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忘却の都市  作者: HANA
再起と再会
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145/152

『忘却の都市』 家族という名の光

「さて……」

静かに、けれど明確な意志を込めて、田中が声を上げる。

「城戸については——私と工藤が責任を持って預かろう。 元に戻せるとは約束できないが……出来る限りのことはしてみる」

その言葉には、嘘のない覚悟が滲んでいた。

「じゃあ、怜奈。本当にここでお別れね」

工藤の声に、怜奈がはっと顔を上げる。

「……はい」

その返事は、わずかに震えていた。

「こらこら、さっき泣いたばかりでしょう? 子どもじゃないんだから」

冗談めいた口調が、涙の余韻をそっと和らげる。

「それに今度は——お兄さんがいるじゃない」


その一言に、凛が思わず反応する。

ずっと気になっていた。 けれど、何をどう話しかければいいのか分からなかった。

工藤が微笑んで言う。

「あなたたちは、家族なんだから。仲良くしなさいね。 ——神崎凛君。怜奈を、頼んだわよ」

そう言って、怜奈の背をそっと押して凛の前へと連れてくる。


少し恥ずかしそうに、でも勇気を振り絞るようにして、怜奈が言った。

「兄さん……よろしく……お願いします」

凛の胸に、言葉がじんわりと染み込んでいく。

「……ああ、怜奈。待たせてすまない。一緒に、この都市を出よう」

「……はい」


たどたどしくも、確かにつながった言葉。

それは、長く離れていた二人の——再び始まる“家族”の、最初の会話だった。

そのぎこちなさこそが、優しく、 それでいて確かな安寧の予兆を映していた。


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