仲間が一人
「ぐっ!?」
オルレイは咄嗟にレイミーを腕の中に抱いて庇って地面に転がった。
既に建物は全て燃え尽きており、戦場と化していた。
「あらあらお仲間は全部燃え尽きてあなただけ?」
すると襲撃して来た女が地面に組み敷かれて身動きが取れなくなっていた。
「動くな」
「首斬るぞお前?」
「……子供がいるのに魔法ぶち込むなんて人のが心がないなぁ」
「みんな!」
雷月が襲撃した女の腕を掴み、ノヴァと雨がそれぞれ武器のナイフと刀を女の首に当てて脅していた。
「あら? 傭兵って心優しいの? てっきり殺す物だと思っていたんだけど?」
「おい電気流すか?」
「いやいや凍らせようよ」
「いや針で刺そう」
「こ、子供が見てる前だからやめて!?」
傭兵流の拷問を今にでもしようとする三人を止める。
レイミーを見てみるとノヴァ達の拷問の提案に顔を真っ白に染めていた。
「ご、ごめんねレイミー。 よ、傭兵だから結構物騒でごめんね?」
「い、いえ!」
恐らく強がっているのだろうと思った。
そんなレイミーの態度をオルレイは好ましく思った。
「それで? 私をどうするつもり?」
「……まず名前と目的を言え」
ノヴァが声を低くしながら女性に話掛ける。
「はいはい。 私はヤヌィ。 孤児で暗殺者教皇ゼギムスの飼い犬だよ」
「……飼い犬?」
「そ。 私ね心優しい教皇様に拾われて教皇の邪魔者を消しているのさ」
「……でもあなたから何か変な魔力を感じるんだけど?」
「おや? 闇を感じ取れるんだすごいね。 まぁ私は失敗作なんだけどさぁ」
ヤヌィは自虐的な笑みを浮かべた。
「……失敗作?」
「魔力が多くなる量も身体能力も僅かしか上がらないし、人格がブレブレなんだよね」
「……そうなの? 苦しい?」
「苦しいって言えば苦しいね。 味覚がないし、思考もあんま出来ないし自分って感覚ないから自分が気持ち悪く感じる時もあるよ」
確かによくヤヌィの言葉を聞いてみると年頃の少女のような喋り方と妖艶な女性の喋り方がごちゃごちゃになっているように感じた。
「これで分かったかしら?」
「……人格のブレを治す事は出来ないの?」
「さぁ? 私は三年前にジェクーって人から闇を流されてこんなまんまだからよく分かんない」
「それって無理やり?」
「うーんまぁ教皇が実験台として私達を売ったのよ闇の適合? だかなんだかの為にまぁ私以外の孤児は闇に適合出来ず死んだけどね」
「……じゃあ闇と人格のブレを治す代わりに私達の仲間になってくれる?」
「今私をスカウトする理由あんの? 私が裏切ると思わないのかしら? お嬢ちゃん」
「……裏切るかもしれないけど私はヤヌィを信じたいよ。 それとヤヌィから敵意とか殺気とか感じないから仲間にしてしまった方がいいかなぁって」
そう言ってオルレイは屈んでヤヌィと目線を合わせた。
「眩しいね。 私にはない目だ。 分かったよ私は今からあんたの仲間になるよ」
「おい本当にいいのか?」
「そうだぜオルレイさっきこいつは俺達殺そうとした奴だぜ?」
「でもノヴァ。 傭兵は自由気ままなんでしょ? 私がヤヌィを仲間に入れたいと思ってもそれは自由なんじゃない?」
「……チッ。 好きにしろ」
「はぁ。 人が良過ぎるぞ? オルレイ」
「指一つは斬りたかったなぁ?」
そう言ってノヴァ達は得物をしまってヤヌィを見る。
「裏切ったら殺す」
「裏切ったら拷問する」
「裏切ったら手足を斬り落とす」
「……すごい物騒だね。 まぁいいよ短い時間の仲なんだしよろしくね?」
「よろしく」
こうしてオルレイはヤヌィと握手を交わした。
「じゃあ城まで案内してあげるよ」
「ありがとう! ヤヌィ」
「べ、別にあなたの為じゃないから」
こうしてオルレイ一行は城に向かって歩き始めた。




