お兄様も動物好きなようです。
いつもありがとうございます♪
猫は何をしていても可愛い。
人はどうして猫に惹かれてしまうのか。
前世、店の常連客で大の猫好きだった女性曰く「人の庇護欲を掻き立て、本能的に惹かれるものがあるから」だと話していた。
猫についての雑学本に、赤子と猫は顔のパーツ配置が似ていると書いてあったようだ。赤子の泣き声と猫の鳴き声も似たものがあるらしい。
「でも、絶対それだけじゃない!」と彼女は熱く語っていた。皮毛も尻尾も動きも、何もかもが人を魅了する奇跡の存在なのだと。
犬のように人に忠実でもないのに、不思議と人に受け入れられて共存しているなとは確かに思った事がある。昔はネズミを捕るとか、虫を退治するとかのメリットも大きかったみたいだけど。昔と違い、現代は猫に仕事をさせる人は少ないから。
それに、猫は犬と違って、芸を仕込むのも難しいらしい。指示が分かっていても従わない、それが猫という生き物なのだ。
それから、彼女の偏見かもしれないけど「犬好きなのに猫嫌いの男は、自分に従順な女を求めているから要注意」だと熱弁していた。
ポイントは「犬好き」なのに「猫嫌い」な所だそうだ。
思い通りになる所が犬好きな理由だと分かったら、即座に距離を置くべきだそう。よっぽど嫌な思いをした事があるのか、猫嫌いが許せないのかは分からなかった。
別の常連客で、庭を荒すからと猫を毛嫌いしている人もいたので。見た目はともかく性質的には不都合があれば嫌う事もあるのかもしれない。
姉は完全に彼女と同じで、熱烈な猫好きなのは明らかだ。
猫が家に来るまでは、姉はどちらかと言えばマイペースだけどクールなタイプだと思っていた。でも、元々がそうだったのかもしれない。生き物好きなユーリが少し引く位に。好意の対象に向ける庇護欲がフィーバー状態で、その内に落ち着くかもしれないけど今はどちらなのか分からない。
そして、猫好きは兄も同じだったようだ。
「やっぱり、ちっちゃいな! かわいい! だっこしたい!」
「ラルフ、さわるならやさしくだよ?」
久しぶりに家に帰って来た兄は客間で落ち着く間もなく、ユーリの腕にいる子猫に寄って来た。早速、構おうとして手を伸ばして来る兄にカイルは勢いを止めてくれた。ユーリと離すと鳴くから触るだけと言うと、先刻も触ったのに「やわらかいな」とデレデレの顔で言った。交代で優しく触れたカイルも「あたたかいね」と言う。
触られる子猫は最初は戸惑うように腕の中からユーリを見上げていたけど、大丈夫なのが分かったのか寝てしまった。諦めたのかもしれないけど。
「ハリーとはぜんぜんちがうのな」
「ははは、あたりまえだろ?」
「チクチクだけど、そこがいいんだよな!」
分からない名前で盛り上がる兄とカイルにユーリは首を傾げた。
「にいちゃ、ハリーって?」
「あれ? いってなかったか? カイルにもらったんだ!」
兄はそう言うと胸を張った。
「うちがさがしたので、ぼくじゃないけどね」
カイルの言葉は分からないなりに何か生き物なのだろうとユーリは予測した。
「……ラルフ、私も初耳なのだけど?」
母は微笑みながら言ったものの、その声は冷えていた。
「え? まえにかっていいって……」
「何の話かしら?」
母から発せられる冷気に気付いたのか、兄は途中から言葉を濁らせた。
カイルは兄より先にその冷気に気付いたようで、顔を強張らせていた。
「あ、あの、ハリーはハリネズミなんです。ラルフからさがしているときいていたんですけど、ちがいましたか?」
カイルの言葉に母は目を開いた後に、深くため息を吐いた。
ユーリもハリネズミと聞いて、前に話していた事を思い出した。毎日、意外と色々あるので半分忘れていたけど確かにそんな話をしていた。
ハリネズミと聞いて思わずワクワクしたけど、母が納得するのかは別だ。飼えなくても連れて帰って来ているなら少しは遊べるだろう、と思う事にした。
母が聞き出した所、兄がカイルと遊んでいる時にハリネズミを飼っていいと言われたという話をしたんだそうだ。
カイルが家でその話を父親にして、それならと探してくれたのだとか。
せめてカイルが相談したのが母親の方なら、ユーリの母にも確認されたのかもしれない。カイルの母親でも、感覚が違うと分からないけれど。
ユーリは母の説教対象外だったので、早くハリネズミと遊びたいなと期待を膨らませていた。中々聴き取りが終わらないので、結局は膝に乗せた子猫を撫でながら寝てしまったのだけど。
助けを求めるように兄が見ていた事をユーリは知らずに済んだ。自業自得なので仕方ないだろう。
カイルの弟のキースも来ているのですが、その前にこんな事に。
ハリネズミのハリーも出したかったのですが、長くなりそうなのでこの辺で!
多分、次回にはハリーもキースも出せるのではないかと。




