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梨音とお友達

 水曜日。

 平穏に授業を過ごし、放課後は図書室へ。

借りていた本を返し、新たに2冊ほど借り出した。発電施設について書かれた「ためになる漫画シリーズ」と「20世紀の発明」。

 電気というものについての理解を深めたいのが一番の理由。それと科学については梨音の記憶にも、もちろんレナータの記憶にもほとんどないので、昔のシンプルなものから理解しようと思ったためだ。

 家に帰ってからも本を読んで過ごした。


 海翔からもらった剣は布に巻いたまま机の引き出しに仕舞い込んである。

 剣など部屋の中で振り回すものでは無いし、週末に出掛けるのだから、その時に試してみようと思っている。


 木曜日。


 平穏に授業が終わって、さあ図書室へ行こう、と思っていたら声を掛けられた。

「梨音ちゃん、少しいい?」

 えっと、誰だっけ、と記憶を探る。

都代とよちゃん」

 梨音とは仲がいい友人らしい。


 記憶では異世界転生や魔法ものの話で盛り上がっていたようだ。


 中学に上がってクラスが離れてしまって話す機会は減っている。


 今日はわざわざクラスへ訪ねてきてくれたとのこと。

「梨音ちゃんに相談したいことがあるの・・・」

 仲が良かった友人と話すべきか・・・。母親もそうだけれど、あまりに性格が違うために相手に違和感を与えてしまうのではないか、と思う。

 けれど・・・相談事があるという友人を放っておける梨音レナータではなかった。


「いいよ。私、これから図書室に行こうと思っていたから、途中の渡り廊下のところで話そう。人、あまり来ないし」

「うん、ありがとう」

 都代はうれしそうに笑った。目の細い色白の子だ。どちらかというと地味な感じを受ける。

 荷物を持って階段をあがり、渡り廊下へ。

「相談って?」

「うん・・・聞きにくいんだけど・・・」

「なあに?」

「梨音ちゃんっていじめられていたよね?」

・・・。いじめられてましたね、確かに。うん、と梨音は頷く。

「けど、月曜日に反撃したって聞いた。うちのクラスのギャル達が騒いでるのを聞いたんだ。何か手品みたいな技で目つぶし喰らったって」

「あれは手品なんかではありませんわ。風魔法のブラストです」

「ブラスト・・・」

「そうです。敵が一人の時はまっすぐに飛ばすことも出来るのですけど、今回は周りを囲まれていましたから円状に打ち出したのです。地面のそばで発生させたので砂を巻き込んだだけですよ」

 あれ?なんでしょうか?都代ちゃんがキラキラした目で見詰めてきます。

「梨音ちゃん・・・!聞いた通りだわ。いつか私達も魔法を使えるようになるって言ってたよね。6年の時、毎日練習したもんね!」


 そういわれると、そんなことをした記憶が・・・梨音の記憶が・・・まるで魔法理論を無視した荒唐無稽な魔法の練習が・・・。


「えっと、記憶を探ってみましたけれど、あれは黒歴史というラベルに分類されています」

「え~?黒歴史じゃないよ~。ねえ、ねえ!どうやるの?私にも教えて!ね?」

「教える・・・。うーん、教えられるものなのかな・・・?」


 そういえば考えてもみなかった。

 こちらの世界には魔法というものは無いようだ。でも、梨音は魔法を使える。つまり魔法を使う前提条件はあるわけだ。どうしてこの世界の人は魔法を使えなくて、転生してきた(というより意識だけ入れ替わった)梨音は使えるのか。ひょっとして、魔法理論を教えたら、この世界の人間にも魔法を使えるのではないか?

「そう・・・だね。いいよ、教えてあげる。土曜日、時間ある?」

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