流れに身を任せよう
人と言うものは愚かだ。もちろんそれは僕も含む。
僕は僕を美しいなんて思わない。美しいどころか醜いとすら思う。
何故って?簡単さ。理想に届かない自分だからだ。
自分を醜いと見て、自分を客観的に見れてることに気づき、またその客観的視点で見てるのが醜いと、ほぼ無限に繰り返されるのだ。
そんな話は今はどうでもいい。
なんだ。何が起こっている。
何故リアスはそんなにも、いじめられました、みたいな態度をとってるんだ。クラス中に攻められてる時の感じだぞ。
僕がいじめたみたいになってるじゃないか。
助けたのは僕だと言うのに。
そうかもしかしたら助けたのが悪かったのだ。僕だったら助けなんかいらないし、助けられるもんなら助けてくる人の胸に剣を刺すだろう。
プライドがあるのだ。
当然リアスにもプライドがある。つまり僕はリアスにとって邪魔な存在ということだ。
ミスったな。リアスのプライドを傷つけてしまったのか。
せっかくのヒロイン系キャラだったのに。勿体無い事をした。
「なんかゴメン」
とりあえず謝る。傷ついている人に何言っても無駄なのだ。だからとりあえず謝る。
「え、ええと」
戸惑っているようだ。やはりわからない。
顔がめちゃくちゃ緊張してるし、目は明後日の方向に方向音痴並みに動いている。
目が泳ぎすぎなのだ。
一体どういう状況だよ。
わからないと言うことは、どうするかもわからないのだ。とりあえずこれどうしよう。
ダメだ考えても思い浮かばない。こう言う時の最終手段は、ただ一つ。みんなも覚えておくといい。
その名も……『流れに身を任せよう大作戦!』
考えてもねわからない時は捨てていいんだよ。とりあえずまた1から見直すんだ。
「とりあえず大丈夫だった?」
「う、うん」
「もうお昼は食べた?」
「今、からです……」
「そう。なら一緒に食べよう。席が一つ余ってるんだ」
もうどうにでもなれ。
「は、はい」
てな感じで、僕は席に案内した。
「お前。どうしたんだッ」
「ボロボロどころか美少女を連れて帰ってくるなんて……」
「どうしてそうなったんだ?ジンらしくないじゃないか」
「もしかしてジンさんのドッペルゲンガーすか?それとも影武者っすか?」
「僕だよ」
「詐欺だッ。これは詐欺だッ」
「僕達は引っかからないっすよ。美少女を連れてきたからってお金は……」
こいつらダメだ。もう終わってる。
「詐欺じゃないよ」
「その笑顔が怪しい」
「失礼な」
その間にリアスはちょこんと椅子に座る。
「とりあえず何があったんだ。何故美少女を連れてくるに至るんだ?」
「そうですよ説明してくださいっす」
「1人じゃ寂しいかなと」
「説明になってねぇ」
「こりゃダメっすね」
そっちがダメだろ。
「まぁとりあえず食べよう」
僕はそう促して、食べ途中だった昼ご飯を食べ始めた。
ただ食べ始めたのは良いものの一つ気になることがある。
おいおいリアスさん?
それAクラスのでは。
なんかボーッとして食べてるけどそれAクラスですよ!
「Aクラスのなんだね」
「は、はい」
「いつもなの?」
「そうです」
「そ、そう」
昼飯も食べ終わり、僕はリアスと椅子に座って話していた。
一つ気になった事を投げかける。
「リアスって王女とか凄ーい貴族だったりする?」
「い、いえ。王女ではないです」
「それはよかった」
「よかった?」
「いやなんでもない」
「私はただの侯爵令嬢です」
侯爵令嬢っていや結構な大物じゃねぇか。
良いとこのお姫様かよ。
「そんな格式高い家なんだ。家どこら辺なの?」
「隣国の国境あたりにあります」
「隣国からか。結構遠いよね。なんで王都に?」
「魔術が好きなので……」
「そっか」
「ただ、私は落ちこぼれなので……」
「落ちこぼれ?」
「ええ、私は生まれつき魔力が少なく、家の家業も継げる事もできない、落ちこぼれなんです」
人は何かが無いとそれに固執するものだ。うんうん。僕も力がないから追い求めたんだしね。理解できるよ。
「それでも魔術を愛し、この学校に行く道を選んだと」
「はい。どうしても諦めきれなくて。家族の反対を押し切ってこの学校に。そのせいでもう家族とは関係が絶たれましたけどね」
リアスは微笑んでいた。
「僕はいいと思うよ。その選択」
リアスは驚いたように僕を見つめた。
「好きな物を追い求める事は悪いことじゃない。もちろん代償がいる。ただその代償も抱えて乗り越えて掴み取ろうと、手を伸ばすのは人の業であり、同時に美しさでもあるんだ。だから僕は君の選択、選んできた道は嫌いじゃないし、いいと思う」
フッ決まった。いや〜気持ちいい。こう言うのもたまにはいいよね。
「そんな事を言う人は初めてです。あ、あとこの前のお礼がしたかったのです」
「お礼?」
なんかしたっけ。もう記憶が。
「あのパンのお礼です」
あ〜。あのパンね。
「きっとあのパンも幸せだったはずだ」
「どう言う事ですか?」
「つまり一石二鳥という事だよ」
「よくわからないですけど、お礼についてなんですが、何がいいですか?考えたのですけど思い浮かばなくて」
お礼ね。最近欲しいものなんかあったっけ。
「うーん」
考えに考えた結果、僕は服にする事にした。
僕が私服で持ってる服2、3着しかないしな。
体も成長してサイズとかもあってない物でほとんど捨てたから、全然ないんだ。
それに女子に選んでもらえば、完璧だろ。つまり面倒くさいことをしなくていいという事。
いや〜あの時パン渡しててよかった。
「じゃあ服買いに行かない?」
「服ですか……いいですね」
よっしゃ。これで私服ゲットだ。
いや〜楽っていいな。
「じゃあ明日でどう」
「ちょうど休日ですね。私は予定がないのでその日で大丈夫です」
「ならよかった」
ついでに昼ご飯も奢ってもらおう。やっぱり夜ご飯も……。
「じゃあこの後は部業があるから」
「あ、はい」
そして今日も僕は部業に向かう。
内容はほとんど同じ。
ただそこにマルが追加された。
マルもこのビッグウェーブに乗ったようだ。
そして雑談とチャンバラを繰り広げながら、午後の部業を終えた。
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