表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
静かに暮らしたいだけなのに周囲が俺を天才扱いしてくる  作者: 花梨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/16

目立ちたくなかっただけ

 試験会場は、 まだざわついていた。

「水晶を壊したって本当か?」

「いや、模擬戦もやばかったぞ……!」

「王女殿下が直々に……」

 やめて。

 聞こえてる。

 かなり恥ずかしい。

 俺は廊下の端を歩きながら、 静かにため息を吐いた。

 帰りたい。

 本当に。

 ◇

「待って」

「……?」

 突然、 後ろから声をかけられた。

 振り返る。

 そこにいたのは、 銀髪の少女だった。

 細い目。

 無表情。

 背も少し小さい。

 だが。

 なんか怖い。

 静かな圧がある。

「お前」

「……なに」

「本当に偶然だと思ってるの?」

 ギクッ。

 初めてだった。

 勘違いしない人。

 俺は少し警戒する。

「……ぐうぜん」

「嘘」

 即答。

 怖。

 少女はじっと俺を見ていた。

「模擬戦」

「……」

「普通、あんな綺麗に転ばない」

 その通りである。

 俺もそう思う。

 かなり。

 だが少女は、 なぜか少し考え込むように黙った。

「でも」

「?」

「あなた、自分でやってる自覚なさそう」

 え。

 俺は固まる。

 少女は真顔だった。

「……変」

 ひどい。

 ◇

「フィア様!!」

 遠くから誰かが駆け寄ってくる。

 メイドっぽい人だった。

「また一人で歩かれて……!」

 銀髪少女――フィアは、 小さくため息を吐いた。

「うるさい」

「ですが――」

 なんか大変そう。

 するとメイドが俺を見て固まる。

「えっ」

 嫌な予感。

「こ、この方が……!?」

 やめて。

 その流れ嫌い。

 しかしフィアは興味なさそうだった。

「別に普通」

 初めて言われた。

 普通。

 なんか嬉しい。

 かなり。

 だが次の瞬間。

 ガタガタガタッ!!

「!?」

 廊下の窓が急に揺れた。

 風。

 強い。

 しかも近くには、 高く積まれた書類の山。

 まずい。

 崩れる。

 俺は反射的に一歩下がった。

 すると。

 ヒラッ。

 風で飛ばされた紙が、 偶然窓へ貼り付く。

 風の流れが変わる。

 さらに。

 グラッ……。

 崩れかけた書類が、 絶妙なバランスで止まった。

 しーん。

 沈黙。

 俺は天を仰ぎたくなった。

 ……またか。

 メイドは震えていた。

「い、今のを瞬時に……!?」

 違う。

 偶然。

 だがフィアだけは、 じっと俺を見ていた。

「……やっぱり変」

 だからひどい。

 ◇

 その後。

 試験結果発表。

 巨大な掲示板の前に、 大量の受験生が集まっていた。

 人多い。

 帰りたい。

「きゃああ!!」

「主席だって!?」

「ありえねぇ!!」

 嫌な予感。

 かなり。

 人混みの隙間から、 掲示板が見える。

 そこには。

【主席合格 レイ】

 終わった。

 完全に。

 しかも。

「筆記・実技ともに歴代最高評価……?」

「化け物かよ……!」

「やっぱり王女殿下の……!」

 違う。

 落ちる予定だった。

 本当に。

 すると。

「おめでとうございますわ♡」

 王女。

 いた。

 なんで毎回いるんだ。

 さらに反対側から。

「……おめでと」

 フィア。

 いた。

 逃げ場がない。

 俺は静かに思った。

 学園生活、 絶対平和じゃない。

よろしければ、評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