家族だから難しい事もあるなと思うのです。
いつもありがとうございます♪
姉と兄は揉めたものの、ルーナが鳴き出した事で何とか収まった。
その後に、カイルが兄を宥め、ユーリが姉に駆け寄る事で何とか落ち着いた。
男子と女子に自然に分かれるかと思ったけど意外にもキースがユーリから離れなかった。ユーリがキースよりも少し背が低いからか手を握って来た。その仕草は自然で家族に対するものと変わりなかったのでユーリは苦笑しながら受け入れた。姉は何か思う所のある目で見て来たが、小さい子にはさすがに絡む気にはならなかったようだ。無邪気さの勝利かもしれない。
「ガァちゃん!」
中庭に着いて呼びかけると、アヒル達は鳴きながら素早く駆け寄って来た。ユーリの隣にいるキースもアヒルと雛達に囲まれる事になった。キースは自分と同じ位の背丈のアヒルに目を丸くしていた。
「きいちゃん、ガァちゃんだよ?」
「ガァちゃん!」
ユーリがキースにアヒルを紹介すると、キースは名を呼んで嬉しそうに笑った。
ガァちゃんは「よろしく」と言うようにキースの顔に顔を寄せてスリスリした。キースもそれに無邪気な笑い声を上げる。雛達もピィピィ言いながら取り囲んでいたけど、歓迎しているようだった。
それを見て、何故か兄が驚いたような声を上げていた。
「……つつかれて、ない?」
「うん、ぼくたちやられたのにね」
カイルとヒソヒソと話している。二人共、初対面の時は結構突かれていたなとユーリは思い出した。
アヒル達も誰彼構わず突いているわけではない。キースは小さくて大人しいからではないだろうか。動物は意外と人をちゃんと見ているものである。
雛達も寄って来たので、ぴいちゃんから順に名前を呼んでいくと嬉しそうに返事をしてくれた。
「チビたちになまえつけたのか?」
「みわけつくの? すごいね」
兄とカイルは関心したような声を上げた。
「ユーリ、がんばった!」
「ふふ、私も一緒に見守ったのよ? 誰かさんは出かけていたから知らないわよね」
何故か姉が勝ち誇るように言う。兄の事を粗暴扱いする割に変に主張するのが姉だ。家族相手に素直なのはいいとして、こういう積み重ねが不仲の元なのかもしれない。姉弟でも親子でも相性はある。家族だから仲良しとは限らない。むしろ、家族だから揉める事になったりもする。
前世でも社会は家族を美化しがちだったけど、この世界でもやはりその傾向はある。家族であっても別個の人間である以上、相性があるのは当たり前なのに。社会的理想であるのと同時に連帯責任である事を刷り込まれている気がする。
支え合う事は美しいけど、時に逃れられない楔にもなる。それがどれだけの重荷になるのかは、同じ荷物でも人によって感じ方は違うのだろうけど。
目の前の軽い姉弟の小競り合いを見て、つい色々と考えてしまったユーリは姉の腕の中で鳴くルーナの声で思考から抜け出した。
「……ねぇちゃ、ケンカはメッよ?」
ユーリが姉の腕の中にいるルーナを見ながら言うと、姉は言葉に詰まったように呻いた後に不本意そうに頷いた。その後、ルーナに謝って宥めていた。
兄はそれを見て勝ったような顔をしていたけど、言い返していたので同罪だ。
「にいちゃも。なかよくあそぶの!」
ケンカするよりも仲良く遊ぶ方が楽しいはずだ。目線で問いながら言うと、兄も気不味い顔をしながら頷いた。
「……ハリネズミって可愛いの?」
「かわいいのっ!」
気不味い空気の中、姉が咳払いをしてから急に話題を変えた姉にユーリは即答した。
「しかも、かっこいいんだぜ!」
兄は何故か得意気な顔で嬉しそうに言った。姉はかっこいいという言葉に首を傾げたが、突っ込みは入れなかった。無駄に揉めなかったので、その後はスムーズにハリネズミ達と姉は対面出来た。
お客様がいるのもあってか、地面に厚手の布を敷いてピクニック様式。ユーリと姉とキース、兄とカイルに分かれてはいるもののその真ん中にハリネズミ3匹を入れたカゴをマーサがそっと置いた。
かけていた布をカイルがそっと外すと、ハリネズミ達は寝ていたようで大人しかった。ルーナは姉の腕から下りてカゴを覗き込む。
「……束子?」
小首を傾げてユーリと同じ感想を言う姉に兄は不満そうな顔をしたけど文句を言うのは堪えたようだ。
「しろいのがハリー。くろいのがカイルのクリ。はいいろがキースのマルだよ」
「色が違うと分かりやすくていいわね」
姉はハリネズミが珍しいからか普通に応えて、カゴの中を覗き込んでいた。猫だけでなく、意外と生き物が好きなのかもしれない。虫は無理みたいだけど。
ルーナはそんな姉の腕から下りると、身体を伸ばしてカゴを覗き込んだ。そして、そっと手の伸ばしてチョンと白い束子を突く。何度か突くと、束子が揺れて形が変わって顔が出て来た。ルーナが顔を寄せると鼻で挨拶をしていた。
「……か、可愛い」
「だろ? しかもチクチクがいたいんだぜ」
姉はカゴの中に釘付けだ。
「あら、じゃあ触れないの?」
「おこらせたり、こわがらがせなければだいじょうぶですよ」
カイルが笑いながら手を伸ばして、クリをそっと抱き上げて姉に差し出した。
クリは顔を出して、姉が近付けた手の臭いを嗅いだ。
「あら、大人しいのね?」
姉は静かに手を伸ばして、クリの背にも触れた。背の針は柔らかくはないけど、立てていなければ痛くはない。姉は不思議そうな顔をすると、クリの顔に顔を寄せてソッと微笑んだ。
「きいちゃんもさわりたい!」
仲間に入りたかったのか、キースがカイルの側に行き腕に張り付いた。
アヒルと雛達も何故か寄って来て、キースの手を覗き込んだ為にクリは丸まって黒い束子になった。それを突こうとするアヒルと覗き込むのに必死な雛達。兄は止めようとして結局アヒルに突かれて悲鳴を上げていた。
意外と兄は損な役回りなのかもしれない。
意外と進みませんでした〜。
アヒル達にリボンを付けてあげる予定だったのですが、その前にハリネズミと初対面の人がいたなという事で。
アヒル達もお庭で遊ぶなら紹介しないといけないかなと。




