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静かに暮らしたいだけなのに周囲が俺を天才扱いしてくる  作者: 花梨


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14/17

一人で食べたかっただけ

 王立学園。

 昼休み。

 食堂。

 うるさい。

 かなり。

「……」

 俺はトレーを持ちながら、 静かな場所を探していた。

 人が多い。

 騒がしい。

 もう部屋へ帰りたい。

 すると。

 端の方に、 小さな空席を見つけた。

「……ここ」

 周囲に人も少ない。

 最高。

 俺は即座に座った。

 ◇

 静かだった。

 スープを飲む。

 落ち着く。

 やっぱり一人が一番――。

「隣、いい?」

「……?」

 顔を上げる。

 フィアだった。

 銀髪。

 無表情。

 静かな人。

「……ん」

 断る理由もない。

 フィアは向かいへ座った。

 そして。

 無言。

 黙々と食べ始める。

 静かだった。

 かなり快適。

 不思議と疲れない。

 するとフィアがぽつりと呟く。

「……ここ静か」

「わかる」

 初めて意見が一致した。

 ちょっと嬉しい。

 ◇

 だが。

「おい……」

「見ろよ……」

 周囲がざわつき始める。

 やめて。

 放っておいてほしい。

「あのフィアが誰かと食べてる……」

「しかも主席……!?」

「まさか二人で何か――」

 違う。

 静かな席を選んだだけ。

 するとフィアが、 気だるそうに周囲を見る。

「……うるさい」

「かなり」

 また一致した。

 なんか話しやすい。

 するとフィアが、 少しだけ首を傾げた。

「あなた、  なんでそんな有名なの」

「……しらない」

「そう」

 信じた。

 初めてだ。

 俺は少し驚く。

 普通なら、 そこで変な勘違いが始まるのに。

 フィアは普通にパンを食べていた。

 ◇

 その時。

「レイーー!!」

 大声。

 うるさい。

 アルトだった。

 元気すぎる。

「こんな隅にいたのか!」

「……いた」

「探したぞ!」

 探さなくていい。

 本当に。

 アルトは俺の隣へ座る。

 そしてフィアを見て固まった。

「えっ」

「……なに」

「フィアと飯食ってる……?」

「たまたま」

 事実である。

 だがアルトは、 なぜか真剣な顔になった。

「なるほど……」

 嫌な予感。

「静かな場所を選ぶ者同士か……!」

 違う。

 いや少し合ってる。

 でも変な納得しないでほしい。

 するとフィアが、 少しだけため息を吐いた。

「……変なの増えた」

「同意」

 また一致した。

 ◇

 食事を終えた後。

 フィアが立ち上がる。

「……じゃあ」

「ん」

「また静かな時に来る」

「わかった」

 フィアはそのまま去っていった。

 静かだった。

 良い人かもしれない。

 すると隣で、 アルトが震えていた。

「お、お前……」

「?」

「フィアと普通に会話できるのか……!?」

 そうなの?

 よくわからない。

 だが周囲もざわついている。

「フィアって誰とも話さないよな……」

「主席だからか……?」

 違うと思う。

 たぶん。

 俺は静かに思った。

 学園の中で、 初めて少しだけ落ち着ける場所を見つけたかもしれない。

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