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晄騎(1)
【9】
自分以外を認めることで、個人という在り方に線が引かれる。そうすることで自分というものを定義できる。
つまり自己を確立する為には他者というものが存在し、それを認めなければならない。
例えば。
学び舎という場所は多くの少年少女たちにとって、最初に向き合う社会の縮図である。
魔術という定義された奇跡が存在するとて、それは変わらない。
彼らはここで最初の線を描くことになる。
最初の競争。最初の挫折。最初の失恋。最初の罪。最初の孤独。
それでも所詮ここは通過点でありゴールではない。前に進もうが脇道に逸れようが、その先にも同じように、さらなる分岐が待ち構えているに過ぎない。
成長し、成熟する為の場所――そう大層なものでもない。
人間が真に完成することは永劫訪れない。
それでも何者かになることを夢見る、何者でもない者たちは、未熟であり未完成である。
そういった世代だからこそ、奇跡を導く未知との親和性が高いといえるのだろう。
だがその事実はたった一つ裏返ることで、悲劇へと転じてしまう。
たとえば――




