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忘却の都市  作者: HANA
再起と再会
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『忘却の都市』 最初の影

田中の声は低く、しかしどこか遠くを見るように淡々としていた。

「……君たちも知っての通り、城戸は元は外部の人間だった」

その言葉から始まる語りに、一同は耳を傾ける。

「彼は、家族三人で暮らしていた。 城戸と……妻の美由、そして娘の桜。とても仲の良い家庭だったらしい」

その名前が出た瞬間、全員が小さく息を呑む。

「記録にも残っているが、彼らは周囲でも評判のよい家族だった。 特に……城戸は、娘の桜を溺愛していたようだ」


だが——

「ある日、城戸の家に強盗が入った。幸いにも、その日は誰も家にいなかったらしく、怪我人もいなかった」

そこまでの話に、ほんのわずかな安堵が洩れる。

だが、その先があった。

「たまたま娘と買い物から戻ってきた美由さんが、 家から立ち去る見知らぬ男たちを遠くから目撃したらしく、彼女は警察に通報した」

「犯人たちはすぐに捕まった。 城戸は当然、重罪に処すよう望んでいたが—— ……美由さんは、彼らはまだ若いからと、減刑を願い出たそうだ」

「彼らに差し入れを持って、面会にまで行っていたらしい。」


しかし——その“優しさ”は、皮肉にも最悪の形で裏切られる事になる。


「しばらくして被害者の願い通り減刑されて彼らは出所した。だが—— 彼女が通報したことで自分たちが捕まった事を知っていた彼らは、数日後、再び家に押し入り…」

田中の言葉が詰まる。

「……妻の美由さんと娘の桜さんが、無残な姿で発見された」

空気が張り詰める。凍るような沈黙。

「いつも通り仕事から戻った城戸が、 その光景を見た時……彼の中で“何か”が壊れたんだろう。」

「その日のうちに、彼は犯人たちの住所を割り出し—— 5人を殺害した」

誰もが言葉を失う中、田中は淡々と続ける。

「警察に逮捕されたとき、彼はこう言ったそうだ。 『罪を犯した人間は、どこまで行っても屑だ。 更生などしない。殺すか…人格を作り替える以外に方法はない』と」

その言葉の意味の深さに凜と夏希は拳を握りしめる。


「城戸が被害者であったことは確かだ。だが……5人もの命を奪った者として、 警察もその処遇には苦慮していた。」

「そしてそんなとき——この都市の計画が持ち上がった」

「彼は、いくつかの審査を通されたあと……この都市の、“一番目の被験者”として選ばれた」

田中の声が、そこで途切れる。


そして静かに、言葉にならない“重さ”だけが、その場に残された。


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