#8 チキンの丸揚げどんぶりを頼むのがお約束だ
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古い宇宙船であるものの、居住空間はしっかりリフォームされているし、一応全室個室だ。
この学生寮には1000人を超える学生が生活している。お安いので、優良物件として先輩から後輩へと代々受け継がれる名物寮でもある。
そうは言っても古い宇宙船である。
元が戦艦であっても居住区画は当然ある。狭くて暗いところは難点ではあるが、学生寮として使われている。学生寮としては優良物件なのでちょっとした名物寮である。
寮にはシャワーとキッチンなどは共用設備としてきちんとあるが、学生の部屋は寝るためだけに用意されていると言っても過言ではない。
カナタは自室に入るとアンダーウェアを脱いで、楽な服装に着替える。
「さあ、飯だ、飯だ」
そして、ふんと気合を入れると、食堂へ向かう。
ステーションにはレストランや食堂が多数あるが、どれも学生にとってはお高い。
なので、特別なことがない限り・・・誰かがおごってくれるとか・・・安くて盛りもいい学生食堂がカナタの食事場所だ。
Sエクス総合技術大学学生食堂、通称ダンジョン飯屋は栄養学的に問題がない食事を可能な限り安価で提供する。
メニューは定食を選べば、Sエキスとして活動するために必要な栄養やカロリーを摂取できるように管理されているらしいが、そんなことは気にするカナタではない。
定食よりも安いチキンの丸揚げどんぶりを頼むのがお約束だ。受け取った揚げたてのチキンの丸揚げどんぶりをカナタはがつがつと口の中に流し込む。
「カナタ、またそれかよ?ちゃんと野菜も食えよ」
カナタに声をかけるのは、同じ学部学科で同学年のサラク・サイオンだ。
念のために言うとカナタもサラクも肉体的にも精神的にも遺伝子的にも男だ。
なのにだ、サラクの頭の中は花が咲き乱れているのか?、と言いたくなるようなほんわかとした表情で微笑んでいる。
もちろんサラクもSエクスを目指す同学年であり、親元を離れて、このルミナス寮で暮らしている。
「だって、野菜じゃお腹にも頭にも足りないんだよ」




