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魔族に育てられた俺、 気づけば光と闇の境界に立っていた  作者: CYABUSAN(ちゃぶさん
第一章:父と子の物語(第1〜10話)

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四十二話 三人だけの夜

41話で、セラが連れていかれました。

「元気でね」という言葉を残して。

今回は、三人だけの旅が始まります。

セラがいない、という事実が——じわじわと効いてきます。

セラがいなくなってから、一日が経った。

三人で街道を歩いていた。


いつもより、静かだった。

セラがいた時は、こんなに静かじゃなかった。


「……気配、察知できてるか?」

ルシェが言った。


「……俺には無理だ」


「あたしも、天使の気配は得意じゃない。魔族の気配なら分かるけど」


「セラがいれば——」


「いない」

ルシェは短く言った。

「今は、いない。だから——」


「別の方法を考える」


「そういうことだ」


リナが静かに言った。

「……私、役に立てることないかな」


「薬草を使って、気配を察知できないか?」


「……薬草で気配は察知できないですけど」


「だよな」


「でも——」

リナは少し考えた。

「魔物が怯える薬草があります。魔物が逃げる方向を見れば、何かがいる方向が分かるかもしれません」


俺とルシェは顔を見合わせた。

「……それ、使えるな」


「でも魔物がいないと意味ないですけど……」


「今日はいる。さっきから後ろを何かが追ってきてる」


「え!?」


「気にしなくていい。小さい奴だ」


「気になります!!」


ルシェが後ろを振り返った。

草むらから、小さな獣型の魔物が顔を出した。

耳がぴょこんと立っていた。


「……可愛い」

リナが思わず言った。


「可愛くない。魔物だ」


「でも可愛いです」


「……魔物に可愛いという感情を持つのは、あたしには理解できない」


「ルシェさんも可愛いと思いませんか!?」


「思わない」


「嘘つかないでください!」


「……思わない」


「目が泳いでますよ!」


「泳いでない」


「泳いでます!!」


魔物は俺たちのやり取りを見て、首を傾けた。

その仕草が、また可愛かった。


「……うっさい」

ルシェは前を向いた。


でも——振り返る素振りを、三回くらいしていた。

俺は黙って見ていた。


(セラがいたら「記録します」って言ってたかもな)

