表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
静かに暮らしたいだけなのに周囲が俺を天才扱いしてくる  作者: 花梨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/18

寝てたかっただけ

初投稿になります。

感想、レビュー頂けると励みになります


 三歳になった頃。

 俺はあることに気づいていた。

 この世界。

 静かな場所が少ない。

 街は騒がしいし、 家では親が騒ぐ。

 唯一落ち着けるのが――。

「レイ、また裏庭?」

「ん」

 家の裏にある木陰だった。

 風が気持ちいい。

 鳥の声も悪くない。

 そして何より。

 静かだ。

 最高である。

 ◇

 俺は木にもたれながら、 ぼーっと空を見ていた。

 平和だ。

 前世では、 こういう時間なんてほとんどなかった。

 だから今は、 なるべく何もしたくない。

 働きたくないし、 目立ちたくもない。

 静かに暮らせれば十分だ。

 そう思いながら、 少しずつ眠くなってきた時だった。

 ガサガサッ!!

「……?」

 茂みが揺れる。

 次の瞬間。

 ドンッ!!

 大きな猪みたいな魔物が飛び出してきた。

「ブモォォ!!」

 うるさい。

 かなり。

 しかも怖い。

 俺は反射的に後ろへ下がった。

 すると。

 ズルッ。

 魔物の足が滑る。

「ブモッ!?」

 勢い余って木へ激突。

 さらに。

 バキバキバキッ!!

 木の上にあった大量の果実が落下。

 ゴンッ! ゴンッ! ゴンッ!!

 魔物の頭へ連続直撃した。

「ブモォォ……」

 そのまま気絶。

 しーん。

 俺は固まった。

 ……えぇ。

 なにこれ。

 すると騒ぎを聞きつけた父親が走ってくる。

「レイ!!」

 母親も青ざめていた。

「大丈夫!?」

「……だいじょうぶ」

 本当に何もしてない。

 だが二人は、 気絶した魔物を見て固まった。

「…………」

「…………」

 そしてゆっくり俺を見る。

 やめろ。

 その目をするな。

 父親が震える声で言った。

「まさか……迎撃したのか?」

「してない」

「しかも無傷で……!」

 話を聞け。

 母親はレイを抱きしめた。

「レイ……怪我なく倒すなんて……!」

 だから違う。

 転んだだけだ。

 というか、 俺が一番驚いてる。

 ◇

 問題はその後だった。

 なぜか近所の人が集まってきたのだ。

「魔物を倒したって本当か!?」

「三歳で!?」

「天才だ……!」

 違う。

 本当に違う。

 だが父親は誇らしそうだった。

「いやぁ、うちのレイは昔から凄くてな!」

 やめろ。

 盛るな。

 母親まで嬉しそうに話し始める。

「赤ちゃんの頃から空間把握能力が高くて♡」

 なんだそれ。

 空間を把握したことなんてないぞ。

 俺はそっと家へ戻ろうとした。

 しかし。

「待ってください!」

 知らない男が駆け寄ってきた。

 革鎧を着ている。

 たぶん冒険者。

「君が倒したのか……?」

「いや――」

「謙遜まで……!」

 違う。

 なんで誰も話を聞かないんだ。

 ◇

 その夜。

 俺はかなり疲れていた。

 精神的に。

「レイ〜♡」

 母親が頭を撫でてくる。

「今日は頑張ったわねぇ」

「がんばってない」

 父親も真剣な顔で頷いた。

「力を誇らない……実に大物だ」

 だから違う。

 すると父親がふと思い出したように言う。

「そういえば、王都の学校の話なんだが」

 嫌な単語が聞こえた。

「優秀な子供を集める場所があってな」

 絶対面倒なやつだ。

 俺は察した。

 そして確信した。

 静かな人生が、 どんどん遠ざかっている

よろしければ、評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