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寝ている間に解決してました。

一応、解決したと思います♪

主人公は特に何もしていない気はしますが。


 寝ている間に何やら問題は解決したようで、ユーリが話を聞いたのは夕飯の席だった。

 いつもの寝ている間に部屋に運ばれるコースで、起こされたのは夕飯前なのだから意外と気疲れしたのかもしれない。 

 ユーリが寝ていた間に母は上手く客人を宥めて話を聞いてくれていた。

 カイルは憑き物が落ちたように、頑なな態度が崩れて素直に話してくれたそうだ。

 むしろ、よく何日も心を閉ざしていられたなユーリは思う。

 兄だったら、きっと半日も保たずに寂しくて何かしら行動を起こしていたのではないだろうか。環境によるものか性格のせいかは分からないけれど、頑固そうな気はする。  


 前世のユーリはといえば、傷付いた事にフタをして諦めてやり過ごすようにするしかなかったなと思い出す。

 あの家では一人になれる場所などなかった。無表情、無感情で何もせず閉じ籠もる事が許されるような守られた空間などなかった。

 放置すると散らかる部屋と溜まる家事。

 見て見ぬふりなど出来ずに自分の感情はいつも後回しになって、諦める事を覚えたような気がする。

 諦めて割り切るしかなかった。

 けど、それが出来る性格でもあったのだろうとも思う。

 順応させられたのか、元からそういう性格だったのかは今となっては分からないけど。


 客人は兄と一緒に客室で夕飯を食べているそうだ。ユーリが寝ている間に二人で色々と話して打ち解けたらしい。

 夕食も二人で仲良く食べている、という報告を母は受けていた。報告を母は嬉しそうに笑いながら聞き、父も笑顔で頷いていた。

 取引先の男爵家子息だから、というだけでなく。同じ年の子どもがいる身としてはホッとしたのだろう。

 両親が良い人だと分かって、何とか問題が解決したみたいでユーリも安心した。


 客人カイルの事情は、済んだ事だからとユーリにも教えてくれた。

 カイルには2歳差の病弱な弟がいるらしい。ユーリと丁度同じ年齢だ。

 兄の真似をしたがる年頃で、大事にしていた英雄の模造剣に傷を付けてしまったのだとか。

 この世界にもフィギュアのようなものはあるようだ。ただ、美術館で売っている複製品のようなもので造りは精巧らしい。

 実用品ではなく、大事に飾って眺めたり時々触れていたものを弟が倒して傷を付けてしまったという。

 大事なものなら、許可なく触った時点でアウトではある。


 弟はまだ小さいので世話役の家人がついていたそうだが、少し片付けをしていた隙に行動したらしい。

 カイルの部屋に突撃して遊んでもらっていて、カイルがトイレに行った隙を狙って触ろうとした模様。

 それまでも興味を持っていて何度も触ろうとしたのを止めていたという話だ。確実に狙っての行動なんだろう事は分かる。

 悪意の無い好奇心、だと分かっても許せるかどうかは別だ。

 カイルは当然怒ったという。殴りはしなかったものの激しく怒り、泣き叫ぶ弟を無視した。

 泣き過ぎた弟は体調を崩して寝込んでしまい。両親は弟を許さないカイルを「兄なのだから優しくしなさい」と諭したらしい。

 それまで色々と我慢していたのだろうカイルはそこで爆発。

「弟なんて欲しくなかった、兄になりたくてなったわけじゃない」と返したものの。

 言い返された事に腹を立てた父親が「大人になれ! 兄なんだから弟を守れるようにならないと、お前はこの家を継ぐのだから」とか言っちゃったらしい。

 子どもに反論されると頭に血が上るタイプの大人はいる。対話をせずに都合を押し付けようとする。

 力関係では子どもは大人に勝てない。

 子どもに出来る事は諦めるか、渋々言う事を聞くふりをするか、心を閉ざすか。

 日頃聞き分けの良い子ほど拗れると心を閉ざしてしまう。

 端から見ると、ありふれた兄弟喧嘩で大した事ではないのだけれど。日頃から身体が弱い弟に両親の関心は向きがちだったようで、不満が溜まっていたのだろう。父親と口論して以来、家族と口を聞かなくなったという。

 無表情で暗い目をして口を閉ざし、用が無い時は部屋に籠もるようになってしまったそうだ。

 怒っても宥めても、頑なに口も開かない日が3日続き。たまたま商談に来ていたユーリの母親にカイルの母親が相談をして、同じ年の男児相手なら心を開くのではという事になったらしい。


 でも、家を追い出されるようになった事で余計不安にさせたのではないかと思わなくもない。男爵家の家人も一人ついて来たけど、ろくに説明もされずに他所の家に行かされるとか。捨てられそうで怖いではないか。

 ユーリに合わせないようにするという話の時点で妹か弟とトラブルがあったのだろうなと思っていた。なので、ユーリは話を聞いても納得するだけだった。

 予想はある程度していたけど、異世界でも人は同じなのだなと思う。


「……ガァちゃんは、おこられない?」

 事の顛末とは別に、気になるのはカイルがアヒル達に突かれた後の軽い打撲と転んだ際のかすり傷だった。アヒル親子が処罰されないか、不安そうな顔でユーリは聞いた。

「カイル様のお母様とはお友達なの。優しい方だし、問題ないと思うわ。何より、カイル様に笑顔が戻って喜んでもらえるんじゃないかしら」

 細かい事は気にされずに済みそうでホッとする。まぁ、信用していなければ子どもを預けたりはしないだろうけど。


「それよりも、ついでにユーリに話しておきたい事があるの」

 話は終わったものだと思ったら、母の話は続いた。ユーリは心当たりがなくて首を傾げた。叱られるわけではない雰囲気なので不安は感じなかった。

「あのね、カイル様に目の色の事を言われたでしょう?」

「あ、ヘンっていわれた?」

「そう。変じゃないのよ? でもね、珍しくはあるの」

 そうして、話は何故かユーリ自身の事になった。他人事だと思っていたら巻き込まれたように感じながら、緊張しながら話を聞く事になるのだった。

 



  


  



この話は恋愛にはしないので、カイル君もその弟君も幼馴染になるんじゃないかなぁと☆

エイプリルフールではなくっ。

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