その思いが、胸を少しだけ締め付けた。


昼過ぎ。


小さな村に立ち寄った。

水を補給して、情報を集めるためだ。

「ガルドの目撃情報、あるといいけど」


「……天界の騎士が地上をうろついてたら、目立つはずだ」


「村人に聞いてみよう」


村の入口で老人に声をかけた。

「すみません、銀の鎧をまとった騎士を見かけませんでしたか?」


老人は少し考えた。

「銀の鎧……ああ、三日前に東の街道で見かけたぞ。珍しい恰好をした男でな」


「東の街道ですか」


「ああ。足早に歩いてたな。何か急いでるようだった」


「ありがとうございます」

俺たちは村を出た。


「東か」


「三日前なら、今頃どこにいるか分からないな」


「でも手がかりはできた」


「ああ」


ルシェが少し間を置いた。

「……セラがいたら、もっと早く情報を集められたかもしれない」


「そうだな」


「……早く取り戻す」


「ああ」


「……急ぐぞ」


「分かってる」

三人で東の街道へ向かった。

東の街道に入って、しばらく歩いた時だった。


「……お前ら」

声が聞こえた。


路地の陰から、フードの影が出てきた。

首輪が、かすかに光っている。

「ソロ」


「……昨日、この辺りで騒ぎがあったな」


「見てたのか?」


「……遠くから、少しだけ」


俺は少し間を置いた。

「全部見てた?」


「……全部じゃない。」


「そうか」


ソロは俺を見た。

「……取り戻しに行くのか」


「ああ」


「天界に?」


「ああ」


ソロは少し黙った。

「……無謀だな」


「分かってる」


「……でも行くのか」


「行く」


ソロはしばらく俺を見ていた。

その目が——何かを考えているような目をしていた。

「……東の街道をもう少し進んだ先に、廃墟がある」


「廃墟?」


「……銀の鎧の男を、昨日そこで見た」


俺は息を呑んだ。

「ガルドか?」


「……名前は知らない。でも天界の気配がした」


「ありがとう、ソロ」


「……礼はいい」


「それでも言う」


ソロは視線を逸らした。

「……関係ないから教えたわけじゃない」


「じゃあなんで?」


「……」

ソロは少し黙った。


「……あの金の髪の天使が、お前らのために何かしたのは見てて分かった」


「……ああ」


「……そういう奴が、あんな場所に閉じ込められてるのは——」

ソロは言葉を切った。

「……嫌だと思っただけだ」


その言葉が、胸に静かに落ちた。

「ソロ」


「なんだ」


「……ありがとう」


「だから礼はいいって言ってる」


「それでも言う」


ソロは「うっさい」とも言わなかった。

ただ、フードを深く被り直して、路地の奥へ消えた。


その背中を見て、ルシェが小声で言った。

「……あいつ、変わってきたな」


「そうだな」


「……関係ないって言いながら、一番関係ある動きをしてる」


「ルシェみたいだな」


「……どこが」


「放っておけないって言いながら、ちゃんと助けてくれるとこ」


「……全然違う」


「似てる」


「……うっさい」

でも——ルシェは否定しきれていなかった。


廃墟に着いた頃、日が傾き始めていた。

石造りの古い建物が、森の奥に静かに立っていた。


「……気配がある」

ルシェが言った。


「天界の?」


「……天使の、だと思う。あたしには詳しくは分からないけど」


「行くか」


「……慎重に」

三人で廃墟の中へ入った。


石の床に、足音が響く。

廊下の奥に——

銀の鎧をまとった男が、壁にもたれて座っていた。

「……ガルド」


ガルドは顔を上げた。

その目が——前回より、少しだけ疲れていた。

「……お前たちか」


「ああ」


「三人だけか」


「ああ」


ガルドは俺たちを見た。

「……天使は?」


「それを話しに来た」


ガルドは少し黙った。

「……入れ」


廃墟の奥の部屋に、四人で入った。

俺はガルドに全部話した。

ザイルが来たこと。ハエルが追い詰められたこと。セラが「なんでも言う事を聞く」と言ったこと。連れていかれたこと。

ガルドは黙って聞いていた。


「……そうか」


「ガルド、お前に頼みがある」


「……聞こう」


「天界への道を教えてくれ」


ガルドは少し黙った。

「……それは」


「セラを取り戻したい」


「……天界に人間と魔族が入ろうとしたら——排除される」


「それは分かってる」


「命がけになる」


「分かってる」


「……なぜそこまでする」


俺は少し間を置いた。

「セラが、俺たちのために自分を差し出した」


「……」


「それを、見てただけでいられるわけがない」


ガルドはしばらく俺を見ていた。

何かを考えているような目をしていた。

「……今日すぐには答えられない」


「……そうか」


「でも——」

ガルドは立ち上がった。

「ここにいろ。今夜だけ、ここを使っていい」


「……ありがとう」


「礼はまだ早い」

