消えた白い鳥:失敗してもうた
北側の搬入口へ回ってからも、シオンは見つからなかった。
その代わりのように保護された子どもはいた。
別の学校の子。
市場見学に来ていた、別の班の子。
どの子も怯え、泣き、先生や警察官にしがみついていた。
けれど、黒髪に白いリボンの少女はいない。
アッシュは搬入口付近の通路を見渡した。
封鎖され始めた市場。
出入口に立つ警察官。
不安そうにざわめく観光客。
スタッフに誘導される店主たち。
さっきまで子どもたちの笑い声と屋台の呼び込みで満ちていた場所が、今はまったく違う顔をしている。
大市場は、一時封鎖されることになった。
人の出入りを止め、残っている客と店員を確認し、防犯カメラと搬入口の記録を洗う。
市場側も協力的だったが、規模が大きい。
店も多い。
搬入口も裏通路も、関係者用の扉も多すぎる。
処理には時間がかかる。
アッシュは本当なら、宿泊施設へ戻りたかった。
アティのところへ行きたかった。
あの子は、空っぽになった手を握りしめて待っている。
シオンを見つけたと、すぐ伝えてやりたかった。
(けど、まだシオンちゃんが見つかっていないのに、あの子のところに行っても余計に不安にさせてしまう)
それに今、自分が現場を離れれば、表側の捜索と保護、封鎖の指示が止まる。
だから戻れない。
アッシュはスマホを握り直した。
シオンちゃん、未発見。
旧倉庫区画と北側搬入口で別学校の児童を複数保護。
市場は一時封鎖。
こちらは現場対応でしばらく動けない。
送信先はグレンだった。
返事はすぐに来ない。
向こうも、捕まえたリーダー格から情報を引きずり出している最中なのだろう。
代わりに、ナギからmineが届いた。
共有な。
封鎖前にいったん見たけど、ほぼもぬけの殻やったわ。
北側の封鎖後、こっちでもう一回現場見るわ。
警察と市場スタッフが見落とした細いもん拾う。
アッシュはんは表やっとき。
アッシュは短く返す。
ありがと。
無茶はしないで。
既読はついた。
数秒後、返事。
それ、うちに言う?
ボスにも言うたってや。
アッシュは一瞬だけ苦笑した。
けれど、すぐに表情を戻す。
「……頼んだよ、ナギ」
踵を返すとアッシュは現場の指示へと戻った。
◇ ◇ ◇
市場の封鎖が進むにつれて、人の波は少しずつ外へ流れていった。
屋台は火を落とし、店主たちは警察の指示に従って店先を片付け始める。
客たちは不安げに周囲を見ながら、出入口へ誘導されていく。
喧騒が薄くなる。
その分、残った音がよく聞こえるようになった。
遠くの無線。
警察官の足音。
スタッフの確認の声。
片付けられる看板の軋む音。
ナギは、北側の搬入口の近くに立っていた。
帽子のつばを下げ、サングラスをかけたまま、何気ない顔で周囲を見る。
ここは、他の者が一度確認した場所だ。
けれど、ナギはそういう場所こそもう一度見る。
部下が見落としたもの。
警察が事件性に関係ないと流したもの。
市場スタッフが日常の一部として見逃したもの。
そういうものを拾うのが、ナギの役割だった。
「……足跡は潰れとる。匂いも無理。監視カメラは死角あり。ほな、残るんは人の癖と物のズレやな」
小さく呟きながら、ナギは視線を動かす。
搬入口横の床。
壁際の擦れ。
荷物を置いた跡。
スタッフ用通路へ続く扉。
その横に、細い黒い繊維が落ちていた。
ナギはしゃがみ込む。
指先でそれを拾い、光に透かした。
普通の衣服の繊維ではない。
どこか人工的で、少し硬い。
「……ふぅん」
その繊維に、ほんのわずかに薬品の匂いが残っていた。
