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第51話 敵討ちの家族

 ◇


 康が接収した後。鹿鳥山にある勇牧家の洋館では当主の家族が会議をしている。


「おのれ、康!! 娘と孫だけでなく、よくも夫を!! 許さん!!」


 当主が死んで会議は化粧をしていない老いた顔で白いドレス姿の中年女性が中心になって怒っている。

 彼女の名前は勇牧《ゆうぼく》 羊華《ようか》。帝馬の妻で夫と娘と孫の敵討ちしか考えていない。


「母上。私も敵討ちに賛成です」


 羊華の前に帝馬と同じ服装の若い男性が立っており、後ろに同じ服装の少年が二人いる。

 彼の名前は勇牧《ゆうぼく》 牛方《ぎゅうほう》。帝馬と羊華の息子だ。


「しかし同じ攻め方では父上のようにやられてしまいます」


 母に戦闘は無理なので息子が考えて戦う。妹とその子供をよく思っていない跡継ぎの牛方は父の敵討ちもあまり乗り気ではない。

 母や周りが怒っており、やらないと当主になれないのでやっている。


「お前は信頼できる自慢の息子。お前なら帝馬の仇をとれる」


 夫を失った羊華は息子を信頼しているが、そのせいで周りが見えていない。


「父上とおれ達がいなかったから負けてしまったんだ」


 牛方の後ろにいるデブで豚鼻の少年は恐れを知らない自信満々の顔をしている。

 彼の名前は勇牧《ゆうぼく》 明逐《めいちく》。牛方の息子で敵討ちに積極的だった。


「父上と私達がいれば康など相手ではない」


 明逐の隣にいる鶏冠のような髪の少年は冷静だが、あまり考えていない顔をしている。

 彼の名前は勇牧《ゆうぼく》 鶏治《けいじ》。牛方の息子で敵討ちに賛同している。


「おれが康を討ち取ってやる!」

「兄上ならできます」


 父とともに家の守りをしていた二人は欲求がたまっており、ゴスロリ男の娘の戦力を知らない。


「頼もしい孫達だ」


 明逐と鶏治を見て羊華は喜んだ。


「我々も賛成です。魚安家を滅ぼすのは勇牧家のためになります」


 側近は羊華の取り巻きで反対する者はいない。敵討ちしか考えていない羊華は苛烈で反対して処罰された者達もおり、ほとんどが敵討ちに賛同しており、覆ることはない。


「しかし、どうやって戦うか」


 かき集めた戦力で敗北すれば戦闘はもう無理なので牛方は慎重になっている。まともに戦えば勝ち目がなく、勝てる戦闘をしたい。


『協力してやろう』

「だれだ!?」


 女性の声に皆は驚き、牛方は怒った。荒尾の立体映像が現れた。


「荒尾。突然なに?」


 立体映像でも警戒し、羊華は怒りながら話した。


『康は私がいる宝美玉を攻めようとしているので鮟鱇田から離れる。やつがこちらにきたら無防備になった鮟鱇田を制圧して挟撃しろ』


 命令しているので不愉快だが、チャンスでもある。


「荒尾と協力すれば勝てるかもしれない」


 味方ができて牛方は笑みを浮かべた。


「よかろう。康の首を夫の墓に供えることができるのなら、ともに戦おう」


 敵討ちしか考えていないので小娘の話に乗った。


『康が宝美玉に入ったら教える。そちらは好きなように鮟鱇田を攻撃してくれ』


 立体映像は消えた。


「敵討ちの準備だ!! 康だけでなく鮟鱇田の領民達の命も父上の墓に捧げる!!」

「さすが息子。鮟鱇田を帝馬のための巨大な墓にするのか。スケールが違う」

「鶏治! どっちが康を討ち取るか勝負だ!」

「私では兄上に勝てません」


 荒尾は自分が康に勝利するために勇牧家を利用している。気づいていない牛方達は自分達ができるところまでやる。









 牛方の名前は牛、明逐は豚、鶏治は鶏、羊華は羊です。

 「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」と「ストイックな二人の殴り愛」も連載中です。

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