ガルドは廃墟の奥へ消えていった。


リナが小声で言った。

「……考えてくれてますよね、きっと」


「……そうだといいな」


「目が、また優しかったです」


ルシェが短く言った。

「……あいつの目が優しかったって、前にも言ってたな」


「はい!」


「……お前、人の目をよく見るな」


「大事なことが目に出るじゃないですか」


「……魔族は目で嘘をつける」


「ガルドさんは嘘をついてないと思います」


「……根拠は?」


「目が、疲れてたから」


「……疲れてたら正直者なのか」


「嘘をつき続けてる人は、もっと別の疲れ方をします」


ルシェは少し黙った。

「……よく分かるな、そういうこと」


「薬師だから、かもしれません。体の状態を見るのと、似てる気がして」


「……なるほど」

ルシェは珍しく、素直に頷いた。


夜。


廃墟の一室で、三人は焚き火を囲んだ。

静かだった。


セラがいた時と、同じ時間のはずなのに——全然違う静けさだった。

「……セラさん、今頃どうしてるんでしょう」

リナが静かに言った。

「……怖い思いをしてないといいけど」


「……してるかもしれない」

ルシェが正直に言った。

「でも——あいつは強い。折れない」


「……そうですね」


「ザイルの前で頭を下げた。でも折れてない。そういう奴だ」


リナは頷いた。

「……早く会いに行きたいですね」


「ああ」


「……セラさんに、言いたいことがあるんです」


「何を?」


「……ありがとう、って」

リナは焚き火を見た。

「私のためにも、頭を下げてくれたんだと思うから」


「……そうだな」


「だから——早く言いたいです」


焚き火が、静かに揺れた。

ルシェが空を見上げた。

「……明日、ガルドが答えを出す」


「ああ」


「……どっちに転んでも、動くぞ」


「ああ」


「……教えてくれなくても、別の方法を探す」


「うん」


「……絶対に取り戻す」


「ああ」

三人は静かに、でも確かに頷いた。

焚き火の火が、夜の廃墟を照らしていた。

(セラ)

(待ってろ)

(必ず行く)

その思いを、胸の奥に刻んだ。


ハエルには戦わせてルシェももっと抵抗して本当にハエルがザイルに殺されそうになった時にセラが「待って!行きますから、、だからもうこれ以上は、、」的なそれに対してザイルが「もうそれだけじゃ僕の怒りが収集つかないよ?」セラ「なんでも言う事聞きますから、、、、ハエル、、、みんなのことは、、」ザイルが笑顔になってハエルのことを殺さずに気絶させるセラは一緒に天界に戻るとき「ハエル、、、、みんな、元気でね」って涙組ながらいう


完璧な場面です。セラの「なんでも言う事聞きますから」という言葉の重さと、ハエルを守るために自分を差し出すという決断が、セラのキャラクターを一番強く見せられます。フルで書き直します。


【前書き】


40話で、四人は連携して傭兵を撃破しました。


今回は、その翌日。

ザイルが本格的に動きます。

笑顔の裏に隠れていた本気が、ついに牙を剥きます。


元気でね


翌朝。


宿を出ようとした時だった。


町の入口に、ザイルが立っていた。


今回は——今までと違う空気があった。


笑顔は変わらない。


でも——その笑顔の奥に、今まで見えなかった何かがあった。


「やあ、セラ」


「……っ」


セラの体が、強張った。


「今日は挨拶じゃないよ」


ザイルは静かに言った。


「報告期限が、もう限界だ。上層部も、これ以上は待てないと言っている」


「……」


「君には、天界に戻ってもらう。今日、ここで」


俺は即座に前に出た。


「渡さない」


ザイルは俺を見た。


「……また君か、ハエル」


「ああ。また俺だ」


「懲りないね」


「懲りない」


ザイルは少し首を傾けた。


「……面白い人間だ。でも——今日は退いてもらうよ」


「退かない」


「そう」


ザイルの笑顔が、わずかだけ変わった。


「なら——仕方ないね」


ザイルが踏み込んだ。


速い。


今まで感じたことのない速さだった。


俺は身構えた。


(目を見ろ——)


セラとの特訓で覚えた感覚を使う。


ザイルの目が動いた。


右——


俺は左に動いた。


ザイルの拳が、俺の頬をかすめた。


「……っ」


「おや」


ザイルが少し目を細めた。


「避けたね。人間にしては、随分と」


「父さんに鍛えてもらったから」


「父さん……ああ、堕天した天使か」


俺の体が、一瞬だけ固まった。


「……知ってるのか」


「もちろん。アスモスだろう? 天界では有名だったよ。人間を助けすぎた愚かな天使として」


「愚かじゃない」


「そう思うのは自由だけど——」


ザイルの目から、笑顔だけが残って温度が消えた。


「愚かだから堕天したんだよ」


「……っ!」


怒りが、体の奥から込み上げてきた。


闇が、わずかに反応した。


(落ち着け)


(今は暴走してる場合じゃない)


