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忘却の都市  作者: HANA
崩れゆく中枢
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102/152

『忘却の都市』 記録されし影

扉が開いた瞬間、二人は一斉に飛び出した。

目指すは、中央奥にあるはずの制御室—— ……のはずだった。


霧崎と夏希は、息を整えながら周囲を見渡す。

空間は確かに広がっている。

だが、研究施設らしき設備も、人の気配も——何ひとつ存在しない。

地下への入り口があった空間と、どこか似ている。


だが——確かな違和感があった。

この場所は、上階の空間と比べると少し狭い。

さらに、床や壁の一部には、何かの痕跡——淡いシミのようなものが残されていた。

夏希は、慎重に霧崎の様子を伺う。

彼の表情には、明らかな驚きが浮かんでいた。

この空間が予想とは違っていた——その事実に気づいた瞬間だった。

二人は、僅かに息を呑む。


そして、部屋の中央—— そこに、なぜか二つのファイルが落ちていた。

警戒しながら、静かに近づく。

ファイルの表紙には、それぞれこう記されていた。


『被験者番号8番』

『被験者番号10番』


夏希と霧崎は、互いに無意識のうちに手を伸ばし——

それぞれのファイルを、静かに開いた。


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