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『忘却の都市』 暗黒と序章
——世界が、沈む。
脳の奥底に、圧倒的な“うねり”が突如として押し寄せた。
神崎は咄嗟に歯を食いしばるが、全身の神経が軋みを上げる。
(……これが、記憶の解放)
足元が崩れていくような感覚。
視界が反転し、耳鳴りが空間を揺らす。
夏希もまた、肩を震わせながら、必死に意識を保とうとしていた。
だが、身体の奥から何かが溢れ出し、思考を飲み込んでいく。
遠ざかる感覚の中で、神崎の脳裏にいくつもの記憶が走馬灯のように駆け抜ける。
過去の光景。 罪の影。 後悔の声——
そして、笑う家族の顔。
意識が崩れ落ちる、その寸前。
ぼやけた視界の中に、城戸の姿が映った。
彼は、静かに立っていた。まるで、何の影響も受けていないかのように。
神崎は、必死でその姿を追い、手を伸ばす。
止めなければ——そう思った。
だが、その手は届かない。
暗転。
世界は、深く、静かに——沈黙した。




