本当に束子そっくりでした。
いつもありがとうございます♪
ハリネズミは、ネズミではなくモグラの仲間だという。だからという事もあるのか夜行性なのらしい。
背中には針のような毛が生えていて。警戒したり怖い時には丸まって毛を立てて身を守るという。
「……たわし?」
バスケットの上にかけられたタオルをめくると、そこにいたのは真ん丸な白い束子だった。
「ちがうって。ハリーだよ」
「アハハ、たしかににてるよね」
兄が反論しながらも白い束子を突いて主張すると、カイルはそれに笑った。
ハリネズミ、ハリーの紹介はそんな力が抜けるようなものになった。
その位、丸まったハリーは束子に似ていた。夜行性だからか、用心しているのか丸まったまま。
束子好きなユーリにとっては、そんな姿も不思議で愛らしいものだったけど。兄は可愛い姿を見せたいのか、本当に生きているのかを確認する為か突いて起こそうとして更に鋭く立った針に「いてぇ!」と声を上げていた。
「やさしくさわらないからだよ」
カイルは苦笑して、下からそっと掬い上げるように持ち上げた。そしてユーリに見せてくれる。
ユーリがそっと観察していると、立てていた針が寝て来て、丸まっていた身体からひょこんと鼻らしきものが見えた。
フゴフゴと動いている鼻にそっと指先を近付けると少しして、つぶらな黒い瞳が出て来た。
見守るユーリとしばらく見つめ合った後に、大丈夫だと思ったのか耳も出て顔全体が見えるようになった。
「あら、可愛いわね」
床に敷かれたラグ座って寛ぐユーリ達の後ろから覗き込んだ母も言うと、兄は嬉しそうに目を輝かせた。
「おかあさま!」
「連れて来たならしょうがないって言ったでしょう? ちゃんと面倒をみるのよ。それから、次は事前に確認なさいね」
兄は一瞬文句を言おうとしたけど飲み込んだように見えた。元々は父が言い出した事だし、それが了承と思ったのだろう。
けれど、姉はその後にちゃんと猫をもらって来る事を話して了承を得ているという違いがある。それは散々説教された事で理解はしたようだ。
母の説教の最中に寝てしまったユーリには何を言われたのか全ては聞いてはいないけど、そんな所だろうと勝手に納得した。
母の説教の最中に寝てしまったユーリだったが、終わった頃丁度のタイミングが昼だったので昼食を食べ。その後に子ども部屋に移動してハリネズミと対面する事になったのだ。
ちなみに、カイルの弟のキースは昼食時も寝ていたらしく無理に起こさない事になった。カイルの家人がついていて、起きたら昼食を食べさせてから連れて来る予定らしい。なので、ユーリはまだ会ってはいない。よく寝る大人しい子だといいな、と体力オバケの兄を見ながら思うのだった。
「カイル、クリは?」
「つれてきているよ。おばさま、うちのハリネズミもあそばせていいですか?」
カイルもハリネズミを連れて来ているのらしい。母が了承すると、カイルはユーリの膝の上にいる子猫の隣にハリーをそっと置いた。
子猫のルーナは初めて見るハリネズミに尻込みしてユーリの腕をよじ登ろうとしたので抱き上げた。ユーリの腕の中に安心したからか、ルーナはハリーを見つめた。ハリーの方も控え目な視線をルーナに送っている。
可愛過ぎる2匹の交流にユーリ達はメロメロになりながら見守った後にカイルはマーサが差し出したカゴを受け取った。カイルの家人は弟のキースについているのでマーサが預かったのかもしれない。
カイルはカゴから黒い束子を取り出してまたユーリのヒザの上に置いた。
「このこがクリ。ぼくのこだよ」
ハリーが手足を出して、黒くて小さい束子にしか見えないクリに近寄る。
ハリーが小さい声でピーと鳴くと、クリはモゾモゾと動いて顔を出した。顔を寄せ合い挨拶をするような仕草をした後、安心したのかコロンと寝転がった。ハリーは横向き、クリは上向きに転がると内側の柔らかそうな毛が見えた。ユーリは思わずゆっくりと手を伸ばしてクリのお腹を撫でた。クリは呑気な性格なのか大人しく撫でさせてくれる。
それを見た兄が嬉々として手を伸ばして来たけど、クリは意外と素早く丸まり針を立てた。「いて!」と兄は声を上げたけど、自業自得だとユーリは呆れた顔で見た。
カイルはその様子に笑ってから、何故かまたカゴに手を入れた。
そして、灰色の束子を取り出した。
「このこはマル。キースのこなんだ」
三匹目のハリネズミ、マルもユーリのヒザの上に乗せると束子は三つになった。
「たわしがみっつ……」
「……イガグリのほうがにてない?」
くり、マロンの栗か、とユーリは思いながらチクチクになったハリネズミ達にそっと触れる。
「たわし……」
見た目も感触も束子なハリネズミに感動して呟くユーリは、カイルが苦笑した事にも気付けないのだった。
ハリネズミの登場です☆
カイルの弟、キースは多分次回には出て来るんじゃないかなと思います。




