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『忘却の都市』 過去の残響
部屋に入ると、すでに夏希は立ち上がっていた。
その瞳には、今朝とは違う——確かな“決意”が宿っている。
霧崎は改めて思う。彼女は、強い人だと。
「霧崎が出ていったあと、ぼんやり端末を眺めてたの。そしたら——」
夏希はそう言って、自分の端末を軽く持ち上げた。
「突然、淡く光りはじめたの。」
その言葉に俺は眉をひそめる。
「……発光?」
「ええ、それで試しに裏返して机に置いてみたら……」
夏希は再現するように、机の上へ静かに端末を置く。
次の瞬間——
青白い光が淡く浮かび上がる。
そこから、青白い光が揺らめきながら、記録映像のホログラムがゆっくりと立ち上がっていく。
——そして。その中心に現れたのは、小林副隊長だった。
俺は息を詰める。
夏希の指先が、無意識のうちにかすかに震えていた。
映像の中の人物は淡々と動き、静かに語りはじめていた。
「……これは……」
霧崎の声が、かすかに掠れる。
夏希は、それに答えることなく——ただ、映像の続きを見つめていた。




