マイナス査定
なし
講義開始から10分。
視線はあいかわらずケイトだが、講義の内容がまったくわからない。
50代くらいの眼鏡をかけたここでも長身の男性教授。ちょっと学長に似ているのは氣のせいか。
講義は「学校教育」。
どうやら教授は、スコットランドの教育、その歴史について話をしているようだが
黒板も使わず、たんたんと話すのみでまったく何を言っているのか理解できない。
そうして、自分の学んだ日本の大学を思い出す。
かくいう私も授業にそんなにたくさん出席していないが、日本の講義を思い出してそのつまらなさ
わけのわからなさを改めて思い出した。日本にいようが、外国に行こうが座学形式の講義はおもしろくない。
つまらない。日本ならテキストなどが売られていてそれをもとにすすめることもあるが、ここでは見あたらない。
そういえば、くま五郎氏の売店に、誕生日のカードなどのカード類は、売店から食堂にはみだすくらいたくさん
くるくるまわるのにささっていたが、書籍などはまったくなかった。
どうしたもんかと思ってもどうにもならない。
さてさて、そんな時田村氏はどうしているか後ろを見やれば、
後ろにのけぞって口を開けて寝ている。ブラボー。素晴らしい。
私はこれだけ大胆に講義で寝ている人を見たことがない。なにはともあれ講義者教授にとっては全くもって
不愉快であろう。これで、田村氏にマイナス査定が出るのは間違いない。
ケイトの後ろ姿に再び視線をおくれば、大変熱心にノートにメモをとっている。
その後ろ姿を見ているだけで、まったく授業を理解できず講義は終わった。
私は外国の大学で何を勉強したいのか。少し考えてしまった。
それからの毎日、副学長のアイリーンが書いてくれた時間割にそって、たんたんと授業をうけた。
たんたんと講義を受けながらも、どの講義も授業の内容は相変わらず全く理解できなかった。
田村氏も授業がわかっているのかわかっていないのか知るよしもないが、大講義はいつも定位置。
午後の教科教育では、教室で隅のほうに目立たないように座っていた。
そしてどれも講義の内容はわからない。休み時間に話しかけてくる人もいない。誰とも話さない日常。
さらにつらいのは、部屋にテレビもラジオもないこと。
食堂で19時まで夕ご飯を食べ終わるとその後することがない。
宿舎ホールにテレビがあり、そこで夕食後にテレビを見て他の学生と友だちになるチャンスを得ようと
テレビを見ていたが、またしても付き添いぶー登場。ここは、子どもたちのホールなので入らないでほしい
とお願いに見せかけた禁止通達。俺はいったいどうすりゃいいんだ。部屋にかえってもすることもない、
日本を離れ、そろそろ1週間。日本語もない。ないととなると読みたくなる。本当にただ何もない日々にうんざり
氣持ちとは対称的にきれいな夜景にため息がでた。
なし




