『忘却の都市』 闇への侵攻
作戦は決まった。
現在、施設入り口のセキュリティは、先日の爆破の影響で機能を停止している。
このタイミングこそが、最大の好機だった。
ただし——
入り口には常に都市警備隊が1名立っている。
交代制ではあるが、管轄エリアの違いからか、霧崎と夏希がこの役目を担う可能性は今のところ低い。
侵入するためには、警備隊の気を一時的に逸らす必要がある。
しかし、この点については、通信先の男が「何とかする」と言っていた。
まずは、施設へ侵入。
広間から地下へと続く隠し通路を探し——その先にある階段へとたどり着く。
そのとき——
「……つまり、俺の出番ってわけだな。」
悠人が、軽く笑いながら名乗り出た。
彼が、この作戦の決定的な鍵を握る。
通信先の男による解析の結果——
『施設内部の扉は、都市外部から来た“一般の住民”にしか開けられない。』
この都市の住民は、建物に侵入できず。
都市警備隊は、扉そのものを開けることができない。
それは、完璧な“多重セキュリティ”だった。
だが——
「今回は俺がいるんだし、この扉は問題ないってことだな?」
悠人は、軽く肩をすくめてみせた。
霧崎と夏希は、それぞれ深く頷いた。
——だが、問題は、その扉の先にある。
「……中に入った後ね。」
夏希が、低くつぶやく。
施設内部の様子は完全に未知。
侵入した瞬間、何らかのセキュリティが作動し——
即座に捕らえられる可能性もある。
ただ、中の様子を探る為に手をこまねいていると都市側が次々とセキュリティを強化してくる。
時間はない。
城戸隊長が何かに気づく可能性もある。
慎重に、素早く。
そうしなければ、作戦は終わる。
話し合いの末——
明日の夜、計画を決行することが決まった。
この都市の深部へ——“答え”を求めて、彼らは動き出す。