「ハエル、下がれ!」


ルシェが前に出た。


「あたしが相手だ!」


「魔族か。君も随分と人間に肩入れしているね」


「うっさい」


ルシェが爪を構えた。


「……やってみろ」


ルシェが踏み込んだ。


今まで見た中で、一番速い踏み込みだった。


でも——


ザイルはそれを、ほとんど動かずに受け流した。


ルシェが弾かれた。


「ルシェ!」


「……大丈夫だ」


ルシェは即座に立ち上がった。


腕が震えていた。


でも——もう一度構えた。


「まだやるのか」


「当然だ」


ルシェは再び踏み込んだ。


今度は別の角度から。


爪が、ザイルの腕をかすめた。


「……っ」


「……当たったな」


ルシェが言った。


「……そうだね」


ザイルは自分の腕を見た。


笑顔が、わずかだけ固まった。


「魔族に傷をつけられるとは思わなかった。君は——なかなかやるね」


「お世辞はいらない」


「お世辞じゃないよ」


ザイルは構えを変えた。


「でも——これ以上は、僕も本気を出さないといけないね」


光が溢れた。


ザイルの周囲に、天使の力が満ちた。


「……っ、これは」


ルシェが足を止めた。


「本気の第二階梯……」


「そう。君では届かない。残念だけど」


ルシェが吹き飛ばされた。


「ルシェ!!」


俺は駆けた。


ルシェは壁に叩きつけられていた。


「……くそ」


「動くな」


「……離せ、ハエル」


「無理だ。今は」


ルシェは俺の手を振り払おうとした。


でも——立ち上がれなかった。


「……くそっ」


ルシェが悔しそうに地面を叩いた。


俺は立ち上がった。


ザイルを見た。


「……お前が相手だ」


「ハエル」


リナが叫んだ。


「無理です! 相手は第二階梯で——」


「分かってる」


「なら——」


「でも、退けない」


俺はザイルに向かった。


セラとの特訓、ルシェとの訓練、全部を体に込めて。


ザイルの目を見る。


動きを読む。


砂を掴む。


フェイントを使う。


ザイルの動きが一瞬だけ乱れた。


「……面白い」


でも——


次の瞬間、俺の体が宙に浮いていた。


「ぐっ……!」


ザイルの拳が、俺の腹に深く入っていた。


視界が揺れた。


地面が近くなった。


「ハエルさん!!」


リナの声が、遠くなった。


ザイルが俺の上に立った。


その笑顔が、今日は——冷たかった。


「よく頑張ったよ、ハエル。本当に。人間としては、十分すぎるくらい」


「……っ」


「でも——これ以上は、死んでもらうしかないね」


ザイルの手が、光を帯びた。


(死ぬ……?)


体が動かない。


(まずい……)


