『忘却の都市』 禁じられた記録
広場に到着すると、夏希はすでに内部へと入り、隠し扉の場所を見つけていた。
「ここよ。」
夏希に促され、霧崎もその場所に意識を集中させた。
確かに、わずかな隙間がある。
悠人は首をかしげる。
「え……全然わからん。」
やはり、一般の住民にはこの隠し通路を見抜くのは難しいのだろう。
慎重に、その部分を押し込むと——地下へと続く階段が、静かに姿を現した。
三人は足音を殺しながら、慎重にその階段を下りていく。
突き当たりに、扉が見えた。
「……これが、例の扉か。」
霧崎が低く呟く。
夏希が視線を向け、悠人に促す。
「……触れてみて。」
悠人は、わずかに息を整え、そっと扉に手を添えた。
「認証開始……認証完了。ロックを解除します。」
次の瞬間、機械的な音と共に、内部のロックが解除される。
思いがけないほどスムーズに扉が開いたことに、三人は顔を見合わせた。
しかし——重要なのは、ここからだった。
震える手で、悠人はゆっくりと扉を押し開く。
そして——
そこに広がっていたのは——無数のファイルが整然と並ぶ、巨大な保管庫のような空間だった。
膨大な記録の棚が、静かな闇の中でそびえ立つ。
霧崎の背筋に、微かな冷たい感覚が走った。
「……これは。」
夏希は静かに息を詰める。
悠人は言葉を失ったまま、目の前の光景を見つめていた。
この都市が抱え続けてきた“真実”が——今、目の前にある。




