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『忘却の都市』 解放の代償
「……あなたたちは、人工AIの話は聞いてるわよね」
工藤の問いに、夏希も、悠人も、怜奈も——静かに頷いた。
「犯罪者たちは、例外なく人工AIが埋め込まれてる。そして大なり小なり、その影響を受けているのよ」
そう言いながら、工藤はまっすぐに夏希の方を見た。
「もちろん、あなたも。」
夏希は目を伏せる。
分かっていた。頭では、とっくに受け入れていた。
だが——面と向かって言われると、胸の奥に冷たいものが走る。
工藤は言葉を繋いだ。
「そして今——あなたたちがやろうとしてる“都市のシステムの停止”。 それが何を引き起こすか。」
部屋の空気が、一段階冷えたような感覚。
「…人工AIによって抑えられていた記憶、感情——そのすべてが一気に解放される。 まるで堰を切ったように、押し寄せてくる」
「……分かる? 一瞬のうちに、“過去の自分”が流れ込んでくるのよ。 忘れていた罪、悲鳴、恐怖、後悔……その全部が」
誰も声を出さない。
「影響が軽ければ、せいぜい意識を数秒失う程度で済むかもしれない。 でも、深くAIに浸食されてる人間の場合は——膨大な情報が、怒涛のように頭に叩きつけられる」
「死にはしない。たぶんね。でも、精神が耐え切れない人間は……確実に出る。何割かは廃人になるでしょう。確実に」




