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忘却の都市  作者: HANA
終焉の扉
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130/152

『忘却の都市』 歪んだ理想、揺るがぬ覚悟

「ボロボロじゃない。大丈夫?」

かけられた声に、神崎は少し口角を上げて答えた。

「……誰かが来るのが遅くてね。もう何度、宙を見上げたか忘れたよ」

軽口の中に安堵が滲む。


夏希の姿。

それだけで、緊張で張りつめていた神経が、ほんの少しだけほぐれる。

「……で、状況は?」

神崎の問いに、夏希は真っすぐな声で答える。

「安心して。そちらは任せてきた。あの人たちなら……きっと大丈夫」

神崎は短く頷いた。 何があったのか詳しくは分からない。

けれど、その目に宿る意思の強さが、全てを物語っていた。

それは“信じるに足る覚悟”だった。


「……分からないな」

ぽつりと漏れた呟きは、城戸のものだった。

冷静だったはずのその声音には、わずかに熱を帯びた感情が滲んでいた。

「君たちは、この“完成された都市”を壊してまで……一体何を求めているんだ?」

「犯罪のない平和。均衡の保たれた秩序。 この都市は、その理想を実現した——なぜ、それを受け入れられない?」

城戸の視線が、まるで“理解を求める者”のように揺れる。

「ましてや君たちは被害者だった。痛みを知っている者たちなら、なおさら分かってくれると思っていたのだがね」

その声は、怒りとも焦燥ともつかぬ“苛立ち”を孕んでいた。

彼の中の“正しさ”が、揺れ始めている。


「……君たちに私の意思を継いでもらうという考えは、まだ変わっていない。 だが——少々手荒になってしまうかもしれないが……我慢してくれたまえ」

その瞬間、城戸の周囲の空気が一変する。

静かな威圧が、嵐のように膨れ上がっていく。


そして——

最後の戦いが始まる。


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