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魔族に育てられた俺、 気づけば光と闇の境界に立っていた  作者: CYABUSAN(ちゃぶさん
第一章:父と子の物語(第1〜10話)

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四十七話 それなのに、皆来ちゃった

46話で、セラが自ら拘束を解く方法を見つけました。

三人が守り抜いた先に——

決着がつきます。

「……解けました……!」

セラの声が響いた。

拘束の魔法陣が、光の粒子になって消えていく。


「セラ!」


「ハエル……!」

セラが立ち上がった。

その足が、自由になっていた。


「今だ! 逃げるぞ!」


「待て」

ザイルが前に立ちはだかろうとした。

「逃がさない」


「リナ、もう一押しできるか!」


「……はい!」

リナの光が、ザイルの足元に広がった。


「……っ、これは」

ザイルの足が、一瞬だけ縺れた。


「今!!」

四人で駆け出した。


「待て……!」

ザイルの声が、背後で響いた。

でも——追いつかれなかった。


廊下を駆け抜け、角を曲がり、光の門へ向かった。

「あそこだ!」


「間に合うか!?」


「間に合う……!」

光の門に飛び込んだ。


光が、四人を包んだ。

意識が戻ると、そこは——地上だった。

見慣れた森の中。


天界への入口の、二本の石柱が立っている場所だった。

「……戻ってきた」


俺は空を見上げた。

青い空だった。


「セラ……!」

リナがセラに抱きついた。

「よかった……! 本当によかった……!」


「リナ……」

セラはリナを抱き返した。

「ありがとうございます。助けに来てくれて」


「当然です……!」


ルシェが少し離れた場所で、腕を組んで見ていた。

「……無事でよかったな」


「ルシェさんも、ありがとうございます」


「……別に。あたしは戦っただけだ」


「戦ってくれたことが、ありがたいんです」

ルシェは視線をそらした。

でも——その口元が、わずかに緩んでいた。


俺は、セラを見た。

聞きたいことがあった。

「セラ」


「……なんですか」


「一つ、聞いていいか」


「はい」


「……なんで、一人の時に逃げなかったんだ」

セラの表情が、少し固まった。


「拘束を解く方法、途中から分かってたんじゃないか? 俺たちが来る前から」


セラは少し黙った。

「……気づいていました。もっと早く」


「じゃあ、なんで」


「……私が逃げたら」

セラの声が、震え始めた。


「私が逃げたら、ザイルは——皆を狙うと思ったんです」


「……」


「私一人が捕まっていれば、皆は安全だと思って……だから、動きませんでした」


「セラ……」


「それなのに——」

セラの目から、涙がこぼれた。

「それなのに、皆が来ちゃったんです……!」


その声が、震えていた。

「危ないのに……! 私のために、天界にまで……!」


「セラ……」


「怖かったんです。すごく」

セラは涙を止められなかった。

「一人で、あの部屋にいるのが。ザイルが、毎日来るのが」


「……」


「でも——皆が来てくれるなんて、思ってなかった」


セラは俺を見た。

「……ハエル」


「なんだ」


「闇を、あんなに引き出して……危なかったですよね」


「……大丈夫だった」


「大丈夫なわけないです」

セラは俺の胸に、そっと手を当てた。


「……本当は、怖かった」


「セラが?」


「いいえ」

セラは首を振った。

「あなたが、危険な目に遭うのが。私のために」


「……」


「でも——来てくれて」

セラの声が、また震えた。

「本当に、来てくれて……嬉しかった」


セラは、静かにハエルに抱きついた。

「……ありがとうございます」


俺は少し驚いた。

でも——その体を、そっと受け止めた。

「当然だろ。仲間なんだから」


セラは何も言わなかった。

ただ、しばらく——そのままでいた。


リナとルシェは、少し離れた場所で見ていた。

「……」


リナが小さく、何かを飲み込むような顔をしていた。

ルシェは腕を組んで、空を見ていた。


「……セラ、離れろ」

ルシェが静かに言った。


「もう少しだけ」


「……もう少しって、いつまでだ」


「もう少し、です」

ルシェは小さくため息をついた。

でも——止めなかった。


しばらくして、セラは静かに体を離した。

「……すみません、取り乱しました」


「謝らなくていい」


「でも……人前で、こんな」

セラは少し目を伏せた。


「珍しいな、セラがそんなに動揺してるの」


「……今日は、色々あったので」


「そうだな」


セラは少し笑った。

「でも——後悔はしていません」


「何が」


「……今、こうしたことです」


その言葉に、俺は少し黙った。

「……そうか」


「これから、どうしますか」

リナが聞いた。


「……ガルドのところに戻ろう」


「ガルドさんに、報告しないといけないですね」


「ああ」

俺は空を見上げた。

「セラが無事に戻ってきたって、伝えないと」


セラが静かに言った。

「……ハエル」


「なに」


「これから先も——一緒にいさせてください」


「当然だろ」


「……ありがとうございます」

セラの目に、また涙が浮かんだ。


でも——今度は、笑顔と一緒だった。

四人は、ガルドがいる廃墟へ向かって歩き出した。

森の空気が、いつもより澄んで感じた。

47話、読んでくださってありがとうございます。

セラが自分から拘束を解けることに、もっと早く気づいていた。でも動かなかった理由——「私が逃げたら、皆さんが狙われる」という覚悟が、セラの中にありました。

「それなのに、皆さん来ちゃったんです」

この言葉に、セラの本当の気持ちが詰まっていたと思います。

セラがハエルに抱きついた場面。「ありがとうございます」というシンプルな言葉に、色々な感情が込められていました。

次回、ガルドとの再会です。

またお会いしましょう。

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