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ワイバーンとの死闘

 バシィバシィバシィ!

 ウインドスラッシュの白と、バリアで弾かれる際に飛び散る火花。バキバキバキ!と耳をつんざく斬撃音。

 そしてすぐ真上を通過する大きな風切り音。

「攻撃がやんだ?」

 私は真上を、そしてすぐに真後ろを振り返った。

 あ、私の意志じゃなくて、勝手に・・・。

 ワイバーンがすぐ上空を通過し、高度を上げようと首を上げたところだった。

「ファイヤーボール!」

 左右にソフトボール大のファイヤーボールを無数に作り出す。

「バースト!」

 バババン!とファイヤーボールが3連射で発射された。高度を取ろうとしたワイバーンの背中に一発が命中。反射的にワイバーンが首を引っ込める。高度が下がった。

「バースト!」

バババン!ワイバーンの上をかすめるように撃ち込まれる。さらに高度が下がる。けれどそのままでは上空に脱出できないのはワイバーンだってわかっていることだ。体をひねるようにして進路を左へ。そのままひねりこんで高度を上げようとして・・・

「バースト!」

バババン!横を向いたワイバーンの左翼に一発命中。反射的に右に進路変更する。その先はレナータ達の待つ砦だ。

「ユーハブコントロール、都代ちゃん」

「あ、アイハブ」

 急に自分の体が動かせるようになった。

「お、とっと」

 ワイバーンは砦の直前で上空へ急上昇に転じようとしていた。背中が丸見えだよ!

「バースト!バースト!」

バババン、バババン!と6発を叩き込む。既に距離があるために到達まで1秒くらい・・・2発くらいがワイバーンに命中。上昇の勢いが鈍った・・・かな?

 と、その時「ドカン!」とお腹に響く大きな音がした。

 大砲だ!ロッコ達が大砲を発射。大砲は砦上に設置されている。至近距離で撃ち込まれた大砲がワイバーンの巨体にめり込んだ。

 続けて鉄砲の発射音が二つ。体勢を崩したワイバーンに二発ともが命中し、そして破裂した。

「ギャキィヒィイ!」

 ワイバーンが耳をつんざくような悲鳴を上げた。けれど、一瞬高度が下がったもののワイバーンは上空へと再び上昇を始めた。

 でも明らかにスピードは落ちていた。

 フラフラとしながらも上昇をしようとするワイバーン。大砲も火縄銃も連射は効かない。こちらも手持ちのファイヤーボールを撃ち尽くしたところ。

「アイススフィア!」

急いでアイスミサイルを作成し・・・

 

 砦からこちらよりも一回り大きなアイスミサイルが撃ち出された。

「な、レナータ?パクリじゃん!」

 上昇しようとするワイバーンにアイスミサイルが追い縋る。気付いたワイバーンが死に物狂いで体をひねりミサイルから逃れようとする。そして死力を尽くして急上昇。

 ワイバーンめ、まだ体力を残していたのか。

「アイスミサイル!」

 私もアイスミサイルを発射した。あえて追撃コースではなく、上空へ発射する。

 これは当たらなくてもいい。ワイバーンの頭を押さえる効果さえあれば。

 ワイバーンがこちらのミサイルにも気が付く。下から追い縋るアイスミサイル、正面上方へ撃ち出されたアイスミサイルに挟まれるようにして、さらに宙返りのように体を逸らして進行方向を斜め左へと変えようとする。

 パッとレナータのミサイルが爆発した。一瞬遅れて「ドカーン!」と爆発音が届く。ワイバーンの近接で爆発、ワイバーンは爆風に巻き込まれている。どうやら爆風にはアイスニードルが大量に含まれているようで、ワイバーンから真っ赤な血が噴き出すのが見えた。

「うわ・・・」

 そこへホーミングで勝手に軌道修正した、私のアイスミサイルが直撃した。

 ドーン!と音が届く。水蒸気による煙がワイバーンを包み込んだ。

 1秒くらいで煙が晴れると、落下中のワイバーンが見えた。私のミサイルのせいで砦よりも村の外のほうへ飛ばされたらしい。

 砦の向こう側へ落ちると、ズシーン!という音が聞こえて静かになった。


「終わりました・・・か?」

 ナタリーが起き上がって私を見た。

「終わったよ。撃墜成功だね」

「すごいですね・・・」

 そう言いながら周りを見回すナタリー。見張り台の上に被害は無い。師匠のバリアの魔法が完全に攻撃を防いだようだ。

「あ、マウリツィオさん!」

 ナタリーが慌てて駆け寄った。そこには黒猫が倒れていた。

「師匠!」

 私も慌てて駆け寄る。

「息が浅いです。これは魔法力の枯渇です」

「ど、どうすればいいの!」

「私が回復魔法を使います!」

 ナタリーがマウリツィオ師匠を抱えて詠唱をつぶやく。知らない言語で聞き取れない呪文だ。

「う、すみませんね、ナタリーちゃん」

「そんな。マウリツィオさんの魔法が無ければ、今頃私達はどうなっていたことか・・・」


 私達は、周りの安全を確かめて、辛そうな師匠を抱えて見張り台から下りることにした。


 師匠は一時的な魔力の枯渇だったようだ。

 落ち着いてから聞いたことだけど、マウリツィオ師匠が使った魔法は絶対防御の魔法だった。どんな攻撃でも耐えられるけれど、代わりに相当な魔法力を消費する。基本的には消費する魔法力は私のものなんだけど、マウリツィオ師匠も消費ゼロじゃないので、限界まで使ってしまったわけ。

「気を付けてくださいね、師匠。師匠は魔法力枯渇状態が続くと消滅しちゃいますからね」

「わかってますよ、都代ちゃん。けど、お二人を守れなければ意味が無いですからな」

「マウリツィオさん。ありがとうございます。本当に良い人ですね」

「いやいや、これしきのこと。ナタリーちゃんに傷一つつかなくて本当に良かった」

「師匠!私は擦り傷しましたよ、ほら!」

「都代ちゃんはいいですよ、少しくらいの傷なんか。でもナタリーちゃんの美しい顔に傷なんかついたら・・・」

「うわぁ・・・」

「ああ、都代!都代の怪我は私が癒してあげますよ!ヒール!」

 ぽわぁーっと優しい光が私の傷に覆いかぶさった。

「ふわぁ、なんか温かい」

「これでよし」

「うわぁ。傷無くなった!」

「このくらいのこと、いつでも言ってくださいね。ヒールなんて絆創膏貼るのと大差ないくらい簡単ですからね」

「へえ。すごいねえ。私は回復系はノートのメモ見ながらじゃないと使えないんだー」

「いやあ、メモ見ながらでも回復魔法も使える都代の方がすごいですよ」


 レナータ達と合流するために砦の方へ歩いていく。

 歩き始めると急激に疲れが出た。激しい魔法を使ったし、私も魔力切れかな?

 実は、自分の魔法力の限界が何処にあるのか、最近はさっぱりわからないんだよ。かなり多くなっているような感じはするんだけどね。


 でも、なんだか眠たいよ。朝早かったからかなあ・・・。

 腕時計を見ると10時5分だった。ワイバーン発見から20分も経ってなかったよ。


 いや、駄目だ。眠い・・・。


 歩きながら私は目を閉じそうになった。

「ナタリー・・・私、眠いか・・・も・・・」

「え?あ、やばい。都代?大丈夫?しっかりして・・・」

 ナタリーの声が遠くなっていくよ・・・あれ?なんで・・・。

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