子猫は鎹?
リアクションありがとうございます♪
読んでもらえるだけで充分に有り難いのですが、反応が目に見えると余計に嬉しいです〜。
兄がカイル兄弟と帰宅した翌日。
ユーリの部屋には朝から姉が押しかけて来ていた。
「ルーナ! 1日ぶりね」
昨日の昼間は兄達を避けて一緒にいなかっただけなのに姉は大袈裟だった。とはいえ、子猫を脅かさないように声量も加減しているし、抱きしめ方も優しかった。ルーナも姉には慣れて来ていて大人しくしている。
「昨日の昼間は一緒にいられなかったから、街で首に結ぶリボンを探して来たの。可愛いでしょう?」
姉がポケットから取り出したリボンは赤い色をしていた。太めのリボンで、リボン状の首輪のように加工されていた。どうもペットショップのような店があるらしい。蝶々結びに整えられたリボンの下には金属のプレートがついていて「ルーナ」と書かれていた。
ルーナは大人しく首にリボンをつけてもらっていた。
「可愛いっ! やっぱり似合うわ!」
「ルーナ、かわいいっ」
姉は満足気な声を上げ、ユーリもそれに同意する。黒猫に赤いリボンはよく似合った。前世のアニメで見た魔女の相棒猫のように。ルーナはあの猫とは違うのだけど。子猫だからか、猫の種類が違うからなのか骨格から違う感じだ。似ているかといえば似てはいないと思う。
「ふふふ。実はアヒル達にもリボンを買って来たのよ。だからアヒル達にもリボンを付けに行って、今日は私と一緒に過ごしましょう?」
客人達は放置して、一緒に過ごそうという子猫目当ての誘いにユーリは苦笑いした。
「あのね、やくそくしちゃったの。きょうもあそぼうって」
「今日は難しいですわね。カイル様の弟であるキース様が楽しみにされていたので」
ユーリとしても姉の誘いに乗りたい所ではあったけど、3歳児の期待を裏切るのは心苦しい。断るしかなかった。マーサも苦笑しつつユーリの言葉を補足してくれた。姉はそれを聞いてガッカリしたように肩を落とした。
「……今日もルーナと一緒にいられないなんて」
ルーナは姉にも随分慣れたものの、まだユーリと離れると鳴くのだ。見える距離にいればまだ鳴かなくなったものの、いないと思うと必死に鳴く。我慢させるのは可哀想なので、もう少し離さないようにしようという事になっていた。成長すれば、他の人でも大丈夫になるだろう。
それが分かっているからこそ姉は嘆いていた。
「きょうね、ガァちゃんたちとあそぶの。ねぇちゃもくる?」
「……ラルフ達が一緒なのよね?」
この世の終わりかのように嘆く姉にユーリは仕方なく遊びの誘いをかけた。
昨日は部屋で遊んで終わったけれど。アヒルの話を聞いたキースが遊びたいと言ったので、今日は暑くなる前の午前中に裏庭で遊ぶ事になっていた。
姉は嫌そうな顔をしながら言うと、抱きしめたルーナに頬を擦り寄せた。離れたくないというように顔を左右に振りながらスリスリしていて、姉の方が猫みたいだとユーリは呆れた。
ルーナはというと大人しくしているものの、ユーリをじっと見つめていた。助けを求めるまでじゃないと思うので軽く頷いて応えた。頑張って、というエールである。
「あのね、ハリネズミもくるの。ハリーとクリとマル! かわいいの」
「……晩ご飯の時に話していたわね、そういえば」
姉が少し考えているのが分かる。でも、どれだけ男児嫌いなのかまだ迷っている。
「キース様は大人しいですし、お家の方もついていますわ。男の子は男の子同士で遊ぶでしょうし、ローザ様の負担は少ないと思います」
ウンウンと唸る姉を見兼ねてか、マーサが声をかけた。
「……行ってもいいわ」
姉が同意した後、マーサは素早く水遊び出来る服に着替えなどを準備してくれた。マーサが姉の背中を押す言葉をかけたのは、早く準備をしてしまいたかったからかもしれない。
「あれ? ねーちゃんもいくの?」
「……何よ、悪い?」
姉を見た兄は思わず声を上げ、それに姉は不機嫌そうに応えた。カイルは関係性に勘付いているらしく苦笑していた。
「ゆうちゃん、おはよ!」
「おはよう、きいちゃん!」
キースは元気そうな声で朝の挨拶をしてくれた。
「おはよう、ユーリ。きのうはタワシをかしてくれてありがとう。おかげでキースのアセモ、よくなったよ」
昨日は柔らかくした束子をカイル達に貸したのだ。新しい束子も母が渡したけれど、すぐに使うにはまだ硬いので柔らかくなった自分のものを貸し出した。使い終わったものは返してもらっているので問題は無い。
カイルはキースと一緒にお風呂に入って、束子で洗ってあげたのらしい。キースも自分で洗える所は楽しんで洗っていたと話してくれた。汗疹になっていた所は、お風呂上がりは少し赤くはなっていたものの痛がらず。薬を塗って寝たら朝にはほぼ治っていたとの事だ。
傷になっていると直ぐには治らないので、元々のケアがあっての事だと思う。合ってよかったなと、ユーリはニコニコ顔になった。それにカイルも笑い、キースも同じく楽しそうな声を上げた。
姉と兄は微妙な空気を醸している。
姉の腕の中でルーナは困ったような顔で二人の顔を見上げていた。
子は鎹と言うけれど、小猫に鎹は荷が重いのかもしれない。
頑張って、とルーナにそっと内心でエールを送るユーリであった。
お姉ちゃんはヤンチャな男児が単純に苦手なのだと思います。
姉弟が無理に一緒に遊ぶ必要がない家庭環境なので苦手意識から避けています。
相手をするのが嫌なだけで、嫌いではないと思いますが難しい所ですね〜。




