思いは雪のように
「……ん?」
目を覚ますと自分が毛布を被りながら寝ていた事に気づいた。
皆は既に床にはおらずどこかにいるようだ。
「とりあえずテントから出よう」
そう言ってオルレイはテントを出た。
「おうおう来たねー」
そう言って出迎えてくれたのはカルマコロネだ。
「……カルマコロネ」
「あっ、ワタシがアロマ炊いたからみんなの物奪って逃げると思った? ざんねーんワタシは超絶いい子なのでみんなに毛布を配った後に自身も寝たのです!」
「……それパン頬張りながら言う事なの?」
「ありゃ? ジョーク受けてない感じ? 傷つくなぁほれ、オルレイも食べなよノヴァ達はお話し合いしてるから私達もごはん食べながらでも喋ろう?」
「……そうだね。」
そう言ってオルレイパンを受け取ってそのまま齧る。
「……硬いんだけど?」
「まぁ黒パンだからねー腹に溜まりやすいし、しかも昼まで持つからいいでしょ? 西のリルアにも行くんだしさぁ」
「……私この戦いで生き残れるかな?」
「どうしたの? いきなり」
「私はね、こんな国の戦いとか背負える人間じゃないんだ。 ただ普通に放狼団のみんなと一緒にわいわい年をとって死んで子供とか孫とかに囲まれて死ぬと思っていたの」
何故だろうかオルレイはいきなりそんな思いをカルマコロネに話していた。
「別に今でも出来るくない? それ」
「えっ?」
「少なくとも身近にオルレイの事好きな人はいると思うけどなぁ」
「……そうなのかな?」
「ふふっ、まぁ結局オルレイ時代だからさぁ。 ワタシは応援してるよ」
そう言ってからカルマコロネは鎌を背負って歩いて行ってしまう。
「どこ行くの?」
「狩り」
「頑張って」
そう言って別れた後オルレイは三十分かけて硬いパンを食べきった。
「……俺、オルレイと結婚したい」
「「「「今それやることなの?」」」」
「……同時とか辛くね?」
ノヴァのカミングアウトに雷月、雨、ロテナ、ラティリオネはハモってツッコミを入れた。
「……いつプロポーズするか悩んでんだよ」
「ねぇノヴァいきなり殴っていい? 氷竜じゃなくなって君の口から聞く言葉これなんてなんかむかつくんだけど?」
「……なんかごめん」
雨の目が笑っていない笑顔にノヴァは恐怖を感じた。
「いきなりどうしたんだ? いきなり結婚したいだなんて」
「……ノヴァその気持ちは本当なのか?」
「本当だし、踏ん切りがつかなかっただけなんだ雷月、ロテナ」
そう言ってノヴァは仲間達の顔を見た。
「……ねぇどうでもいいからリルアに向かわない?」
「……どうでもいいって俺の話す為の勇気返してくれませんかね?」
「……そんなにプロポーズしたきゃリルアでデートでもして、話せばいいじゃない。 その後抱き合って眠れば一発じゃないの?」
「……精霊様がすごい本に書かれてそうな事話始めた」
ノヴァはラティリオネの話に驚いて固まる。
「……はぁいきなりそんな話されてもね困るのよ。 そんなのちゃんとオルレイと話してから決めればいいじゃない」
「……そう言うもんか?」
「そう言うもんだからとっと、リルアに向かうわよ」
「分かったよ」
「……頑張れよ」
「……なんでロテナはそんな目をするんだよ?」
「なんか親として感動してる」
「……そうかよ」
何故かロテナが肩を叩いて来てその視線が優し過ぎて変な気持ちになったノヴァであった。
ノヴァ達はその後テントを片付けて、オルレイとカルマコロネと合流し、
リルアへと向かった。




