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のんびりしたいのに出来ません。

 折紙を教えるのが決定しまった後、皆で子ども部屋に移動する事になった。

 折紙に使う紙は置いてあるので出すだけで準備は必要なかった。

 ここ何日かでユーリも小さい手で折紙をする事に慣れて、自分でも折れるようになっていた。まだ角をピッタリ合わせて折るのは苦戦して、どうしても少しズレてしまうのだけど。

 何故か付いて来た母も、兄とカイルと一緒に紙を折っている。


「あら、そんなに難しくはないのね? でも、一度では覚えられないかも」

 ボールだと言って教えた紙風船を母は案外器用に折った。兄は苦戦して、カイルはゆっくりと手順を確認しながら綺麗に折り上げた。

「ボールよりトリのほうがたのしいぞ。とばしてきょうそうしようぜ!」

 紙飛行機の方が折るのは簡単だ。ぶっちゃけ適当に折っても飛ぶ事は飛ぶだろう。

 だからなのか、カイルが最初に教えて欲しいと言ったのは紙風船ボールだった。兄は座って紙を折るよりも身体を動かして遊びたいのだろう。

 年上男児の体力を使った遊びは疲れるのでいつもなら遠慮する所だけど、探るような視線を向けて来る母から逃れるのには丁度いいかもしれない。


「トリはねぇ、ツバサがあればとぶからすきにおってもいいの」

 紙飛行機も折り方は色々あるらしいけど、ユーリは3種類位しか知らなかった。まぁ、適当に折っても左右対称にすれば多分飛ぶはず。見本で3種類折ると、母もカイルも真面目に全部作っていた。兄は格好良さを追求すると言って、自己流の折り方をしていた。紙が大きければ飛ぶものでもないと思うけど、張り切っている。


「ねぇ、ユーリ」

 作れた大きい紙飛行機を飛ばそうとしてすぐ先に落ちて落胆の声を上げる兄を見ていたら、母が声をかけて来た。

「なぁに、かぁちゃ?」

 何を聞かれるのか見当はつかないものの、悪戯がバレた時のような感じにドキッとしながらも無邪気を装って応える。

「このオリガミ、自分で考えたの? どうやって考えたのか教えて欲しいの」

 前世で特技だったから、と答えれば簡単だろう。だけど、上手く説明出来る自信がユーリにはなかった。前世の話なんて胡散臭いなと自分でも思う位だし。家族が信用出来ないとかではない。たかが折紙だ。魔法もある社会に影響があるとも思えないし、発想元が何であろうと大した事でもないだろうとユーリは判断した。

「えっとね、なんとなく? かみをおったらあそぶものができそうだなっとおもったの」

「そうなの。他にも思いつくものはある?」

 無い、とか、分からない、と答えればいいのかもしれない。でも、今後の遊びを制限する事になるのは嫌だなと思う。

「うーん、ある、かも? つくれるのかはやってみないとわからないの」

 悩みながらも誤魔化しつつ言う。

「……もしかして、ギフトなのでは」

「ええ、その可能性があると思うわ」

 会話を聞いていたカイルが口を挟み、それに母が頷いた。

「ぎふと?」

 初めての言葉にユーリは首を傾げた。

「ユーリは聞いた事がないかしら? 魔法の適性とは別に、生まれつきのように身についている能力をギフトと言うの。神様からの贈り物ね」

 前世でもそんな考え方はあった気がする。この世界では例えではなく、神様からの贈り物だと信じられているのだろうか。今度、先生に聞いてみようと思いつつ。母に納得してもらえた事に安堵した。

 理由があるなら、今後も好きにして大丈夫だろう。

「ユーリ、つくるのたのしいからすき!」

「そうね。楽しいわね。だから、今後も新しく作ったものは私にも見せて? ギフトは社会に影響を与える事もあるから知っておきたいの」

 母にしっかりと釘を刺された。たかが折紙なのに大袈裟だなと思う。前世でも、お店のちょっとした飾りとか、箱などの実用品も作ってはいたけど。ものすごく難解な折紙ではない、人よりもちょっと詳しい位だった。社会に影響を与えるのは逆に無理だと思う。


「おばさま、まどのそとにとばしてもいいですか?」

 話の後に兄と一緒に部屋の中で紙飛行機トリを飛ばしていたカイルが言った。

「それなら、そとにいこうぜ!」

 兄は飛ばした距離を競争すると息巻いている。それに苦笑しながら母が頷き、カイルも同意した。ユーリは面倒なので行きたくなくて一度は断ったのだが、カイルと母に誘われて断り切れなかった。

「オリガミは、いろいろとかつようできるのではないかとおもうのです」

「そうね、1枚の紙が立体に出来るだけでも色々使える気がするのだけど。魔法と組み合わせたら、更に可能性が広がる気がするわ」

 裏庭に向かいながら話す母とカイルはよく分からない期待をしている。紙飛行機トリは飛ぶと言っても大した事がないのに、とユーリは思いながら横を歩いていた。兄は大きな紙で折った紙飛行機トリを頭上に掲げながら一足先を走っている。紙が重い分、飛ばないと思うけどなとユーリは考えながら足取り重く歩く。

 裏庭ならアヒル親子がいるから3人は放置しようと密かに決意を固めていたが。子どもの手遊び位にしかならない紙飛行機に振り回される事をこの時は知る由もなかった。

 



 



 


いつもありがとうございます♪

書きたいから書いているだけの話ですが、読んでもらえていると思うと気力になっています!

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