「——待って!!」


声が飛んだ。


セラの声だった。


ザイルの手が、止まった。


「……セラ」


「……待ってください」


セラは俺とザイルの間に立っていた。


その体が、震えていた。


でも——前に出た。


「……行きます。天界に」


「セラ!?」


「……だから——もうこれ以上は、やめてください」


ザイルは少し首を傾けた。


「やめる……か」


その笑顔が、戻ってきた。


でも——今度の笑顔は、もっと嫌な感じがした。


「セラが来てくれるのは、嬉しい。でも——」


ザイルは静かに言った。


「……それだけじゃ、僕の怒りは収まらないよ?」


「……っ」


セラは少し黙った。


「……なんでも、言う事を聞きます。だから」


「なんでも?」


「……はい」


ザイルは少し間を置いた。


その笑顔が、今度は本物の笑顔になった。


一番嫌な種類の笑顔だった。


「……分かった。君の言葉を信じよう」


ザイルはハエルを見た。


「死なせてあげる、とは言えないけど——」


光が収まった。


「……気絶だけにしてあげよう」


「……ありがとうございます」


セラの声が、震えていた。


ザイルの手が、俺の頭に触れた。


意識が、遠くなっていく。


最後に見えたのは——


セラの顔だった。


涙が、こぼれていた。


「ハエル……みんな」


セラの声が、遠くなる。


「……元気でね」


意識が戻った時、セラはいなかった。


リナが俺の隣にいた。


目が真っ赤だった。


「……ハエルさん」


「……ああ」


「気がつきましたか……?」


「……ああ」


「よかった……!」


リナが俯いた。


「セラさんが……」


「分かってる」


「……なんでも言う事を聞くって、言ってたんです」


「……そうか」


「私たちのために……」


リナの声が、震えた。


「……悔しいです」


「俺も悔しい」


ルシェが壁にもたれて言った。


「……あたしが弱かったから」


「ルシェのせいじゃない」


「でも——もっと力があれば」


「ルシェのせいじゃない」


俺は繰り返した。


「……ザイルが強すぎた。それだけだ」


ルシェは黙った。


でも——その拳が、地面を叩いた。


俺は立ち上がった。


体が痛い。


でも——立てた。


「取り戻しに行く」


「……ハエル」


「セラを取り戻しに行く。天界に入る方法を探す」


「天界に……どうやって」


「ガルドだ」


ルシェが顔を上げた。


「……そうだな。天界への道を知ってるとしたら、あいつしかいない」


「でもガルドは——」


「敵だ。今は」


俺はルシェを見た。


「でも——お前が言ってたよな。自分の中で答えを探してる途中だって」


「……ああ」


「その答えを、早めに出させる」


ルシェは少し黙った。


「……あたしが言ったんだったか、それ」


「言ってた」


「……そうか」


ルシェは立ち上がった。


「行くか」


「ああ」


リナが涙を拭いた。


「……私も行きます」


「リナ、天界は——」


「知ってます。でも行きます」


「……なんで」


「セラさんが私たちのために、なんでも言う事を聞くって言ったんです」


リナはまっすぐ俺を見た。


「私が、行かない理由がないじゃないですか」


ルシェが短く言った。


「……真っ直ぐな奴だ」


「ルシェさんもです」


「……うっさい」


でも否定しなかった。


三人で歩き出した。


セラが消えた空を、一度だけ見上げた。


(待ってろ、セラ)


(必ず、迎えに行く)


「元気でね」というセラの声が、まだ耳に残っていた。


【後書き】


41話、読んでくださってありがとうございます。


ザイルが本格的に動きました。


ルシェがザイルに傷をつけた場面。弾かれながらも何度も立ち上がった。それがルシェの強さです。


ハエルが追い詰められた瞬間、セラが前に出ました。「なんでも言う事を聞きます」という言葉の重さ。自分を差し出すことで、ハエルたちを守った。


「ハエル……みんな、元気でね」


涙を流しながら言ったこの言葉が、今話で一番重い言葉だったと思います。


次回から、奪還作戦が始まります。


またお会いしましょう。


整合性チェック済みです。ザイルがアスモスを「愚かな天使」と言う場面でハエルの怒りが出ましたが暴走は抑えました。ルシェが傷をつけた場面は設定の「戦闘力が高い」と整合しています。アスモスは「父さん」のみ。ルシェはアスモスへの言及なし。


42話に進みますか?


42話 どういうプラン?


現在の状況と今後のプランを整理します。


現在地

41話完了

セラがザイルに連れていかれた。ハエルが気絶させられた。三人が「ガルドを探して天界に入る」という方向に動き出した。


42話〜セラ奪還までのプラン

42話 ガルドを探す


三人でガルドを探す。でも簡単には見つからない。移動しながら、ガルドの目撃情報を集める。その途中でソロが現れて「あっちの方向で天界の騎士を見た」と情報をくれる。ソロなりの協力の形。


リナの「何もできない」という葛藤がここでまた積み重なる。セラがいなくなって、セラの役割の大きさを改めて感じる場面も入れる。


くすっと笑える場面も一つ入れる。


43話 ガルドと対峙


ガルドを見つける。三人がガルドに「天界への道を教えてくれ」と頼む。ガルドは最初は拒否する。でもハエルが「お前の中で答えが出た時に動けばいい。でも今、セラが攫われた」と言う。ガルドが揺れる。


