お店のコーナーに座って、朝食をいただきます
お風呂を出る前に、ドラム缶のお湯は一度全部捨てて、新しいお湯を張っておいたよ。
レナータに新しいお湯で入ってもらうためにね。
散々遊んじゃったのと、目は慣れたんだけど、やっぱり薄暗くて、自分たちが石鹸まみれなのに気づかずお風呂に浸かっちゃりしたからね。
レナータには、魔法力切れで倒れたばかりなのにって心配されたけど、このくらいはどうってことないよ。
それと、裏庭は一面に芝が生えていて、散々濡らしても大丈夫だった。水はけもいいっぽい。
それにしても、外で入るお風呂って、すごく気持ちいいよね。
レナータがお風呂へ行って、私とナタリーは湯上りの一杯を楽しんでいた。
ナタリーがアイテムボックスから取り出したコーヒー牛乳だよ。キンキンに冷えていたよ。
アイテムボックス・・・便利すぎ!
「あ、でも、コーヒー牛乳も全部で5本しかないんですよ。なので今日だけ特別です」
「あー、そうなんだー。貴重なコーヒー牛乳だった!」
そんな会話をしていたら、こそこそとマウリツィオ師匠が部屋を出ていくのが見えた。
「師匠!」
「ひっ!」
「ひっ!じゃありません。どこ行くんですか?まさか、裏庭じゃないですよね?」
「いえ、私は、ちょっと喉が渇いたので・・・ミルクでも貰いに行こうかと・・・」
「コーヒー牛乳をあげますから、こっちへ来てください。レナータのお風呂を覗きに行こうなんて考えるだけでもダメですからね」
「う・・・」
師匠は、すごすご、と言った感じで戻ってくると、諦めたようにベッドに丸くなった。
「ナタリーちゃんは良くて、私がダメっていうのはずるいと思いますよ、本当に」
「いやいや、ナタリーちゃんは女の子だからね?前世の記憶があるだけだからね?」
「それを言ったら、私は猫ですし・・・。一緒じゃないですか」
「そうか・・・師匠は人間じゃないから、別にいいのか・・・」
「ちょ、都代!ダメですよ。おかしいですよ」
「ナタリーちゃん、私をのけ者にしないでくださいよー」
「・・・マウリツィオさんはヨコシマな雰囲気がするところが一番アウトだと思います」
あ、そこか。師匠は邪だね、確かに。猫なのにねえ。
ナタリーは、師匠の皿にコーヒー牛乳を注いであげていた。師匠もピチャピチャと飲み始める。
「あ、そうだ。師匠はカイトと一緒にお風呂に行けばいいじゃないですか。男同士!問題なし」
「都代ちゃんー・・・そういうことではないんですよ・・・」
結局、師匠はお風呂に行かなかった。
まあ、ドラム缶風呂なんかに浸かったら溺れちゃうけどね。カイトにシャンプーして貰えば良かったのに。結局、私が残り湯でシャンプーしたよ。なんか師匠が執拗にチラチラとこっちを見ていたけど。
しませんよ?一緒にお風呂なんて。
長湯をしたおかげで、昼間、あれだけ寝たのに、ぐっすり夜も寝られたよ。
起きると夜が明けていたよ。
「朝の6時か・・・うーん」
昨日の夜は、なんだかんだと遅かったから、まだ少し眠いや・・・。けど、日がある時間は貴重だからね。夜は移動できなくなるだろうし、早めに出発って、昨日、みんなで決めたから。
身の回りを片付けて、部屋を出る。
1階には、すでに何人かの姿があった。
村人たちにまじってレナータの姿を発見。そう言えば、梨音もイタリア系の血が混じっているんだったね。妙に溶け込んで見えるのはそのせいかな。
とはいえ、この村の人達はグリーン系の髪の色の人が多いよ。茶色の人も結構いるけど、ダークグリーン、エメラルドグリーン、ブルー系・・・うわあ、一人、すごく綺麗な金髪の子供が・・・あ、ナタリーか。
カウンターにあるコーヒーを手を伸ばして取っていた。
ちっちゃいナタリー、かわいい。
コーヒーとビスコッティーが、この村の定番のようだ。
朝早くから一仕事に出掛ける村人が腹ごしらえに寄っていくようだ。入れ替わり村人が朝食を食べにやって来る。
何人かは、私に気付いて挨拶してくれたり、サンキュー的な言葉をかけてくれたりする。
私は、カウンターに近寄り、カップを取ってコーヒーを注いだ。
それから、ダイナーのコーナーに座って・・・ふ、ふふーんと鼻歌を歌いながらコーヒーをすすったよ。
「スザンヌ・ヴェガですね。トムズダイナー」
ナタリーが横へ座った。
「おはよう、ナタリー」
「おはよう。ご機嫌ですね、都代」
「うん、なんか楽しい気分。何か始まる予感だよ」
「始まりますよ。今日は出発の日ですから。今日から乗り物で移動できますよ」
「そうそう。馬車だよね?歩かなくていいんだよね」
「ええ、歩かなくていいですよ。村の人に聞いたら魔物や盗賊は出るらしいので、警戒は必要ですけど、ある程度は振り切ってしまえばいいですし、効率はぐっと上がりますよ」
そうしているうちにカイトも起きてきた。
「おはよう、都代、ナタリー。一緒に食べてもいいかい?」
「ええ、どうぞ」
ナタリーがそういって、椅子をすすめた。
カイトが座って、ビスコッティーをガリガリ食べ始める。コーヒーにはミルクが入っている。
「カイト、ミルクなんてあった?」
「え?入り口の近くにポットで置かれていたよ」
「いいな。私も貰ってこよう」
ミルクを取りに行く。カフェオレだよ。
ミルクを手にコーナーの席へ戻っていく。ここからはお店の中も、通りの様子も両方見渡せる。
レナータは、相変わらず村人たちと楽しそうに話しながらコーヒーを楽しんでいた。
そうだよね。地元ってわけではないけど、自国と同じ言葉を話す人たちだもんね。
通りの方は、村人が急ぎ足で歩いていく。朝飯前の一仕事、というところだろうか。
城門の内外には畑みたいなののもあるし、畑仕事とかに行くのかな。みんな、ここでの日常を生きているんだなあ・・・。




