第50話 歓迎の虫食いメロン
◇
要七を処分した後。
「うまく接収した」
康は満足している。街を接収して、メロンのプラスチックハウスの一部で治糸虫を飼育している。
メロンの中に小さい治糸虫達がおり、メロンを食べて増え、成長して出ている。
ここの人々が育てたメロンを勝手に使っているが、接収したので気にしていない。
「領民達は私達に従っている」
監禁されていた領民達は解放され、新しい街で生活している。治安維持のためにトランプの騎士隊がいるが、要七達よりマシなので心の中でよく思っていないだけだった。
領民達をこき使わず、トランプの騎士隊が治糸虫の飼育をしている。
「おいしそうだ」
ゴスロリ男の娘は小さい治糸虫達が食べて穴だらけにしたメロンを見た。
「隠れてるのは分かってるよ!! 出てこい、メンダゴン!!」
大声に反応し、メンダゴンは康の前に現れた。
「なぜ分かったのですか?」
自分より強いのでおびえている。
「部下が調べているから分かったよ」
メンダゴンの後ろに星奈のクモヒトデが現れた。
「君を部下にする」
「えっ!?」
突然のスカウトに驚いた。
「人間じゃなくても私は優秀なら部下にする」
従う人間が少なくて人間ではない部下が多いので身分や種族など関係なく実力を重視している。
「僕を?」
強い人にスカウトされたのでうれしかった。
「よろしくお願いします」
「これから歓迎会をしよう」
メンダゴンが部下になって康は喜び、渚とトランプの騎士隊に指示を出した。
◇
その後。メンダゴンの歓迎会が始まる。大空の下に白いテーブルクロスを敷いた長方形のテーブルと椅子があり、康の人間の部下達が向かい合って座っている。
短辺には康と主役のメンダゴンがいる。
「新しい部下 メンダゴンが加わったので歓迎会を行う!! みんな!! 仲良くするように!!」
反対する者がいないので新しい仲間に拍手をして歓迎した。
「よろしくお願いします」
テーブルの上にいるメンダゴンは仲間達の顔を見ている。
「月理です」
「渚です」
「星奈よ」
「南花よ」
「陰子です」
「霞だ」
「黒ガマだ」
「虎夏だ! よろしく!」
拍手をやめて順番に自己紹介をした。部下達だけでなく街の代表の中年男性が座っているが、黙っている。
「メンダゴン加入を祝う忠誠の味を食べよう!!」
トランプの騎士隊のハートが皆の前に食べ物とスプーンを置いた。白い皿に穴だらけの半分のメロンがあり、穴から果汁が流れている。
「メ、メロン!?」
街の代表は驚き、康の部下達は冷静だった。
「小さい治糸虫が食べて穴だらけにしたメロンだ」
「えっ!?」
街の代表は青い顔になり、ゴスロリ男の娘は説明する。
「小さい治糸虫が食べたことでメロンは果汁が流れるほどやわらかくなって治糸虫の唾液でうまみが増している。治糸虫は入っていないから安心しろ。私と渚が保証する珍味だ」
康の部下だけが食える特別なメロンなので歓迎会に出した。
「いただきます」
主が出したものなので月理達はなんの抵抗もなく食べる。
「まるでスープです」
月理がスプーンですくうと液体のようにやわらかい。
食べた者達は口の中でメロンが溶け、極上の味がイモムシのように這っている。
「果肉が溶けるほどやわらかくてジューシーな果汁の洪水。エルフメロンの高貴な味とは違うおいしさです」
渚は味を評価した。
「こんなメロンがあるなんて」
「おいし! おいし!」
食べたことがないおいしさなので南花と陰子は喜んでいる。
「食べ終わっちゃった」
「おかわりがほしい!」
おいしいので霞と虎夏は完食し、やわらかい穴だらけの皮だけになった。
「おいしい」
メンダゴンは下の口を伸ばして果肉を吸っている。おいしそうに食べているので康は笑って食べている。
そんな中、街の代表は食べていない。
(私達が育てたメロンを虫のエサにしてゲテモノにして)
普通の人間が食べないものにされたので怒っているが、彼は専門家にメロン作りをさせただけで怒る資格はない。
トランプの騎士隊が睨んでいるので我慢して食べる。
「うまい」
味がよくても治糸虫の食べ残しなので気分が悪くなりながら完食した。
この街で治糸虫は増えた。
「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」と「ストイックな二人の殴り愛」も連載中です。