市場の香辛料や油の匂いに紛れていなければ、もっと早く気づけたかもしれない。
けれど、今の北側の搬入口は匂いも音も多すぎた。
(ほんま、このくらいの証拠ならもしかしたらサツが来る前に見っけとったら楽やったんやけど……)
とはいえ、先に入られてしまっていたし、スタッフとして見るのも時間もほとんどなかった。
些細な見落としではあったが、焦りはよくない。
(あとは、これがどこのかって、とこやな)
ナギがそれを確かめようと、ほんの少し意識を指先へ寄せた。
その瞬間だった。
背後で、空気がわずかに動いた。
封鎖で人の気配が減ったせいで、逆に遠くの足音や無線の声が反響していた。
その中に紛れた、ごく近い気配だけを拾い損ねた。
ナギは反射的に身を捻る。
けれど、遅かった。
腕を取られ、肩を押さえられる。
首筋に、冷たいものが触れた。
刃ではない。
金属。
黒い指輪をはめた男の手だった。
「動くな」
低い声。
ナギは口元だけで笑った。
「……いやぁ、これはこれは。まだ残っとったんやな」
「何者かな」
「一般人なんやけど」
「一般人が、封鎖中の搬入口で何を拾っている?」
「落とし物探し?」
男は答えなかった。
次の瞬間、ナギの腹に重い衝撃が入った。
「っ、ぐ……」
膝が崩れる。
それでも、ナギは声を上げなかった。
視界の端で、黒い石の指輪が鈍く光る。
(あぁ。こいつか……)
そう思ったところで、視界が暗く沈んだ。
◇ ◇ ◇
目を覚ました時、最初に感じたのは腕の痛みだった。
次に、背中。
それから、手首。
ナギはゆっくり目を開ける。
薄暗い部屋だった。
市場の中か、外か。
湿った空気と古い木の匂いがする。
座らされているのは、古い椅子。
両手は肘置きに縛られ、足首も椅子に固定されている。
軽い身動きはできるが、逃げるには足りない。
「……うわ、趣味悪」
ナギが呟くと、目の前にいた男が椅子を蹴った。
椅子が少し傾き、すぐ戻る。
「口が減らないなぁ、君」
「それが取り柄やからなぁ」
ナギは顔を上げる。
黒い指輪の男がいた。
年齢は三十代半ばほど。
整った服装。
市場にいた半グレ連中とは違う。
目が冷たい。
人を商品として見る目だった。
「さて、どこの組織かな?」
「せやから、一般人なんやけど」
「嘘をつくのはよくない」
「いやぁ、信じてもらえへんのつらいわぁ」
男はナギの荷物をテーブルの上へ投げた。
財布。
偽造した身分証。
使い捨ての端末。
小型無線。
折り畳んだメモ。
いくつかの鍵。
そして、内ポケットの奥に隠していた写真。
ナギの目が、ほんの一瞬だけ止まった。
男はそれを見逃さなかった。
「これは?」
写真を指で摘まむ。
そこには、学院の制服を着たアティが写っていた。
珍しく制服姿を見せに来た日。
少し得意げに胸を張るアティ。
その隣で、優しく笑うグレン。
ナギが面白がって、こっそり撮った一枚だった。
グレンに見つかれば消せと言われるだろうと思って、わざと隠していた。
ただの悪戯。
ただの、少し楽しい記録。
それが今、最悪の形で拾われた。
「……親戚の子ぉや」
ナギは軽く言った。
「かわええやろ。たまたま制服姿見かけたから、記念に撮っただけや」
男は写真を見つめる。
学院の制服。
薄い金色の髪。
左右で色の違う、瑠璃色と翡翠色の瞳。
珍しい。
あまりにも珍しい子ども。
男の目が、値踏みするように細くなった。
「珍しい目だね」
「せやろ。ほんま綺麗やねん」
「髪も珍しい」
「親戚筋にそういう色が出やすいんや」
「この男は?」
男の指が、写真の中のグレンを叩く。
ナギは笑う。
