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忘却の都市  作者: HANA
終焉の扉
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134/152

『忘却の都市』 起動コード・終焉の扉

繰り返し無機質に響くアナウンス。


システムコード:0000—— システム停止プログラム:起動条件・セキュリティレベル5以上、権限者2名以上の認証が必要です。システムコード.....


その単調な繰り返しが、重く、冷たく、空間を圧していた。

怜奈の指は止まり、悠人の背筋が硬直する。

この一手で、都市全体の“記憶”が解き放たれるのだから。


しばらくの静寂を破ったのは、工藤の深い呼吸だった。

「……ふぅ。樹、始めるわよ。覚悟はいい?」

「……ああ。構わない。頼む」

頷き合ったふたりは、迷いのない足取りで備え付けられていた緊急アナウンス用のマイクに向かう。

工藤が音量を最大にし、モニター横のマイクへと手をかけた。


「——あー、あー。都市の皆さん、聞こえますか」


女性の、穏やかで透る声が、都市中の空気を震わせた。

「……単刀直入に言います。今から、あなた達に—— 耐えきれないほどの痛みが襲います」

「恐らくほぼ全員が、意識を失うことになるでしょう」


一呼吸。


「意識が戻った人は、どうか——取り乱さないでください。 自分の“意思”を、強く持って」

「そして、もし傍に苦しんでいる方がいたら——できるだけ安静な場所へ。 彼らを、守ってあげてください」

声が、わずかに震える。

「……勝手なお願いだということは、分かっています。 それでも——どうか今だけは、協力してください」


マイクの前を田中が引き継ぎ、ゆっくりと言葉を重ねる。

「謝って許される問題ではありません。 それは、重々承知しています」

「ですがこの場を借りて、我々研究者の責任者として、都市の皆さまへ謝罪をさせていただきます」

「——本当に申し訳ございませんでした」


その瞬間、都市が静まり返った。

まるで、すべての息遣いが止まったかのような、無音の時。


そして——

都市の運命が、今、定まる。


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