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忘却の都市  作者: HANA
終焉の扉
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133/152

『忘却の都市』 静かな決断

「……すごい」

思わず洩れた怜奈の声は、畏怖にも似た感嘆だった。

目の前に広がるのは、まるで司令艦の中枢のような巨大なモニタールーム。

壁一面に映し出される無数の名前。

一つ一つが、この都市に暮らす人々のデータを示していた。


田中の言った通り、ここへ至る道に邪魔はなかった。

誰とも会わず、誰にも止められず——静かに、制御室へと辿り着けた。

怜奈は指定された席に腰を下ろし、田中たちの指示に従って端末を操作を始める。

指先はかすかに震えていたが、その手には確かな覚悟が宿っていた。


すると、不意に悠人が声をあげる。

「あの......システムが停止した後、田中さんたちはどうされるんですか?」

田中はゆっくりと頷き、真っすぐに答えた。

「私と工藤は、都市の安定化に全力を尽くす。 この混乱を少しでも和らげるために、準備はしてきた」

そう言って、懐から小さな袋を取り出す。 中には白く丸い錠剤がいくつも入っていた。

「それは……?」

「脳への負担を軽減するための薬だ。 完全ではないが、多少なりともその負担を和らげることができるはずだ。 どれだけの時間がかかるか分からないが、数は十分に用意してある」

田中の表情には、一切の曖昧さがなかった。

「私は、死ぬまで——この都市で犯した罪と向き合い、償っていくつもりだ」


——そしてその言葉に、まるで呼応するかのように。

怜奈の操作する端末から、機械的なアナウンスが室内に響き渡った。


『システムコード:0000。システム停止プログラム。 実行には、研究所セキュリティレベル5以上の権限を持つ人物2名以上の認証が必要です』


その声に応えるように——

田中と工藤が、静かに怜奈の端末の前へと歩み出た。


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