#4 あちゃー、これじゃ赤字じゃないか
#4
「行っけー!」
誰も聞いてはいないが、叫び声と共に、ハンマーをその空間に突っ込む。
スパースハンマーはそのまま揺らいでいる空間を突き抜ける、と同時にダンジョンらしき歪んだ空間も駆除される、お金も稼げて、人様の役に立って、めでたしめでたし、のはずだったが・・。
「あっ?」
丈夫な宇宙空間用作業手袋を通して、スペーススーツとリンクされているスペースハンマーは、ダンジョン通過時にそのままダンジョン内に吸い込まれてしまう。
その瞬間、スーツとのリンクがぶちぎられて、カナタの脳髄にけっこうな衝撃が伝達される。
「うっげえー」
気が付くと、カナタの手から離れたスペースハンマーはダンジョン内に吸い込まれているではないか、あちゃー、である。不幸中の幸いは、ダンジョンそのものの駆除に成功したことだろう。
「あちゃー、これじゃ赤字じゃないか」
カナタは、スペースハンマーがダンジョンに吸い込まれたときの衝撃を脳髄で感じながら、一人つぶやく。
スペースハンマーもバイシクルもカナタと意識レベルでリンクされている。それゆえに、壊れたり、紛失すると体の一部を失ったかのようなショックを受けるはめになる。
最悪の場合、スペースバイシクルとのリンクが完全に消滅し、宇宙空間を一人寂しく漂流することだってありえたのだから、運が良かったと思っておく、そう思わなければやってられない。
「まっ、バイクが無事だっただけ、良かったとしよう」
カナタは持ち前のポジティブさを発揮すると気を取り直して、極小ダンジョンを駆除した証拠を収集する。
カナタのようなSエクス達はSエクスとして登録する際に、Sエクスカードと呼ばれるアプリをモニタに強制インストールされる。
これはSエクスであることを示す身分証であるとともに、デブリのサイズや収集個数、ダンジョンの存在した空間情報を記録するSエクスにとってとても大切なアイテムだ。
最近のSエクスカードダはスペーススーツともリンクしており、宇宙空間に呼び出して、起動操作することができる優れものだ。そう大昔のドライブレコーダみたいなものらしい。




