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忘却の都市  作者: HANA
再起と再会
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141/152

『忘却の都市』 崩れゆく象徴

「……システムが停止した瞬間、俺と夏希は——抗えない衝撃に襲われて、意識を失いました」

エレベータ-の中。

先ほどまで自分たちがいた場所へと向かいながら、凛が静かに口を開いた。

その言葉に、夏希が黙ってうなずく。

「でも——そのとき、城戸隊長は……」

言葉を選ぶように、凛は視線を落とす。

「まるで何事もなかったかのように、立っていたんです」

薄れる意識の中、それだけがはっきりと焼き付いていた。

身体は重く、視界は揺れ、現実すら朧気になっていく中で—— ひとつだけ確かだった。

彼——城戸 守は、揺るがずそこにいた。

「なんとか手を伸ばして止めようとした。……でも、届かなかった」


どれほどの時間が流れたのかは分からない。 一分か、一時間か、ほんの数秒だったのか。

ただ——

「意識が少しずつ戻ってきて、ふらつきながら立ち上がって前を見ると……まだ、そこに……城戸隊長が立っていたんです」

同じ場所で、同じ姿勢で。

まさか、もうすでにシステムはこの男に掌握されてしまったのか。


そう思いながら、彼をもう一度見ると——

「その時にはすでに…この状態でした。」

空虚。無音。無意味。

どこか虚ろな目で遠くを見ている。

口元が微かに動いていた。 何かを呟いている。

ただし、それが“言葉”として成り立っていたかどうかも、分からない。


——自我の崩壊。


誰よりもこの都市を知り、 誰よりもこの都市に適応し、 誰よりも冷静であった男。

その男が、“立っているだけの存在”になっていた。

その光景に誰もが、言葉を失った。


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