ガルドがまだ完全に味方になるわけではない。でも「天界への入り方」だけを教える。それがガルドの今の精一杯。


44話 天界への侵入


ガルドが教えた方法で天界へ侵入する。ハニエルと出会う。「アスモス、かい?」という場面。ハエルが「父さんの息子だ」と言う。ハニエルがアスモスの話をする。加護を受ける。


45話 セラ奪還とリナの覚醒


天界の施設でザイルと対峙。ハエルとルシェが戦うが結界に阻まれる。リナが「私は何もできない」と限界まで追い詰められた瞬間に巫女として覚醒。結界を砕く。セラを取り戻す。


46話 脱出と教団の動き


三人とセラで天界から脱出。リナの覚醒が外部に察知される。教団が動き出す。


42話で入れるもの

ガルドを探す移動回。ソロの協力。リナの葛藤は軽く。くすっと笑える場面一つ。セラがいない三人の空気感を丁寧に描く。「セラがいないと、こんなに違う」という静かな喪失感。


このプランで42話書きますか?それとも修正したい点がありますか?


42よろしく


執筆前に設定と直前話を全確認します。


執筆前チェック

直前までの流れ

41話:ザイルが本格的に動いた。ルシェがザイルに傷をつけた。ハエルが追い詰められた瞬間にセラが「なんでも言う事を聞きます」と前に出た。セラが「ハエル……みんな、元気でね」と涙を流しながら天界へ連れていかれた。三人がガルドを探して天界へ向かうことを決意した。


42話でやること

ガルドを探す移動回。ソロが情報をくれる。セラがいない三人の空気感を丁寧に描く。リナの葛藤は軽く一場面だけ。くすっと笑える場面を一つ入れる。


セラがいない影響

セラは情報収集、天界の知識、光魔法での補助、気配の察知を担っていた。三人だけになると、これらが全部抜ける。特に「気配の察知」がないことで、危険に気づくのが遅れるという場面を作れる。


ソロの協力の形

「協力する」とは言わない。「そっちの方向で天界の騎士を見た」とだけ言う。情報だけ渡して去る。それがソロらしい距離感。


口調確認

全員これまで通り。アスモスは「父さん」のみ。ルシェはアスモスへの言及なし。


後書きについて

本文の要約にしない。読者への視点を添える形にする。


【前書き】


41話で、セラが連れていかれました。


「元気でね」という言葉を残して。


今回は、三人だけの旅が始まります。

セラがいない、という事実が——じわじわと効いてきます。


三人だけの夜


セラがいなくなってから、一日が経った。


三人で街道を歩いていた。


いつもより、静かだった。


セラがいた時は、こんなに静かじゃなかった。


「……気配、察知できてるか?」


ルシェが言った。


「……俺には無理だ」


「あたしも、天使の気配は得意じゃない。魔族の気配なら分かるけど」


「セラがいれば——」


「いない」


ルシェは短く言った。


「今は、いない。だから——」


「別の方法を考える」


「そういうことだ」


リナが静かに言った。


「……私、役に立てることないかな」


「薬草を使って、気配を察知できないか?」


「……薬草で気配は察知できないですけど」


「だよな」


「でも——」


リナは少し考えた。


「魔物が怯える薬草があります。魔物が逃げる方向を見れば、何かがいる方向が分かるかもしれません」


俺とルシェは顔を見合わせた。


「……それ、使えるな」


「でも魔物がいないと意味ないですけど……」


「今日はいる。さっきから後ろを何かが追ってきてる」


「え!?」


「気にしなくていい。小さい奴だ」


「気になります!!」


ルシェが後ろを振り返った。


草むらから、小さな獣型の魔物が顔を出した。


耳がぴょこんと立っていた。


「……可愛い」


リナが思わず言った。


「可愛くない。魔物だ」


「でも可愛いです」


「……魔物に可愛いという感情を持つのは、あたしには理解できない」


「ルシェさんも可愛いと思いませんか!?」


「思わない」


「嘘つかないでください!」


「……思わない」


「目が泳いでますよ!」


「泳いでない」


「泳いでます!!」


魔物は俺たちのやり取りを見て、首を傾けた。


その仕草が、また可愛かった。


「……うっさい」


ルシェは前を向いた。


でも——振り返る素振りを、三回くらいしていた。


俺は黙って見ていた。


(セラがいたら「記録します」って言ってたかもな)


