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『忘却の都市』 闇への潜入
——そして、約束の夜が訪れた。
怪しまれないように、霧崎と悠人は並んで行動し、夏希は少し離れた場所で静かに待機している。
霧崎と悠人は、何気ない会話を装いながら、ゆっくりと本部の建物へと近づいていく。
その入り口には——
予想通り、都市警備隊の隊員が1名、立っていた。
監視の視線を引きつけないよう、慎重に距離を保ちつつ、静かに待機する。
しばらくすると——
警備の隊員がふいに持ち場を離れた。
霧崎は、一瞬だけ目を細める。
——例の男の仕業だろう。
恐らく、すぐに戻る。
だが——問題ない。
次の瞬間。
霧崎は、隣の悠人を一気に抱え込んだ。
「えっ……?」
悠人が間の抜けた声を漏らした、その瞬間——
デバイスの力が発動する。
重力が一瞬だけ消えたかのように、二人は、無音のまま施設内部へと侵入した。
呆気にとられる悠人をそっと下ろし、手の合図で静かに後ろに続くよう促す。
悠人は、動揺しながらも足を進めながら——
(せっかくなら、夏希さんに抱えてもらえばよかった……)
そんな場違いな思考が、悠人の頭をよぎっていた。
だが、そんな悠人の軽い思考とは裏腹に——
霧崎たちは、確実に都市の深奥へと足を踏み入れていた。




