たせたな! 話がついたぜえ! 魔王さんの金貨四枚は後払いだけどいいか?」


「いいぞ。」


本当はよくないけどね。もし踏み倒そうとしやがったらこの村更地にしーよおっと。


「よっしゃ。そんじゃあ案内のモンが来るみてえだしのんびり待ってようぜ!」


のんびりと言いつつも、こいつらは装備の点検を始めた。なんて真っ当な奴らなんだ……


ならば私はアレクとイチャイチャしよう。ついでにカムイをモフモフしよう。ふふふ。




「しっかし魔王さんはちっとも冒険者に見えねえよなあ。女神さんもよお」

「そーそー。あんまり危なっかしいからつい声かけちまったんだよなあ」

「それがまさかあの魔王とはよお。面白えこともあるもんだぜえ」


危なかっしいときたか。親切すぎるだろ。普通はカモに見えるもんだぜ?


「お前らこそよくいる頭空っぽで粗野なチンピラ冒険者かと思ったけどな。あまりに真っ当で驚いたぞ。お前らならクタナツでも通用するんじゃないか?」


「ぜってえ嫌だわ! 俺らあ命が惜しいから慎重に真っ当に冒険者やってんだぜ!? 誰があんなやべえ所んなんざ行くかあ!」


命が惜しい慎重で真っ当な冒険者……普通のことを言ってるだけなのに矛盾して聞こえるなぁ……変な奴らだなぁ。

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[一言] 本当に真っ当で驚きました。
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