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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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276、ノントロ村にて

それなりに楽しくお喋りしながら歩くこと数時間。そろそろ日没かという頃に村が見えた。あれがノントロ村か。


「あの村って宿とかあるのか?」


「一応な。まっ安宿だけどよ」


「その宿って風呂はどうなってんだ?」


「あるわけねえだろ……」


やっぱないのか……

そりゃあ別になくても不自由はしないけどさ。自前のピラミッドシェルター内はマギトレントの湯船完備なんだぜ? でも、まいっか。贅沢すぎるのもよくないしな。たまには安宿に泊まるのもいいだろう。本当にたまにだけな? アレクを何度もそんな場所に泊めてたまるか。


「お前らもそこに泊まるのか?」


「おお。そこしかねえからよ」

「メシはそこそこいけるぜ?」

「酒もな? まっ、ほんとにそこそこだけどよ?」


どうしよっかな。酒は魔力庫に樽でどっさりあるが、やっぱ旅先で飲む酒は格別だしね。旅ってほど離れてないけどさ。


「ピュイピュイ」


はは、たまには安酒もいいって? コーちゃんたら人生経験豊富そうなこと言うんだから。蛇生経験か?


「ねぇアレク、僕らもそこにしよっか。たまには安宿で安酒飲むのも面白そうだし。」


「ええいいわよ。カースと一緒ならどこだって楽園(エデン)同然だもの。」


「アレク……ありがとう。嬉しいよ。」


「カース……私こそ。こうしていつまでも、ずっと一緒に歩いていたいわ。」


「アレク……」


「カース……」


見つめ合う私とアレク。近づく唇と唇。あいつらがめっちゃ見てるけど知ったことじゃないね。このままアレクの可憐な唇を……


「ガウガウ」


なんだよカムイ……邪魔すんなよ。腹がへったぐらいで……


「なんだあ? せっかくいいところだったのによお……」

「かーっ! 若えもんはええよなあ!」

「早く帰りたくなったんじゃねえか?」


「狼ちゃんが腹へったとよ。お楽しみは食後のデザートだな。ねっ、アレク?」


「えっ、え、ええそうね……食後の……」


あからさまに残念そうな顔してるよ。そんなアレクもかわいいんだよなぁ。

おっ、村に着いた。周囲は簡易的な柵がある程度。盗賊や魔物が攻めてきたらあっさりやられてしまうぞ?


「そんで魔王さんどうすんだ? 俺らと同じ宿にすんのか?」

「まあそこしかねえけどよ」

「でもよ? こーんな小さな村に魔王が来てんだぜ? こりゃあ今夜はお祭りかあ!?」


「うちの狼ちゃんが腹をすかせてるからさ。さっさと宿に行こうぜ。」


「ガウガウ」


こんな小さな村に宿泊するのもたまにはいいよな。どんな料理が出るのかな。






うーん……腹は膨れた……

うまくはなかった……酒も、まあ飲めないことはなかった……

酒はともかく、飯はそこそこいけるって話じゃなかったのか?


部屋に行ってみると……うん、布団が汚い……むしろ(わら)(むしろ)じゃないだけマシなのか? バランタウンができたばかりの頃を思い出すなぁ。スパラッシュさんと泊まったよなぁ。ノミだらけの布団にさぁ。


『浄化』

『浄化』

『浄化』


ふぅー。布団どころか床から壁から全部きれいにしてやったぜ。最後にしっかり換気して終わりっと。


では次。


『風壁』

『水滴』


「たまには蒸し風呂なんてどう?」


「いいわね。すっきりできそうだわ。」


部屋は狭いけど二人用サウナぐらいならどうにでもなるね。


『換装』


私は魔法で一瞬にして裸になったが、アレクは一枚ずつゆっくりと脱いでいく。私に見せつけるように。悪い子だぜ。




ふぅ……

いやぁいい汗かいたな。熱いサウナで熱い行為。食後だとハードだな……気持ちよかったけど。あー、冷たい水が旨い!


これで今夜もぐっすりだな。






「おう魔王さん。よく寝れたかあ?」


「おはよ。まあまあだな。そこまで悪い宿じゃないな。」


「マジかよ? こっちの部屋あノミが酷かったってのによお」


その割に痒そうにはしてないし噛まれた跡もさほど見えない。冒険者ならその程度の対策はしてるか。ごっついおっさんのくせに……ほんのりいい匂いがする。ミントっぽいな。それが秘訣ってわけだな。


「あ、あの、冒険者のお方……」


「なんだあ?」


私ではない。宿の者はおっさんの方に話しかけている。


「お力をお貸しいただけないものでしょうか……」


「言うだけ言ってみろよ。やるかどうかは分かんねえけどよ?」


それにしても元気のない話し方をする奴だなぁ。私達には関係ないし、さっさと朝飯食ーべよっと。


麦粥に漬け物、それから何かの汁。うーんまずい。残したりはしないが、お代わりなんて絶対しないね。麦粥なんか少しすっぱかったし。やっぱ安宿なんか泊まるもんじゃないな……私も贅沢になったもんだ。


さて、出発するかな。あいつらは何やら宿の者から相談されてるみたいだし。さらばだ。いつかまた会う日もあるかもね。


「うおおおおい! 待てよ魔王さん! なあにしれっと出発しようとしてんだよ!」

「ベルグ領まで一緒に行くんじゃなかったんかよ!?」

「ちょっと待てってえ!」


目ざといなぁ。やっぱこいつら腕利きなんだろうね。ちなみに一緒に行く約束なんてしてないぞ。


「なんだよ? 先行くぞ。」


後からこいつらが追いかけてくるのは自由だからな。


「だから待てってえ! 依頼だからよお! 一緒にやんねえか!?」


「依頼?」


宿の者がギルドを通さず冒険者に直接依頼ってか? 後でもめても知らんぞぉ?

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― 新着の感想 ―
[一言] 直接依頼はヤバいかもですね。
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