「知り合いや」
「グレン・ヴェスペディウス」
名前を呼ばれた瞬間、空気が少し変わった。
裏側でその名を知っているなら、軽い相手ではない。
けれど、ナギは表情を変えなかった。
「よう知っとるなぁ」
「彼は有名だからね。特に裏では」
「ほな、その子に触れるんはやめといた方がええで」
ナギは笑ったまま言った。
「その男に関わりがあると分かっとるなら、なおさらや。悪いこと言わんから、その写真は忘れとき」
男は笑った。
「おやおや、脅しかな」
「忠告や」
「その子は、グレンの娘かい?」
ナギは思わず吹き出した。
「まさか」
笑いは自然だった。
実際、あまりにも的外れすぎる。
けれど、男はその反応を別の意味に取ったのかもしれない。
「なら、何?」
「言うたやろ。親戚の子ぉ」
「いやいや、それを信じると思う?」
「信じへんやろなぁ」
ナギは肩をすくめようとして、縄が食い込んだ。
「ほな、聞くだけ無駄ちゃう?」
男は無言で近づいた。
テーブルの上から、小さな工具のようなものを取る。
ナギはそれを見て、わずかに目を細めた。
「……趣味悪いな」
「答えればいい。そしたら痛くないさ」
「一般人や言うてるのに」
「一般人は、グレンの写真を持ち歩かない」
「それはそう」
次の瞬間、指先に鋭い痛みが走った。
ナギは奥歯を噛む。
声は上げなかった。
息だけが、喉の奥で詰まる。
男は淡々と問う。
「それで、この子どもは何?」
「……親戚の子ぉ」
「君の組織名は?」
「ない」
「グレンとの関係は?」
「知り合い」
「この子の親は?」
「知らん」
痛みが増す。
視界の端が白くなる。
それでも、ナギは笑った。
「ほんま、やめとき」
「何を?」
「その子に手ぇ出すことや」
ナギの声は低かった。
「金になる前に、全部終わるで」
男は顔を近づける。
「誰が、何を終わらせるって?」
「さぁな」
ナギは薄く笑った。
「少なくとも、うちより怖い奴が何人かおる」
男は少しだけ目を細めた。
だが、すぐに嘲るように笑う。
「なら、なおさら欲しいなぁ」
男は写真をもう一度見た。
アティの笑顔。
珍しい髪。
左右で色の違う、瑠璃色と翡翠色の瞳。
「この容姿なら、きっと高く売れる」
ナギの笑みが、初めて消えた。
男はそれを見て、満足げに続ける。
「この学院の制服はよく知っている。上等な家の子だろう。そして珍しい色の髪で子ども。しかも、グレンに繋がる可能性がある」
「……やめとけ」
「いい商品じゃないか」
「やめとけ言うとるやろ」
ナギの声から、軽さが消えた。
男はそれすら面白そうに見下ろす。
「君、今の顔の方が分かりやすいな」
ナギは黙った。
ここで焦れば、相手は食いつく。
でも、もう遅い。
男は写真を部下へ投げる。
「この子どもを調べて。学院から調べられるはずだ。金髪でオッドアイ。今回の市場見学の団体に混じっていた可能性がある」
「はい」
「保護者も洗うこと。グレンとの繋がりがあるなら、きっと利用価値がある」
ナギは縄を握る指に力を込めた。
痛みが走る。
それでも、表情だけは崩さない。
「忠告したで」
男は振り返る。
「何?」
「その子に手ぇ出したら、ほんまに戻れんくなる」
ナギの目は、もう笑っていなかった。
「うちらが追ってる子から目ぇ逸らしたら、お前らにとっても損やと思うけどな」
「それはこちらが決めることでしょ」
男は部下へ視線を向ける。
「早く調べろ。使えるなら、次はその子を押さえる」
部下が頷き、部屋を出ていく。
扉が閉まる音がした。
ナギは写真を持ち去られた方向を見つめる。
まずい。
