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お客様が帰る日が来ました。

いつもありがとうございます♪

評価、ブックマーク、リアクションは特に力になります!

反応があるとお礼が言いたくて早く続きを書こうと思う現金な私です☆

 カイルが家に来て今日で2週間。

 滞在予定通りにカイルは家に帰る事になった。

 最初の頃、部屋に閉じ籠もっていたのが嘘のようにカイルは元気になっていた。勉強はちゃんとしながらも、よく食べよく遊んだ。

 ヤンチャな兄に付き合い、時に一緒になってイタズラまでしていた。イタズラが成功して笑う姿も、やり過ぎて怒られてシュンとする姿も年相応のものになっていた。

 ユーリは勉強の時間は引き続き不参加にしていたものの、その後や食事も一緒で兄が二人に増えた感じがした。

 そして正直、振り回されて疲れた。楽しい事もあったけど、男児の体力遊びには付き合い切れないと思い知った。カイルの弟のように病弱ではないものの、女児の体力ならそんなものだろう。

 それでも、こうして元気になってよかったと素直に思う。


 男爵家からの迎えは午後に来る事になっているので、今日の勉強は休みになった。

 子ども部屋で最近は折紙をして遊ぶ事も多かった。カイルは弟と遊べるものを知りたいと熱心だったので、折紙を教えただけでなく折り方をノートにまとめるように提案した。そして、今まで折った中で綺麗なものとノートを一緒に布の袋に入れて昨日の内に渡してある。

 教えたものは折紙の定番の鶴、実用向けの箱を何種類か。後は騙し船などの遊べるもの。種類は多くなく、折り方も簡単なものばかりだ。

 折り方をノートにも書いたし、きっとカイルの弟も慣れたら簡単に折れるようになるだろう。二人が仲良く遊べるといいなと、復習として覚えたものをせっせと折っているカイルを見ながらユーリは思うのだった。

 カイルが一番喜んだのは紙飛行機で、毎日のように裏庭で飛ばしていたけど。今日は午後には帰るからと、服が汚れるかもしれないという理由で外遊びは禁止だ。その為に大人しく室内で遊んでいた。


「……ここにこられてよかった。ラルフ、ユーリ、ほんとうにありがとう」

 紙を折っていた手を止めたカイルは、ユーリ達を順に見つめて言った。

「またあそびにこいよ! まいしゅうでもいいぜ!」

 体力を使った遊びが出来るカイルの事を兄はすっかり気に入っていた。男爵家は貴族なのにこの対等な感じで大丈夫なのだろうか。ユーリとしては少し心配だけど、笑って頷くカイルを見ると杞憂かとも思う。

 大丈夫じゃないなら、母がその内に礼儀作法を叩き込むだろうしなと。優しい母は、子どもの将来を考えるからこそ時に厳しい。愛の鞭は人の世界では共通なのだろうと思う。

「あのね、これ! おみあげ!」

 お土産を微妙に噛んだ事を恥じながらも気付かないフリをして、ユーリは用意していたものをカイルに差し出した。

 受け取ったカイルはビックリした顔をしていた。

「え? 2つも? これはなにかな?」

「おとうとくんと、おそろい! あのね、いいにおいがするの。まくらもとにおくと

いいゆめがみられるの!」

 裏庭で見つけたラベンダーを乾燥させてハンカチで包んだ簡易の匂い袋だ。

「……なにかスッとしたかおりがするね。フワフワしてるけどなにがはいってるの?」

「ガァちゃんたちのハネとね、かわかしたおはながはいってるの!」

 アヒルと雛達の羽は換羽でなくても抜けるものがあるので、集めていた。一緒に遊んでいると服に付いたりしているので、何となく集めて。集まったものを洗って乾かした物があった。ちなみに洗うのはマーサにお願いしている。

 本当はヌイグルミのようにしたかったのだけど、まだ裁縫はさせてもらっていないので諦めてハンカチで包んだ。

「コーラルダックの雛鳥の黄色い羽は珍しいものなんですよ。普通は飼い慣らせないので自然では中々見つけられないのです。その為に、持っていると幸運を呼ぶと言われています。本当に何か良い事があるかもしれませんわ」

 側にいたマーサがそっと微笑みながら補足してくれた。

 カイルは白く丸まったハンカチ2つをそっと胸元に抱き寄せて笑った。

「ありがとう」

 受け取ってもらえた事にユーリはホッとして「あいっ!」と元気に返事をしたのだった。


 午後のお迎えの馬車には、カイルの母も乗っていて。満面の笑顔を浮かべるカイルを涙を浮かべながら抱き締めるカイルの母という、美しい母子の姿を見る事が出来た。カイルの母とユーリの母も抱き合い、感謝と労りの言葉を交わしていた。

 兄はしつこい位にカイルに「またあそびにこいよ!」と繰り返し言っていた。カイルが「ぜったいくるよ」と返すと、「つぎはいつくる?」と迫るので最後には苦笑していた。それでも嬉しそうだったので、また遊びに来るかもしれない。

 ユーリはマーサの横で微笑みながら皆を見守っていたけど、最後には何故かカイルの母から抱き締められてお礼を言われた。

 そうして、名残惜しみながらカイルは家へと帰って行った。

 2週間いたカイルが帰った事に少しの寂しさと、日常に戻れる事に肩の力が抜ける思いのユーリだった。

 また遊びに来る、というのが社交辞令でもなく割と頻繁な事をこの時は知らなかった。   





カイルの弟君は病弱だとユーリは聞いたので、質の良い睡眠で元気になって欲しいなという思いで匂い袋を作ろうと思い立ちましたが。幼児の口では説明しにくいのでこんな感じに。

唐突な贈り物なので受け取ってもらえるか少し不安に思っていたので、喜んでもらえて安心した事でしょう。

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