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忘却の都市  作者: HANA
終焉の扉
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135/152

『忘却の都市』 静かなる終端

工藤と田中の声が都市全域に響いたそのとき——

そのアナウンスは、最前線にいる三人の耳にも、はっきりと届いていた。

神崎と夏希は、無言でうなずき合い、数歩だけ身を引く。

目の前に立つ城戸が、次に何をしてくるか予測ができなかったからだ。


同時に——自分たちの身に襲いくる衝撃に備え、身体を構える。

神崎はすでに、これから訪れる影響について戦いのさなかに、夏希から知らされていた。

記憶の解放と、それによってもたらされる精神的苦痛。

それでも、彼はその選択に迷いはなかった。

もし自分が同じ立場でも——同じ道を選んでいただろうと、静かに納得していた。


そして神崎の心には、今、明確な“感謝”が浮かんでいた。

この責務を共に担い、苦しみを背負いながらも選択した研究所の責任者たち。

そして、彼らを信じて動いてくれた悠人と——妹の怜奈。

そのすべてに、深く頭を下げるような気持ちだった。


一方で——

城戸は、ただ静かに立っていた。

まるで、何かを待ち受けているかのように。

神崎と夏希は沈黙のまま、その姿を見つめていた。

やがて——

「……まさか、君たちがここまでの覚悟を持っているとはね」

ぽつりと、城戸が口を開いた。

「完全に予想外だった」

長く吐き出すように、ため息をつく。 それは敗北の吐露か、それとも——諦念か。

「認めよう。……今回は、私の負けだ」


“今回は”。


その言葉に、神崎と夏希の表情がわずかに強張る。

だが、城戸の口元にはもはや笑みすら浮かばなかった。

「私はね……すでに、ほとんどの記憶が戻っている。 システムが停止しようと、私への影響はほとんどない。今の君たちも、おそらくそれほど影響は受けないだろう」

落ち着き払った声で、淡々と続ける。

「だが……君たちは私よりも確実に長い間、意識を手放すことになる」

「——その間に、私は地下へ行く。 そして、都市のシステム権限を再び掌握する」

「たとえ時間はかかっても、今度こそ“完璧な秩序”を実現してみせる。 それが、私に課された“使命”なのだから」


その言葉を最後に——


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