かなりまずい。
シオンの線を追っていたはずが、アティへ刃が向いた。
ナギは息を吐き、椅子に縛られた手首をゆっくり動かす。
痛みはある。
指先もまともに動かない。
(ま、向こうは尋問慣れしとらんのが幸いやな)
服の袖に隠していた刃物を少し出して縄に当てる。
少しずつではあるが、縄を解いて早く知らせなければいけない。
黒猫にも、ボスにも。
「……てか、ボスにバレたら、うち、めっちゃ怒られるやんなぁ」
小さく呟く。
その声は軽かった。
けれど、目は笑っていなかった。
「いや、怒られる前に……止めんとあかんか」
薄暗い部屋の中で、黒い指輪だけが鈍く光っていた。
◇ ◇ ◇
市場から少し離れた廃ビルの一室。
窓には厚いブラインドが下ろされ、外から中の様子は見えない。
照明は最低限で、部屋の奥には古いソファとテーブルが置かれている。
その中央で、半グレのリーダー格だった男が上着や靴、持ち物はすべて奪われ、椅子に縛られていた。
顔色は悪い。
額には冷や汗が滲み、口元は強く引き結ばれている。
目の前には、グレンがいた。
市場の旧倉庫区画で男を連れ去った時と同じ態度のまま、グレンは腕を組み、冷えた目で男を見下ろしている。
男は最初の態度とは違ってかなり怯えた様子。
理由は簡単だ。
グレンが、どこの誰か。
それを知ったからだ。
「……で」
グレンの声は低かった。
「誰の指示だ」
男は何も答えない。
答えられないのか、答えたくないのか。
そのどちらでも、グレンには関係なかった。
「黙っていれば時間が稼げると思っているなら、勘違いだな」
男の肩がわずかに跳ねる。
「私は、待つのは嫌いではない。基本、必要ならいくらでも待てる。待てば出るものもあるからな」
グレンは淡々と続ける。
「だが、今は別だ」
空気が一段、冷えた。
「子どもが絡んでいる」
男の喉が鳴る。
グレンの黄金色の瞳が、細くなる。
「貴様らが何を運び、何を隠し、誰へ渡すつもりだったのか。全部話せ」
「……し、知らねぇ」
「そうか」
グレンは短く言った。
怒鳴らない。
脅しを重ねない。
ただ、その一言だけで、男の顔からさらに血の気が引いた。
その時、部屋の端に立っていた部下のスマホが小さく震えた。
部下が画面を確認し、すぐに顔を上げる。
「ボス」
「何だ」
「北側の搬入口付近、警察の封鎖が進んでいます。黒猫様側で別学校の児童を複数保護。ですが、探している例の子はまだ見つかっていないようです」
「……そうか」
グレンは目を伏せる。
黒猫がまだ見つけられていない。
なら、表側はまだ混乱している。
北側も、旧倉庫も、囮か分散の可能性が高い。
そして、ナギは北側へ向かった。
グレンは無言で端末を取り出す。
未だにナギからの連絡はない。
最後の連絡から、少し時間が空きすぎている。
ナギは軽口こそ多いが、報告を切らすタイプではない。
まして、北側の搬入口へ向かった直後ならなおさらだ。
何か拾えばすぐにこちらに共有する。
なのに、それがない。
「ナギから連絡は?」
部下がすぐに首を横に振った。
「まだありません」
「位置は」
「最後に拾えたのは北側の搬入口近くです。その後、反応が不安定になっています」
グレンの舌打ちが、低く響いた。
部屋の空気がぴんと張る。
縛られた男ですら、身を硬くした。
グレンは端末を操作する。
もう一度ナギへ発信。
繋がらない。
さらに一度。
応答なし。
「……アホが」
短く吐き捨てる。
それは苛立ちだった。
焦りに似たものを、怒りの形に押し込めた声だった。
グレンは半グレの男へ視線を落とした。
