面倒な事になりました。
いつもありがとうございます♪
タイトル詐欺のようなゆるゆる回です〜。
子猫はすっかり元気になったものの、基本的にユーリから離れなくもなった。
そして、子猫目当ての姉もユーリの側に張り付くようになった。
窮屈だなという本音は言えず、苦笑いするしかないユーリだった。
子猫が元気になると、二日会いに行けていないアヒル達が気になった。
あまり会いに行かないとアヒル達も拗ねるのだ。宥めるのが大変なので出来るだけ間は空け過ぎない方がいい。
朝食後に子ども部屋で会う事を強要して来て、子猫に構い倒している姉を見ながらどうしようかと考える。
「ねえちゃ、おちゃのじかんもまたくる?」
「そうね。そのつもりだけど?」
この二日、午前中から昼食まで一緒に食べていた。昼食後にユーリは昼寝をするのだが、その後のティータイムから夕飯まで一緒に過ごしていた。何なら、夕飯後も子猫に構いたそうな顔をしている程だ。
「あのね、きょうはガァちゃんのところにいこうかなぁとおもって」
「⋯⋯ルーナも一緒に?」
「うん。ねぇちゃも、いく?」
午後は子猫に会えないのかと残念そうな顔をした姉をユーリは誘った。
「あのね、おそとはあついけどおみずにはいれるの。すずしいよ?」
まだ夏の暑さは続いているけど、日本の暑さに比べたら湿気もないし楽な方だと思う。ユーリはまだ小さいから体温が高く地面が近い分、暑く感じる。
姉が外に出るのを躊躇うのもそこだろうと涼しいと付け加えた。でないと、子猫と離れたくない為に止められそうな気がしたからだ。
「⋯⋯庭だと虫がいない?」
「ガァちゃんたちがたべてるから、あまりいないよ?」
いない訳ではないけど、探さなければ見つからない位ではあった。地面をよく見るとか、葉っぱをめくってみるとかして探さないと気付けない。森ではなく家の庭なので、前世の公園のようなものだ。
前世でも公園は鳥達が虫を食べてくれているから、殺虫剤をそこまでまかなくても人が気にならない位に過ごせていたのだと思う。鳥インフルとかあるし、鳥を汚い扱いする人もいたけど。鳥のおかげで快適な面もあるのに分かろうとしないのだろうなと思っていた。
「……行ってもいいわ」
姉は少し迷ってから同意した。別に無理してまで来なくてもいいけど、とも思ったけど止められるよりマシなので笑顔で頷いた。水遊びするなら、薄手で乾きやすい布地で水着代わりの服と厚手のタオルも用意する必要がある。マーサが姉付きのメイドに言って手配してくれる事になった。意外にも水遊びには興味があったのか、姉は水には入らないとは言わなかった。まだ暑いのでそのせいかもしれないけど。
昼食後、昼寝の後にお茶をしてから二日ぶりに中庭に向かった。姉は薄手の水色のワンピースに白いサンダルのような靴をはいている。ユーリは淡いピンクのワンピースに赤いサンダルのような靴。そして、腕の中には子猫を抱えている。子猫は家の外に出るまでは寝ていたけど、外の空気で起きたのかユーリを見上げて鳴いた。そしてキョロキョロと辺りを見回す。
眠っていた子猫をガン見していた姉は、その姿を見て可愛いと思っているのが丸わかりに口元と目元が緩んでいた。絶賛デレデレ中だ。弟と妹には起きなかった庇護欲が全開という感じだ。ユーリ本人はこれだけの熱量を自分に向けられなくて良かったと思う。鬱陶しい、と言ったら酷いかもしれない。うん、面倒臭い、もダメかなと思わず考えてしまった。
前を向いて歩いて、とヒヤヒヤしながら裏庭に向かう。
「ガァちゃん!」
ガァガァ、ピィピィという声がして姿が見えたのでユーリは呼んだ。
ガァ!という返事の後に駆けて来る親アヒル。その後に雛達が続く。翼をパタパタさせて半分飛びながら駆けて来る親アヒルと、それを真似する雛達。雛達はまだ飛べないと思っていたのに、時折浮くようになっていた。
「これなくてごめんね。ちびちゃんたち、ちょっととべるようになった?」
ガァガァ、ピィピィ言うアヒル達に囲まれてユーリは揉みくちゃになった。
「にゃっ!」
ビックリした子猫が腕の中で声を上げた。ユーリは宥めるように撫でてから、アヒル達に子猫を見せた。
「このこはルーナ。よろしくね?」
アヒルはガァと声を上げて、マジマジと小さな子猫を覗き込んでから顔を擦り寄せた。庇護が必要な小さい生き物だと理解したように、その仕草は優しかった。育って来た雛達よりも小さく、ユーリが抱えられる位しかないからかもしれない。それでも性格もあるのだろうと思う。その優しさにユーリは思わず笑んだ。雛達は8羽、順番
に子猫を興味深げにマジマジと覗き込んで首を傾げた後にユーリを見た。
「ピィ! ピィピィピィ!」
何故かその後に訴え鳴きをされて囲まれた。雛達はもうユーリの顔と同じ位に背が高い。顔を見合わせてピィピィと何かを一生懸命に言われる。
「ええ? なに??」
取り囲んでぐるぐる回りながらピィピィ言われてユーリは困惑した。何が言いたいのか全く分からない。
「この子達、名前はあるの?」
雛達の頭越しに姉の声が聞こえた。
「ない、よ?」
8羽もいるし見分けが付かなさそうなので、名付けはしていなかった。
「……もしかして、名前がつけて欲しいんじゃないの?」
姉の言葉に雛達は一斉に「ピィ!」と返事をした。強い勢いがあった。
「……うええぇ? ほんとに?」
それまで何となく要求されている気がしつつもはぐらかしていた。けれど、姉とユーリのやり取りに賛同するように雛達は頷くと鳴いた。そして期待の眼差しでユーリを見つめた。
「まじか……」
責められるよりも、期待の眼差しの方が堪える。誰か助けを求めて見回すとマーサと目が合った。そのマーサにもゆるゆると首を振られる。堪忍するしかないユーリであった。
見分けが付かない8羽の雛達に名前を付けるのは、中々大変ですよね。
このまま付けずに行こうかな、と登場した当時は思っていたのですが。
新入りに名前があるのに、自分達にないのは雛達にとっては不服なようです。
次回は名付けする事になると思います〜。




