お兄様が帰って来ました。
いつもありがとうございます♪
また評価してくださった方がいたのが嬉しくて頑張ってはいたのですが、遅くてすみません。
何とか更新です〜。
「ラルフが明日、帰って来るわ。カイル様も一緒に遊びに来るそうよ。ユーリ、よろしくね?」
雛達に名付けした夜、夕食を食べながら母が思い出したかのように言った。
「……なんで?」
「カイル様、ユーリとも遊びたいみたいだから。本当は避暑地にユーリも一緒に連れて行きたかったみたいなのよ。移動距離が長いから止めたのだけど」
遊ぶのはいいけど体力オバケ男児二人を相手をするのは嫌だなと思うと不満が口から漏れた。
「何よ、嫌なの? いつも仲良く遊んでいるじゃない」
「体力バカの相手なんて嫌に決まってるじゃない。ルーナの世話もあるし、無理よ」
何故か姉が嫌そうな顔で応えた。
「ルーナは確かにユーリから離すのは可哀想ね。でも、ラルフもカイル様も子猫が一緒でも大丈夫だと思うわ。ガァちゃん達とも最後は打ち解けていた位だから」
ユーリもカイルを思い出して、大きいアヒルが大丈夫なら子猫は平気だろうと頷いた。
「……私が嫌なのよ。単純バカとバカじゃなくても男児の相手をするのは無理」
「あら、ローザは別に相手をしなくていいのよ?」
嫌そうな顔をする姉と、何が言いたいのか分かっていて知らないフリをする母。
「ユーリが相手していたら、私がルーナと一緒にいられないじゃない! 可愛いルーナと離れるなんて嫌よ」
遠回しでは納得してくれないと思ってか本音を吐露した姉に母は呆れた目を向けた。
「カイル様がいるのは一週間の予定よ。その間位、我慢なさいな」
「子猫が子猫でいるのは短い時間で貴重なのよ。あっという間に大きくなってしまうわ。本当はずっと一緒にいたい位なのに。それに小さくてか弱い子猫を横着な男児と遊ばせるなんて危ないじゃない!」
男児は確かにヤンチャな遊びを好む生き物だから、ユーリには姉が言いたい事も分からなくはなかった。ただ、二人は切り替えが出来るタイプだし優しいので大丈夫だとは思う。
「それなら、ローザも一緒にいてルーナを守ってあげたらいいだけじゃない。マーサもいるから守らなくても大丈夫でしょうけど」
澄ました顔の母にそう言われて、姉は撃沈していた。男児の相手をするのは面倒、だけど子猫の側からは離れたくない、という葛藤が目に見えるようだ。
ユーリとしては、別に兄達と遊びたいとは思っていないので姉に一票を投じたい所だ。けど、母に逆らうのは難しいので沈黙を選択した。
「そういう事で、よろしくねユーリ」
有無を言わさずに決定した瞬間だった。
翌日の午前中、お昼前に馬車が家の前に着いた。家人からの知らせでユーリは母と姉と共に馬車を出迎えた。
「ただいまぁ!」
兄は元気一杯に馬車から飛び出した。馬車から降りる為に置かれた台を無視して飛び降りて着地に少しよろめいたものの、何とか転ばずに済んでいた。支えようとした馭者の男性はオロオロしていたが、後ろからカイルが苦笑して出て来たのに手を貸していた。
「こんにちは。おじゃまします」
「いらっしゃいませ。うちの子がお世話になりました。何かやらかしてなかったですか? この子、落ち着きがないから」
落ち着いた挨拶をするカイルに母はにこやかに応えた。兄に関しては社交辞令ではなく半分は本当に心配なのだと思う。
「おかあさま、ひどい!」
「いえ、ちゃんとしてましたよ?」
文句を言いながら飛び跳ねる兄、それに笑いながら庇うカイル。泊まりで出かけて更に二人は仲良くなったようだ。馭者の男性もにこやかに見守っている所を見ると問題は起こしていないのだろうと思う。
「ユーリもひさしぶり。こっちはやっぱりあついね。げんきだった?」
カイルは最初に会った時が嘘みたいに紳士だ。家に来た時が荒れていただけで本来は気遣いが出来るタイプなのだと思う。
「いらっしゃいませ! ユーリげんき!」
気遣いには気遣いを、ユーリは笑顔で返した。
「ユーリ! おにいさまにも『おかえり』は? ん? なに、そのくろいの。ネコ?」
カイルと話しているのに気付いた兄も寄って来た。近寄った事で、ユーリの腕にいる子猫に目敏く気付いてマジマジと見て来た。嬉しそうに目を輝かせている。
「ほんとう、ネコだ。かわいいね。なまえはなに?」
「もしかして、ねぇちゃんがいってたネコ?」
姉が友人から子猫をもらうという話を兄は覚えていたらしい。何故かユーリと一緒にいる事は気にせずに、子猫を熱心に見つめていた。子猫は半分寝ていて、見られている事を気にせずにウニャウニャと言いながら寛いでいる。
「うんとね、なまえはルーナ。おめめがおつきさまみたいなきんいろなの」
「へぇ、ねてるとわかんないな」
「いいなまえだね」
小さくて可愛い子猫に兄達も構いたくてしょうがないようだ。触りたそうに手が動いている。起こさないように、ゾッと触るならいいよと言うと恐る恐る手が伸びて来る。子猫を囲んで和やかにしていると、何か視線を感じた。
何気に見ると、馭者の男性が困り顔をしている。ユーリも不思議顔で見返すと、カイルがそれに気付いた。
「ごめん、わすれてたわけじゃないんだけど。ぼくもちいさいこをつれてきたんだった」
「あ、そうだ! ハリーがいるんだよ」
カイルが男性に苦笑しながら謝ると、兄が初めて聞く名前を呼ぶ。
「ハリーのまえにいるだろう?」
そう言って馬車に行くと中を覗き込んだ。
「ねてるね、どうしようか?」
「私がお連れしましょう」
カイルの付き添いでよく来る家人の男性の声がして、少しすると馬車から出て来た。腕には何かを抱いている。
「いうのをわすれていたけど、おとうとのキースだよ。ユーリとはおなじとしなんだ。よろしくね」
男性の腕に抱かれた幼子はキースの弟なのだろう。
驚いて固まるユーリに、カイルは楽しそうに笑いかけるのだった。
カイルの弟、キースが登場しました。
同じ年の男児とユーリは仲良くなれるのでしょうか☆
弟の友達が家に遊びに来るのが嫌な姉の気持ち、私は大変よく分かるのですが。
ユーリの家は広いので、姉ローザは避ける事が出来ます。
子猫の側にいたいから我慢して付き合うのか、諦めるのか。
私もまだ分かりません☆