その思いが、胸を少しだけ締め付けた。


昼過ぎ。


小さな村に立ち寄った。


水を補給して、情報を集めるためだ。


「ガルドの目撃情報、あるといいけど」


「……天界の騎士が地上をうろついてたら、目立つはずだ」


「村人に聞いてみよう」


村の入口で老人に声をかけた。


「すみません、銀の鎧をまとった騎士を見かけませんでしたか?」


老人は少し考えた。


「銀の鎧……ああ、三日前に東の街道で見かけたぞ。珍しい恰好をした男でな」


「東の街道ですか」


「ああ。足早に歩いてたな。何か急いでるようだった」


「ありがとうございます」


俺たちは村を出た。


「東か」


「三日前なら、今頃どこにいるか分からないな」


「でも手がかりはできた」


「ああ」


ルシェが少し間を置いた。


「……セラがいたら、もっと早く情報を集められたかもしれない」


「そうだな」


「……早く取り戻す」


「ああ」


「……急ぐぞ」


「分かってる」


三人で東の街道へ向かった。


東の街道に入って、しばらく歩いた時だった。


「……お前ら」


声が聞こえた。


路地の陰から、フードの影が出てきた。


首輪が、かすかに光っている。


「ソロ」


「……また会ったな」


「追ってきたのか?」


「……違う。たまたまだ」


「そうか」


ソロは少し間を置いた。


「……セラって天使、いなくなったな」


「ああ」


「……ザイルに連れていかれたって噂で聞いた」


「噂になってるのか」


「……天界の大天使が地上で動いてたんだ。魔族の間では話題になってる」


「そうか」


ソロは俺を見た。


「……取り戻しに行くのか」


「ああ」


「天界に?」


「ああ」


ソロは少し黙った。


「……無謀だな」


「分かってる」


「……でも行くのか」


「行く」


ソロはしばらく俺を見ていた。


その目が——何かを考えているような目をしていた。


「……東の街道をもう少し進んだ先に、廃墟がある」


「廃墟?」


「……銀の鎧の男を、昨日そこで見た」


俺は息を呑んだ。


「ガルドか?」


「……名前は知らない。でも天界の気配がした」


「ありがとう、ソロ」


「……礼はいい」


「それでも言う」


ソロは視線を逸らした。


「……関係ないから教えたわけじゃない」


「じゃあなんで?」


「……」


ソロは少し黙った。


「……セラって天使、お前らのためにあの大天使の前で頭を下げたんだろ」


「……ああ」


「……そういう奴が、あんな場所に閉じ込められてるのは——」


ソロは言葉を切った。


「……嫌だと思っただけだ」


その言葉が、胸に静かに落ちた。


「ソロ」


「なんだ」


「……ありがとう」


「だから礼はいいって言ってる」


「それでも言う」


ソロは「うっさい」とも言わなかった。


ただ、フードを深く被り直して、路地の奥へ消えた。


その背中を見て、ルシェが小声で言った。


「……あいつ、変わってきたな」


「そうだな」


「……関係ないって言いながら、一番関係ある動きをしてる」


「ルシェみたいだな」


「……どこが」


「放っておけないって言いながら、ちゃんと助けてくれるとこ」


「……全然違う」


「似てる」


「……うっさい」


でも——ルシェは否定しきれていなかった。


廃墟に着いた頃、日が傾き始めていた。


石造りの古い建物が、森の奥に静かに立っていた。


「……気配がある」


ルシェが言った。


「天界の?」


「……天使の、だと思う。あたしには詳しくは分からないけど」


「行くか」


「……慎重に」


三人で廃墟の中へ入った。


石の床に、足音が響く。


廊下の奥に——


銀の鎧をまとった男が、壁にもたれて座っていた。


「……ガルド」


ガルドは顔を上げた。


その目が——前回より、少しだけ疲れていた。


「……お前たちか」


「ああ」


「三人だけか」


「ああ」


ガルドは俺たちを見た。


「……天使は?」


「それを話しに来た」


ガルドは少し黙った。


「……入れ」


