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『忘却の都市』 記録されし影
扉が開いた瞬間、二人は一斉に飛び出した。
目指すは、中央奥にあるはずの制御室—— ……のはずだった。
霧崎と夏希は、息を整えながら周囲を見渡す。
空間は確かに広がっている。
だが、研究施設らしき設備も、人の気配も——何ひとつ存在しない。
地下への入り口があった空間と、どこか似ている。
だが——確かな違和感があった。
この場所は、上階の空間と比べると少し狭い。
さらに、床や壁の一部には、何かの痕跡——淡いシミのようなものが残されていた。
夏希は、慎重に霧崎の様子を伺う。
彼の表情には、明らかな驚きが浮かんでいた。
この空間が予想とは違っていた——その事実に気づいた瞬間だった。
二人は、僅かに息を呑む。
そして、部屋の中央—— そこに、なぜか二つのファイルが落ちていた。
警戒しながら、静かに近づく。
ファイルの表紙には、それぞれこう記されていた。
『被験者番号8番』
『被験者番号10番』
夏希と霧崎は、互いに無意識のうちに手を伸ばし——
それぞれのファイルを、静かに開いた。