「そいつは閉じ込めておけ」
「はい」
「逃がすな。自害もさせるな。何も喋らせようとするな。私が帰るまで、何もさせるな」
部下が一瞬だけ目を瞬かせる。
尋問を止める。
それは、グレンにしては珍しい指示だった。
「……はい。承知しました」
グレンはコートの裾を払うようにして、扉へ向かう。
部下が慌てて声をかけた。
「ボスはどちらへ?」
グレンは扉の前で足を止める。
振り返らない。
「アホの回収」
「あ、アホ……?」
部下は一瞬だけ困惑した。
そして、すぐに思い当たる。
「い、いや、もしナギさんのことなら、自分たちが――」
「お前たちが行ってもいいが」
グレンはそこで、ゆっくり振り返った。
黄金色の瞳が、冷たく光る。
「二度手間だ」
部下は口を閉じた。
その言葉には、反論の余地がなかった。
ナギが捕まった可能性がある。
つまり、相手はナギの変装も動きも抜いた。
部下が向かえば、同じように捕まるか、逃げられるか、最悪、人質が増える。
グレンはそれを分かっている。
だから、自分で行く。
「……承知しました。では、こちらは待機を」
「ナギの最後の位置を送れ。周辺の監視映像も洗え」
「はい」
「妙な奴が映っていたら、即座に私へ回せ」
「承知しました」
「黒猫へは?」
部下がそう言いかけたところで、グレンは片目を細めた。
今、アッシュは表側で子どもたちの捜索と保護に追われている。
探している子がまだ見つかっていない以上、あいつは現場を離れられない。
それでも状況が動けば、必ず別の手を打つはずだ。
宿泊施設で待っているアティのことを考えれば、その日のうちに解決するために動くはずだ。
それなのにナギの件まで投げれば、表が乱れる。
「言う必要はない」
「よろしいのですか?」
「今知らせても、アイツは手が空かない」
グレンの声は淡々としていた。
「なら、私が回収するほうが早い」
部下は深く頷いた。
「承知しました」
グレンは扉を開ける。
廊下の向こうは暗い。
その先に、非常階段へ続く扉がある。
「ボス」
部下がもう一度だけ声をかけた。
グレンはわずかに顔を向ける。
「何だ」
「……お気をつけて」
グレンは返事をしなかった。
代わりに、片手をゆっくり握り込む。
ばき、と指の骨が鳴った。
室内にいた部下たちの肩が、目に見えて跳ねる。
縛られた半グレの男も、息を呑んだ。
「手間を取らせやがって……」
低く、吐き捨てるような呟き。
それがナギに向けたものなのか。
ナギを捕まえた相手に向けたものなのか。
あるいは、この状況そのものに向けたものなのか。
誰にも分からなかった。
ただ一つ分かるのは、今のグレンに近づくべきではないということだけだった。
グレンはそのまま廊下へ出る。
赤いマフラーが、わずかに揺れた。
扉が閉まる。
部屋の中に、しばらく沈黙が落ちた。
縛られたリーダー格の男が、乾いた喉で小さく息を呑む。
「……に、人間じゃねぇって……」
誰も答えなかった。
答える必要もなかった。
◇
グレンはもう、ビルの外へ出ていた。
市場の封鎖で人通りの減った裏道を、一切迷わず進む。
端末に送られてきたナギの最後の位置。
北側搬入口。
途切れた通信。
けれど、ナギが消えたなら、そこには必ず何かがある。
それに捕まっているのであれば、おのずと場所は絞られる。
「はぁ、世話の焼ける……」
グレンは低く呟いた。
内心の心配など、表には出さない。
出す代わりに、苛立ちだけを研ぎ澄ませる。
黄金色の瞳が、暗い路地の中でぎらりと光った。
グレンは次の角を曲がり、北側の搬入口のさらに奥へ向かって消えた。