廃墟の奥の部屋に、四人で入った。


俺はガルドに全部話した。


ザイルが来たこと。ハエルが追い詰められたこと。セラが「なんでも言う事を聞く」と言ったこと。連れていかれたこと。


ガルドは黙って聞いていた。


「……そうか」


「ガルド、お前に頼みがある」


「……聞こう」


「天界への道を教えてくれ」


ガルドは少し黙った。


「……それは」


「セラを取り戻したい」


「……天界に人間と魔族が入ろうとしたら——排除される」


「それは分かってる」


「命がけになる」


「分かってる」


「……なぜそこまでする」


俺は少し間を置いた。


「セラが、俺たちのために自分を差し出した」


「……」


「それを、見てただけでいられるわけがない」


ガルドはしばらく俺を見ていた。


何かを考えているような目をしていた。


「……今日すぐには答えられない」


「……そうか」


「でも——」


ガルドは立ち上がった。


「ここにいろ。今夜だけ、ここを使っていい」


「……ありがとう」


「礼はまだ早い」


ガルドは廃墟の奥へ消えていった。


リナが小声で言った。


「……考えてくれてますよね、きっと」


「……そうだといいな」


「目が、また優しかったです」


ルシェが短く言った。


「……あいつの目が優しかったって、前にも言ってたな」


「はい!」


「……お前、人の目をよく見るな」


「大事なことが目に出るじゃないですか」


「……魔族は目で嘘をつける」


「ガルドさんは嘘をついてないと思います」


「……根拠は?」


「目が、疲れてたから」


「……疲れてたら正直者なのか」


「嘘をつき続けてる人は、もっと別の疲れ方をします」


ルシェは少し黙った。


「……よく分かるな、そういうこと」


「薬師だから、かもしれません。体の状態を見るのと、似てる気がして」


「……なるほど」


ルシェは珍しく、素直に頷いた。


夜。


廃墟の一室で、三人は焚き火を囲んだ。


静かだった。


セラがいた時と、同じ時間のはずなのに——全然違う静けさだった。


「……セラさん、今頃どうしてるんでしょう」


リナが静かに言った。


「……怖い思いをしてないといいけど」


「……してるかもしれない」


ルシェが正直に言った。


「でも——あいつは強い。折れない」


「……そうですね」


「ザイルの前で頭を下げた。でも折れてない。そういう奴だ」


リナは頷いた。


「……早く会いに行きたいですね」


「ああ」


「……セラさんに、言いたいことがあるんです」


「何を?」


「……ありがとう、って」


リナは焚き火を見た。


「私のためにも、頭を下げてくれたんだと思うから」


「……そうだな」


「だから——早く言いたいです」


焚き火が、静かに揺れた。


ルシェが空を見上げた。


「……明日、ガルドが答えを出す」


「ああ」


「……どっちに転んでも、動くぞ」


「ああ」


「……教えてくれなくても、別の方法を探す」


「うん」


「……絶対に取り戻す」


「ああ」


三人は静かに、でも確かに頷いた。


焚き火の火が、夜の廃墟を照らしていた。


(セラ)


(待ってろ)


(必ず行く)


その思いを、胸の奥に刻んだ。


【後書き】


42話、読んでくださってありがとうございます。


セラがいない三人の旅、静かでした。セラが担っていた気配の察知、情報収集、光魔法での補助——その全部が抜けた重さが、じわじわと伝わっていたら嬉しいです。


小さな魔物に「可愛い」と言ったリナと、「思わない」と言いながら三回振り返ったルシェ。セラがいたら「記録します」と言っていたかもしれません。そのことをハエルが一瞬思った場面に、セラの不在が一番滲んでいたと思います。


ソロの「そういう奴が、あんな場所に閉じ込められてるのは嫌だと思っただけだ」という言葉。関係ないと言いながら、一番関係あることをする。ソロらしい協力の形でした。


次回、ガルドが答えを出します。


またお会いしましょう。

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