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パーティーへのお誘い

 マウリツィオ師匠に促されて電話を掛けた。

 呼び出し音にドキドキする。

 長く会っていない友達に電話をするのって緊張するんだな。

「はい、レナータです。都代ちゃん?」

 梨音ちゃんは、レナータと名乗って電話に出たよ。

「あ、うん。都代です。梨音ちゃん?レナータさん?メール見たよ」

「レナータでお願いします。この2ヶ月くらいは、こっちの名前で動いていたので・・・。返信くれてありがとう。遅いから、返事が無いのかもと心配していました」

「ごめんね、出掛けていたんだ。レナータさんこそ大丈夫?急にいなくなっちゃうし、連絡先はわからないし、心配したよ」

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫ですよ。私は、元のレナータに戻る方法を探していたのですわ。マウリツィオの魔法をベースに、こちらのEPGメンバーの研究結果を使って異世界通路を作ることに成功しました。都代ちゃんは、もうご存知ですよね?」

「え、あ、うー」

「ふふふ。知ってますよ。何度か異世界へ行ったでしょ?不思議に思いませんでしたか?どうして転移の部屋から都代ちゃんの名前で出られるのかについて」

「えっと、その、それは・・・害のある人だけ通れないのかな、と思って」

「違いますよ。登録した人か、登録した人の同行者しか通れないのですよ。都代ちゃんは、私が登録しました。こっそりと」

「こっそり?」

「ええ、こっそり」

 そう言って笑う。その声は嬉しそうだった。イタズラが成功した子供の笑い声みたいだ。

「都代ちゃん、頼みがあるのですわ」

「頼み?なあに?出来ることならするよ」

「ええ、そう言っていただけると嬉しいですわ。私の頼みは単純です。都代ちゃん、パーティーメンバーになってくださいませんか?」


 ふえ?

 ぱーてぃーめんばー?


 いや、それってあれだよね?冒険者の仲間のあれだよね?


「ちょちょちょっと待って」

「待ちますわ。じっくり考えてくださいまし」

「いやいやいや。パーティーメンバーになることは全然嫌じゃないよ。うん、全然オーケー。というより、そのパーティーで何処へ行くのかっていうのが問題だよ」

「ええ、それについて話したいと思っていたのです。もしよろしければ、明日、改めて、どこかで話をしましょう。詳しいことをお伝えしたいのです」


 梨音・・・というかレナータさんの電話を切った後、師匠とナタリーちゃんにも内容を話した。師匠が口を開く。

「おそらくレナータ様は、複数の異世界通路を作ったのでしょう。理論的には魔術として完成しておりましたし・・・」

「え?異世界通路の魔術が?」

「はい、レナータ様にもお話したことがあります。元々レナータ様は研究熱心な魔法術式マニアです。故に思考実験段階の魔法についても話をいたしました。ただ、あの魔法には重大な問題点がございました」

「問題点?」

「ええ。莫大なエネルギーが必要なのです。何せ世界に風穴を開ける魔法ですからな。ちょっとやそっとのエネルギーではないのですよ。まあ、一度開いてしまえば、しばらくは安定するのですけどね。閉じるのにも莫大なエネルギーが必要ですし」

 話を聞いていたナタリーちゃんが頷く。

「なるほど。異世界通路を開くことは出来るけど、必要なエネルギー源が無い、ということですか」

「その通り。薪を並べて火をつける程度のことでは到底足りません。異世界でなら、魔物の素材や、魔石なんかを触媒にしてエネルギーの節減を図るところですが、この世界にはそういったものも少ないですし」

「そっか・・・でもレナータさんは、いくつも異世界通路を開けちゃってるみたいだね。どうやったんだろう?」

「さあ・・・おそらくは電気の力だと思いますけど・・・安定供給されていますから。普通に火を燃やすより遥かに効率がいいですからな・・・それと・・・もう一つ問題がありますな」

「もう一つの問題?」

「ええ。異世界通路は、何処に繋がるかわからない、という問題です」

「なんじゃそりゃー!」

 ナタリーちゃんが大笑いを始めた。なんかツボったらしい。

「何処に、繋がるか、わからない?ふ、ふふ。ひどい魔法もあったものですね」

「仰る通り。ですから思考実験レベルだったのですよ。けれども、レナータ様は手あたり次第にやってみたようですね。目的の場所に辿り着くまで、通路を作り続ければいい、と」

「ふふふ・・・もう無茶苦茶ですね」

「まったくです」

 師匠も困ったような声で笑い始めた。

「それで、穴を開けまくったレナータさんは、いったい私になんの頼みをしたいっていうんだろう?パーティーメンバーっていうからには、異世界で一緒に冒険をするってことなのかな」

「さあ・・・まあ、明日になってみればわかります。午前中にレナータ様と会うのでしょう?」

「うん」

「あの、都代ちゃん。私も一緒に行っていいかな。そのレナータさんに会ってみたい」

「え?ナタリーちゃんも?いいけど・・・迷惑じゃない?」

「全然。むしろこちらから頼みたいぐらい。じゃあ、ご一緒させてください」

「うん、わかった。一緒に行こう」


 そこまで話をしていたら、階下からお母さんに呼ばれた。

「ご飯よ~。ナタリーちゃんもいらっしゃーい。今日は焼肉にしますからねー。綺麗な服を着ているなら、着替えてから降りてきてねー」

「焼肉だって」

「焼肉ですか!ああ、なんか口の中がジュワーってなりましたよ。異世界でも肉は食べられるんですけど、あのタレがないんですよね。ああ、でも、ビールは飲めないんですよね、この体にはちょっと早過ぎます」

「ナタリーちゃん、ビールとかダメだよ。でも、サイダーとかなら出してもらえると思うよ。一緒に飲もう?」

「いいですね。都代ちゃん、今夜は嬉しい飲み会ですから」

「そうだよね。砂羽さんに会えた記念だもんね」


 その後は、焼き肉で盛り上がり・・・


そんなわけで、翌日は久しぶりに梨音に会うことになったよ。

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