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チキン南蛮とロリ好きな黒猫

 お昼ご飯はコンビニ飯だ。


 週半ばに千円をゲットした梨音には、お弁当を選ぶ権利があった。


 その並べられたコンビニ弁当の中で梨音が選んだのはチキン南蛮弁当だった。さっそく一口食べてみる。

「おいしい!このサワー系のソースが堪らないわね。チキンも味が染みていて美味ですし」

「梨音ちゃん、がっつりいくね」

 ちなみに都代が選んだのは野菜ミックスサンドイッチだ。

「初めてコンビニに入った時から食べてみたいと思っていたのです。屋外でご馳走が食べられるなんて最高ですわ」

 噛みしめるようにチキン南蛮を食べていく梨音。

「初めてコンビニに入った時っていつよ?そんなに長年あこがれていたの?」

「いえ、ほんの先週のことです・・・転生後の経験です」

「梨音ちゃんが転生してきたのっていつ?」

 半信半疑、というか『設定』として聞き返す都代。

「先週です。正確には8日前。まだ話し言葉にも慣れません」

「それで、おかしな話し方をしているのね?」

「そうなのです。母国語には微妙な語尾の違いなんていうものはありませんでしたので」

「梨音ちゃんの記憶はあるんでしょう?私は梨音ちゃんの話し方でいいと思うな」

「そうでしょうか?梨音の話し方は・・・相手に意思を伝えようとする努力が足りないと思うのですけれど・・・」

「それでも今の梨音の話し方は丁寧過ぎるよ。あ、そうだ。私を参考にすればいいじゃない?普通の話し方、覚えた方がいいよ」

「そうですね。うん、覚えてみます・・・みるね?」

「そうそう。そんな感じ」


 チキン南蛮の最後の一切れを名残惜しそうに食べる梨音。

 それを感心した表情で見守る都代。二人を見比べながらミルクをなめるマウリツィオ。


「にゃー」


 都代に近づくマウリツィオ。都代が気付いて抱き上げる。前足で都代の胸を押す。


 わざとではない・・・はず。


「マウリツィオ?そう言えば魔法を使えるようになった都代なら、マウリツィオの言葉もわかるんじゃない?」

「え?梨音ちゃん、何言っているの?猫言葉?」

「違いますわ・・・じゃなかった。・・・違うよ、マウリツィオも転生してきたんだよ、って言ったよね?元は大魔法士の人間ですわ・・・だよ。ほら、マウリツィオ、挨拶して」


 マウリツィオが梨音と都代の顔を見比べる。


・・・このまま猫の特権で抱かれていたい・・・

そういうわけにもいかないか。


 都代の腕からピョンと飛び降りる。すっとお座りの姿勢で都代を見上げる。さすがに二足立ちとかして礼をしたりは出来ない。


「初めまして、都代。エトルリア王国ソーラの町の魔法士、マウリツィオと申します。以後お見知りおきを」


・・・。

「え?」

「聞き取れた?マウリツィオの声」

「え?あ?うん?どういうこと?今、猫さんがしゃべった?」

「はい、都代様。魔法を習得されました都代様は、私の声が聞こえるようになったのです。・・・正確には、テレパシーのようなもので、意思が伝えられるようになったのです」

「・・・まじで?」

「本当です・・・いえ、マジですよ、都代ちゃん」

「・・・これ・・・設定じゃなくて、本当に・・・レナータ?・・・とマウリツィオ?いや、ちょっと待って?どういうこと?え?」


 都代が混乱し始めた。

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