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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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273、アレクサンドル領横断

「アレクは手紙の中身を知ってたの?」


外に出たから聞いてみた。


「いえ、知らないわよ?」


「あらら。そうなんだ。ちなみに何だと思う?」


「おそらくだけど、爵位継承の願い出じゃないかしら。おじい様からジャンポール叔父様へと。」


あらま……それはあまりにも思い切りが良すぎるような……


「うーん、いくらおじい様があの調子だからって見切りをつけるのが早すぎない?」


「私もそう思うわ。だから体調だけが理由じゃないんだと思うの。例えば、この度の騒動の責任を取って引退する。だからジャンポール叔父様につつがなく爵位を継承させて欲しい。みたいなことが書いてあってもおかしくないわ。」


「あー、それなら少し納得だね。おじい様ったら全然悪くないし、むしろ被害者なのにさ。それなのに引退を願い出ることでアレクサンドル家の顔も立てたってところかな。」


被害が甚大なアレクサンドリア、騎士が二人死んで当主が引退するセーラム。客観的にはとても吊り合う話ではないがじいちゃんとしては主家に弓を引いた手前、自分なりにけじめを付ける意味もあるんだろうね。元々は文句を言いに行くってだけの話だったのにさ。


「そんなところじゃないかしら。きっと、カースのせいで引退したと思われるのが嫌で内容については知らせてくれなかったのかも知れないわ。」


「はは、そんな気を遣わなくていいのにね。でも、これで一件落着かな? 公爵本人がどう出るのかは分からないけどさ。たぶんセーラムを気にするどころじゃないよね。アレクサンドリアを立て直す方が先だもんね。」


「そうね。むしろ立て直しにはベゼル家の力が大いに必要だもの。敵対なんてしてられないわよ。ここまで読み切って領都をほどよく破壊するなんて、やっぱりカースの深慮遠謀はすごいわ。惚れ直すじゃない?」


おほっ。アレクの腕に力が入る。私の左腕をぎゅっと。


「はは、偶然だよ。そんな難しいこと考えてないって。」


当たり前だ。私はノリと勢いで行動してるだけなんだから。先のことなんか、アレクとの将来ぐらいしか考えてないぞ?


「もう、カースったら奥ゆかしいんだから。」


アレクの唇が頬に触れる。ぬふふ。


「あはは……」


さて、そろそろ城門だな。来る時は一気に公爵家の屋敷前に着陸したが、今はのんびり歩いてるんだよな。それというのも、今から王都を目指すわけなんだけど少し考えてることがあってさ。まだアレクには言ってないけど。




さて、城門とは名ばかりの廃墟を通り抜けると私達の周囲をうろうろしていた騎士どももいなくなった。ピリつきながら監視していたようだが、私達が大人しくアレクサンドリアを出ていってほっとしているんだろうよ。だいたいお前らから何もしなければ私だって何もしないってのにさ。


「ねえアレク、今から王都に行くわけなんだけどさ。思いついたことがあるんだよね。」


「何かしら? カースの思いつきって大抵素敵なのよね。」


「そんな大した話じゃないよ。王都まで歩いて行かないかってこと。ヒイズルを歩いて回ろうとした時みたいにさ。」


私もアレクも歩くのは苦じゃないからね。むしろ鍛錬にちょうどいいってもんだ。


「それいいわね! セーラムだって歩いてて楽しかったし! アレクサンドル領を歩いて横断なんて素敵だわ!」


「決まりだね。じゃ最初の進行方向を決めるね。」


カムイ、お前に決めさせてやるよ。北、西、南のどれに行きたい? 東だと遠ざかるからだめだぜ。


「ガウガウ」


へえ、南なのね。理由とかあるのか?


「ガウガウ」


あー、最初に寄った街の料理を食べてないからって? ボルドラか。確かに食べてないな。セーラムより旨いかどうかは怪しいが私も食べてみたいな。カムイに聞いてよかった。


「まずは南に向かうことになったよ。どこかで西に向きを変えてボルドラを目指す方向で。」


「ボルドラ? カムイが何か言ってたのはそれなのね。いいわよ。」


「ボルドラまで歩いてもいいし途中で川を下ってもいいし。気ままに行こうね。」


それが私だからな。ノリと勢いで旅するのさ。


「うふふ。楽しそうだわ! 今夜はどこまで行けるのかしらね?」


「まったく分からないね。でも楽しみだね。」


これが旅の醍醐味だよなぁ。見知らぬ土地を歩き、初めての景色を見て、未知の料理を食べる。ローランド王国内でも知らない土地はまだまだたくさんあることだし。南の大陸に行くまでの道中を楽しんだって悪くないよな。幸いこのあたりは魔境と違って魔物はそんなに多くないし。歩きでも楽勝だろうな。


むしろ警戒するべきは……




ほら出た。


「よーう姉ちゃんどーこ行くんだぁい?」

「街道を南ってことはベルグ領かぁ?」

「旅は道連れって言うよなぁ? 一緒に行こうぜーえ?」


アレクサンドリアを出てから三十分と経っていないのに暇そうでバカそうな冒険者に絡まれた。そりゃ分かるよ? アレクの美貌は太陽だもん。虫が強い光に集まって何がおかしいものか。

それにしてもこいつらアレクサンドリアがあんな状況なのに呑気なもんだ。街道に横から合流してきたってことはどこか他所から来たってことか。

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― 新着の感想 ―
[一言] リア充とゴキブリと絡む奴はいなくならない。
[良い点] もう何度目か分かりませんが、歩くヴィーナストラップに引っ掛かる輩が後を絶ちませんね。 私もアレク・ヴィーナストラップという渾身の親父ギャグが発動しましたが、あまりにも寒いので無視してくだ…
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