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魔族に育てられた俺、 気づけば光と闇の境界に立っていた  作者: CYABUSAN(ちゃぶさん
第一章:父と子の物語(第1〜10話)

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第五話 父さんの告白と、夜の焚き火

お読みいただきありがとうございます。


第5話では、

ついにアスモスがハエルへ“真実”を語ります。


天使だった過去。

堕天の理由。

骨隆々村の真相。

ハエルの出生の秘密。

そして「時間がない」という言葉の意味。


父と子の物語が、大きく動き出す回です。

どうか、心のままに読んでください。

ガルドが去った夜。

 父さんは珍しく、家の外で焚き火をしていた。


炎の光が、父さんの横顔を照らす。

 その表情は、いつもの父さんじゃなかった。


「ハエル。

 ……座れ」


静かな声だった。

 でも、胸の奥がざわつく。


「父さん……今日のこと、教えてよ。

 あの騎士、なんで父さんを……」


「話すよ。

 全部な」


父さんは深く息を吸った。


「まず……俺は“人間じゃない”。

 それは知ってるよな?」


「うん。魔族なんだよね?」


「昔は……違う」


父さんはゆっくり首を振った。


「俺は――元は“天使”だった」


心臓が跳ねた。


「天使……?」


「ああ。

 天界で“アスモデウス”って名前で呼ばれてた」


父さんの瞳が、炎に照らされて金色に光る。


「天使は、世界の均衡を守る存在だ。

 でも……俺はある日、掟を破った」


「掟……?」


「人間を、助けすぎたんだよ」


父さんは苦笑した。


「天界はな、“必要以上の干渉”を禁じてる。

 感情を持つことも、強く関わることも。

 でも俺は……どうしても放っておけなかった」


父さんの声が震える。


「その結果、俺は堕天した。

 光が闇に変わり……魔族になった」


俺は息を呑んだ。


「じゃあ……父さんは悪いことなんてしてないじゃん!」


「してないさ。

 でも天界にとっては“罪”なんだよ」


父さんは焚き火を見つめた。


「堕天した俺は、地上に落ちた。

 そこで出会ったのが……骨隆々村の連中だ」


父さんの表情が、少しだけ柔らかくなる。


「みんな優しかった。

 俺みたいな得体の知れない奴を受け入れてくれた。

 ……お前の母さんもな」


「母さん……」


「あいつは人間だった。

 村に迷い込んで、そこで暮らすようになった。

 強くて、優しくて……笑顔が綺麗な人だった」


父さんは思い出すように、

 そっと目を閉じた。


「でも……村は襲われた。

 人間の騎士団に」


胸が締め付けられる。


「なんで……?」


「理由なんてないさ。

 “魔族がいる”ってだけで十分だったんだろう」


父さんの拳が震える。


「俺は……守れなかった。

 母さんも、村のみんなも」


焚き火の音だけが響く。


「その時だ。

 泣き声が聞こえた」


父さんは俺を見た。


「お前だよ、ハエル。

 村の家の隅で、ひとりで泣いてた」


「……俺?」


「ああ。

 母さんが最後に守ったんだろうな。

 俺は……お前を抱き上げて、決めたんだ」


父さんの声が優しくなる。


「もう二度と、大切なものを失わないって」


涙がこぼれそうになった。


「父さん……」


「でもな、ハエル。

 俺には“時間がない”」


その言葉が、胸に突き刺さる。


「堕天した天使は、長く生きられない。

 光が闇に変わった時点で……寿命が削られるんだ」


「そんな……!」


父さんは俺の頭に手を置いた。


「だから、お前には強くなってほしい。

 俺がいなくても、生きていけるように」


「嫌だよ……!

 父さんがいないなんて……!」


「ハエル」


父さんは優しく笑った。


「お前は俺の誇りだ。

 母さんの喜びだ。

 ……俺の生きた証だ」


涙が止まらなかった。


「明日、旅の支度をする。

 お前には……世界を変える力がある」


父さんの声は、

 焚き火の音に溶けていった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


第5話では、

アスモスの過去と、

ハエルの出生の秘密が明かされました。


アスモスは元天使アスモデウス


堕天の理由


骨隆々村の真相


母の最期


ハエルを拾った理由


「時間がない」の意味


これらはすべて、

ハエルの旅立ちと成長に繋がっていきます。


次回、第6話では、

父と子の“別れの準備” が描かれます。


引き続きよろしくお願いします。

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