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話を聞くのは大事です。

待っていてくれた方がいればお待たせしました♪

 アヒルに襲われた兄と客人を救出したものの、どうしたものか。

 客人のカイルは、家の店の取引先である男爵家の子息らしい。何とか宥めないといけないだろう。

 幸い、小さな切り傷と打撲位で済んでいるとは思う。大きな傷がなくてよかったなと思って眺めていると、宥めていた親アヒルが鳴いた。見ると得意気な顔をしている。

 困った事態を引き起こしたのはアヒル達ではあるものの、庇ってくれたのは確かだ。自分の為に怒ってくれたアヒル達に感謝はして、ユーリはそっと撫でた。親アヒルを撫でたら、雛達がピィピィと鳴いて自分達もと自己主張するのは何とかしたい所だ。嬉しいけど、体力を使うから疲れるのだ。アヒル達の愛は中々重かった。


「ひ、ひきょうもの……。アヒルをつかってこうげきさせるなんて、やっぱりマゾク、って、やめろよぉ」

 客人は懲りずにユーリ難癖をつけて、速攻で気付いたアヒル達に囲まれて突かれていた。

「な、んで、ずるい。ボクはおにいちゃんだからってきびしくされるのに。おとうととかいもうとはずるい! なんでなにしてもしかられないんだよぉぉ」

 意味不明だろう言い分だったけど、ユーリには何が言いたいのか何となく察した。

「ゆーり、なにもわるいことしてないよ?」

 こてんと首を傾げて主張しておく。ユーリは何もしてない。一方的に絡まれただけだ。家で何かあったのだろうと思う。

 ユーリの立場が妹なのに、弟を持ち出して来る所をみると原因は弟な気はする。何があって家で預かる事になったのかまでは分からないけど。


 同じ年の兄となら打ち解けるという思惑があって預けられたのだろうという推測は出来る。けれど、最初は兄と話す事すらせずに部屋に閉じ籠もっていた。もしかしたら、家でもそうやって閉じ籠もる状況にあったのかもしれない。


「……アヒルにおそわせてるくせに! うちのおとうともそうだっ。ぼくのだいじなものをこわしてもおこられず、おとうとにおこったぼくがおこられるんだ!」

 本当は閉じ籠もるのではなく訴えたくて堪らなかったのだろう。けれど本音を言えば怒られる。理不尽な怒りと理解されない悲しさがあったのかもしれない。


「カイル、わかるよ! わるくないのにおこられるのイヤだよな。オレだってまえはよくユーリとあそんであげたのになかれておこられたもん!」

 兄は何故か同調して、雛達に突かれていた。いや、体力オバケな男児の遊びに付き合わせたら同じ年の女児でも泣くと思う。兄の場合は多少理不尽な怒られ方をしても、そもそも聞いてないので残らないタイプだ。

 カイルは多分、本来は気遣いが出来る真面目な努力家なのかもしれない。それだけに何か理不尽な怒られ方をしたのか、理解されないという傷付き方をしたのかもしれない。それなら、原因となった弟に怒りが向いても不思議はないだろう。何があったのか分からないので一概には言えないけど。

 ユーリは前世で弟妹とその友達とも接して来て、子どもの感情には気付き易くなっていた。そして、寄り添い解決して来た経験があった。平和に暮らしたいと思うと、揉め事を治める必要があったからだ。泣いている子と一緒に過ごすのは落ち着かないし、最年長の自分が何とかしないとという義務感もあった。

 それでも、自分に出来る事があるのは自信になったし慕われるのは嬉しかった。悪い事ばかりじゃなかったけど、大人からは当たり前にあてにされたのが一番堪えた覚えがある。


 カイルを助けに行った事で兄もまた雛達に突かれているカオスな状況を収束させたのはシンに連れられて来た母だった。

 弟や家族に対する不満を吐き出すカイルを抱き上げて救出してくれた。元より本気で怒っていたわけではないアヒル親子もそれで退いて落ち着いた。

 細腕でもヒョイっとそこそこ重い男児を抱き上げられる所は、さすが母親だなとユーリは思う。お姫様抱っこされた男児は、恥ずかしさからか少し暴れたけど。ポンポンと宥めるように背を叩かれる内に泣き出して、母の首に縋るように抱きついた。

 母は「後でね」とユーリに声を出さず口の動きで伝えると、ゆっくりと歩いて家に向かって行った。

 閉じ籠もるよりも、言いたい事を言って聞いてもらう方が精神的に落ち着くだろう。

 後は、アヒル達が突いていた事は何とか水に流す方向で話をまとめてもらいたいなと思うユーリなのだった。


 そして、母に全く気にされなかった兄は何があったのか分からない顔で雛達にまだ囲まれているのだった。

 まぁ、雛達にとって良い遊び(からかい)相手認定されてそうではあるのだけど。

 ピィピィと鳴きながら絡む雛達から逃げて追いかけっこになっているのを見て、ユーリは笑った。

 親アヒルはそんなユーリの横でやれやれと言うように落ち着いて座った。そんなアヒルを再び枕にして横になりながら、これで落ち着くといいなと願いながら目を閉じた。すぐに深い眠りに落ちたユーリの口元は楽しそうな笑みを浮かべていた。






荒療治ではありますが、アニマルセラピー効果はありそうな気はします☆

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