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静かに暮らしたいだけなのに周囲が俺を天才扱いしてくる  作者: 花梨


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2/16

静かに食べたかっただけ

初投稿になります。

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 二歳になった頃。

 俺には、好きな時間があった。

 食事の時間だ。

 静かだから。

 みんな食べてる間は、 比較的騒がしくない。

 最高である。

「レイ、今日は街の食堂へ行くぞ!」

 ……訂正。

 今日は最悪だった。

 ◇

 街は人が多い。

 騒がしい。

 疲れる。

 俺は父親に抱っこされながら、 ぼんやり通りを眺めていた。

「最近、街も平和になったわねぇ」

 母親が嬉しそうに言う。

 すると近くの人が頷いた。

「ええ。最近は変な揉め事も減りましたし」

 知らん。

 俺には関係ない。

 静かならなんでもいい。

 ◇

 食堂の中は混んでいた。

 ガヤガヤと騒がしい。

 でも外よりはマシだ。

 俺は椅子に座りながら、 早くご飯来ないかなと思っていた。

 その時だった。

「おい!! 酒がぬるいぞ!!」

 怒鳴り声。

 うるさい。

 店の奥で、 酔っ払いの男が騒いでいた。

「だから言ってんだろ!!」

 ドンッ!!

 机を叩く。

 店員のお姉さんが怯えていた。

 周囲の客も気まずそうだ。

 ……うるさいな。

 本当に。

 俺はパンを食べながら思った。

 静かに食べたい。

 ただそれだけなのに。

 すると。

 ミシッ。

 男の座っていた椅子が軋む。

「ん?」

 次の瞬間。

 ベキィッ!!

「うおっ!?」

 椅子が壊れた。

 男はそのまま盛大に転倒。

 さらに。

 ガシャァン!!

 近くの水桶が倒れ、 頭から水を被る。

 しーん。

 食堂が静まり返った。

 男は呆然としていた。

 周囲も固まっている。

 俺はスープを飲んだ。

 ……静かになった。

 良かった。

 すると男が青ざめた顔で周囲を見る。

「な、なんだ今の……!?」

 知らん。

 椅子が古かったんじゃないか?

 だが店員のお姉さんが、 なぜかこちらを見ていた。

「……え?」

 やめろ。

 見るな。

 俺は目を逸らす。

 しかし周囲の客もざわつき始めた。

「今、あの子が見た瞬間……」

「まさか……」

「いやでも、魔力は……」

 違う。

 本当に違う。

 ◇

 食事を終え、 店を出た後。

 父親が真剣な顔をしていた。

「レイ」

「んー?」

「お前、威圧を使ったのか?」

「つかってない」

 即答した。

 そもそも威圧ってなんだ。

 だが父親は深く頷く。

「隠すか……」

「さすがレイ……!」

 母親はキラキラした目をしていた。

 違う。

 俺は疲れた顔になる。

 なんでこうなるんだ。

 ◇

 その日の夜。

 俺は自室でごろごろしていた。

 静かだ。

 素晴らしい。

 ずっとこうならいいのに。

 すると、 隣の部屋から両親の声が聞こえてきた。

「……やはり特別な子だな」

「ああ……」

 まだ言ってる。

「でもレイって、  あまり目立ちたがらないわよね?」

「強者ほどそういうものだ」

 違う。

 本当に目立ちたくないだけだ。

 すると父親が真面目な声で言った。

「将来は大物になるぞ……」

 やめてほしい。

 俺は布団を被った。

 静かに暮らしたい。

 切実に。

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