一人で食べたかっただけ
王立学園。
昼休み。
食堂。
うるさい。
かなり。
「……」
俺はトレーを持ちながら、 静かな場所を探していた。
人が多い。
騒がしい。
もう部屋へ帰りたい。
すると。
端の方に、 小さな空席を見つけた。
「……ここ」
周囲に人も少ない。
最高。
俺は即座に座った。
◇
静かだった。
スープを飲む。
落ち着く。
やっぱり一人が一番――。
「隣、いい?」
「……?」
顔を上げる。
フィアだった。
銀髪。
無表情。
静かな人。
「……ん」
断る理由もない。
フィアは向かいへ座った。
そして。
無言。
黙々と食べ始める。
静かだった。
かなり快適。
不思議と疲れない。
するとフィアがぽつりと呟く。
「……ここ静か」
「わかる」
初めて意見が一致した。
ちょっと嬉しい。
◇
だが。
「おい……」
「見ろよ……」
周囲がざわつき始める。
やめて。
放っておいてほしい。
「あのフィアが誰かと食べてる……」
「しかも主席……!?」
「まさか二人で何か――」
違う。
静かな席を選んだだけ。
するとフィアが、 気だるそうに周囲を見る。
「……うるさい」
「かなり」
また一致した。
なんか話しやすい。
するとフィアが、 少しだけ首を傾げた。
「あなた、 なんでそんな有名なの」
「……しらない」
「そう」
信じた。
初めてだ。
俺は少し驚く。
普通なら、 そこで変な勘違いが始まるのに。
フィアは普通にパンを食べていた。
◇
その時。
「レイーー!!」
大声。
うるさい。
アルトだった。
元気すぎる。
「こんな隅にいたのか!」
「……いた」
「探したぞ!」
探さなくていい。
本当に。
アルトは俺の隣へ座る。
そしてフィアを見て固まった。
「えっ」
「……なに」
「フィアと飯食ってる……?」
「たまたま」
事実である。
だがアルトは、 なぜか真剣な顔になった。
「なるほど……」
嫌な予感。
「静かな場所を選ぶ者同士か……!」
違う。
いや少し合ってる。
でも変な納得しないでほしい。
するとフィアが、 少しだけため息を吐いた。
「……変なの増えた」
「同意」
また一致した。
◇
食事を終えた後。
フィアが立ち上がる。
「……じゃあ」
「ん」
「また静かな時に来る」
「わかった」
フィアはそのまま去っていった。
静かだった。
良い人かもしれない。
すると隣で、 アルトが震えていた。
「お、お前……」
「?」
「フィアと普通に会話できるのか……!?」
そうなの?
よくわからない。
だが周囲もざわついている。
「フィアって誰とも話さないよな……」
「主席だからか……?」
違うと思う。
たぶん。
俺は静かに思った。
学園の中で、 初めて少しだけ落ち着ける場所を見つけたかもしれない。
よろしければ、評価お願いします。




