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丘陵のさき 世界の先  作者: 玲於奈
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48/57

覆面調査

なし

学長、副学長などの教官がいる階は2階。そこがすべてのフロアとつながっている。

学生宿舎が建っている山からなる丘状を利用して大学の学舎は建てられているので、宿舎側から大学正面の校舎まで

山を下りてくる感じになる。

そして、学生食堂隣のワンフロアがつつぬけとなっていてそこが礼拝堂だ。

先ほど2階の中央廊下からガラス越しに見た部屋。はじめて、メイン学舎1階に降りてその正面扉を開ける。

礼拝堂だけあって広い、体育館のようだ。中央に礼拝をする祭壇が設けられているが、その前には教授が話すための机。

そして、学生が受講するためのパイプ椅子がずらりと左右10ずつ、10列くらい並んでいる。

ここで講義となるようだ。三々五々学生達が集まり始めている。あと5分ほどで講義が始まるだろうか。

講義前の雑談の様子などは日本の学生と全く変わらない。それが私にはとても新鮮で、久しぶりの雰囲氣。

季節的に秋入学であることを除けば日本の大学と全くかわらない、授業も同じ講義形式であるようだ。

私より遅れて入ってきた田村氏。大きなあくびをしながら、一言「まあ、こんなもんだろ」ぼやきつつ、

座席は最後尾の端。すごい変わりようで、これだけ学長、副学長の前とそうでないので変貌する、

いや人が違う人物もいないのではないかと思う。それにしても田村氏からまったくやる氣を感じない。

学長らに監視されていたらどうするのだろうか。学生の中にスパイがいて通報されていたらどうするのであろうか。

はたまた、田村氏は、もう俺は勝者。と合点がいっての行動だろうか。

まったく行動が理解できない人物。そうかと思うとやる氣なく田村氏こちらに手招き

「おい、純。この講義サラは受講してないんで、俺は適当にやるから、おまえも適当にやれ」

なんともいいかげん。同じアジアの人種と思われるのがいやで、最後尾の田村氏からは離れる。

学生がこんだけ前の方に固まっているから、かえって目立つだろうに、そそくさと私は前の方に行って座る。

前方を何氣なく見れば、こないだのケイトが友だち3、4人と同じ列に座っているではないか。これはラッキー。

近くに移ろうかとカバンを取りかけたところで、

「ケイト」ひときわ大きな声で、ケイトを呼ぶ人物がいる、なんだよなれなれしいなと思えば、

身長180cmはあるやせたハンサムボーイがケイトの後ろの列に座る。女友だちの話を

ひっさらい、ケイトと非常に親密に話している。ケイトも男の話に笑っている。

おいおい、長身っていうかこちらの人間は私より背の高い人ばかりであるのをさしひき、

さらに、私が外国人を見慣れていないことをさしひき、同性の目から見てもなんとも美男子。

ケイトとその男が並んで立ったらナイスカップル。大学祭にありがちな企画だろう。

しかしなぜ、天は美男子で長身という2物を与えるのだろうか。場所が場所だけに、礼拝堂でありながらひどく憤慨する。

これで頭がよかったらどうしようもないがそればかりはここではわからない。

憤慨しながらも私がケイトに声をかけるタイミングをすっかり無くし、その場に呆然とたたずむ。

教授がはいってきた、私は静かにもとの場所に座った。はじめての授業というのにたんたんと講義が始まった。

しかし、私の視線は教授でなく、ケイトにあった。

なし

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